事例Ⅳ ~③設備投資の経済性計算~
目次
設備投資の経済性計算
「設備投資の経済性計算」とは、企業が設備導入などの投資を検討する際に、その投資が企業に利益をもたらすのかを定量的に見極めていくために、投資に伴い発生するキャッシュ・フローを分析して、その投資を実行すべきか否かを判断することをいいます。
二次試験では、実際に与えられたデータから、プロジェクトへの投資額とプロジェクトにより得られるキャッシュフローを算出して、設備投資の意思決定モデルに基づきプロジェクトを実行すべきか否かを判断するというパターンの問題が出題されます。
プロジェクトを実行すべきか否かの判断基準をざっくりと表現すると「投資による収益 > 投資額」ですが、その計算に際しては「割引現在価値(貨幣の時間価値)」「割引率と資本コスト」「正味運転資本」「法人税による影響」など考慮しなければならないポイントがいくつかあります。
ブログへの掲載記事
二次試験問題と本ブログに掲載している「設備投資の経済性計算」に関する記事の対応表です。
「設備投資の経済性計算の説明」と「試験問題の解説」を行っています。
設備投資の経済性計算の説明
- 設備投資の経済性計算(1)(割引現在価値)
- 設備投資の経済性計算(2)(割引率と資本コスト)
- 設備投資の経済性計算(3)(意思決定モデル)
- 正味現在価値法(NPV)
- 収益性指数法(PI)
- 内部収益率法(IRR)
- 回収期間法
- 設備投資の経済性計算(4)(PJにより得られるCF-その1)
- プロジェクト開始時のキャッシュフロー
- 各期のキャッシュフロー
- プロジェクト終了時のキャッシュフロー
- 設備投資の経済性計算(5)(PJにより得られるCF-その2)
- PJにより得られるCF(法人税を考慮しない場合)
- 設備投資の経済性計算(6)(PJにより得られるCF-その3)
- PJにより得られるCF(法人税を考慮する場合)
- 設備投資の経済性計算(7)(正味現在価値法/収益性指数法による投資の実行判断)
- 設備投資の経済性計算(8)(内部収益率法による投資の実行判断)
- 設備投資の経済性計算(9)(回収期間法による投資の実行判断)
- 設備投資の経済性計算(10)(設備取替投資によるキャッシュ・フロー(その1))
- 設備投資の経済性計算(11)(設備取替投資によるキャッシュ・フロー(その2))
過去問題の解説
- 平成22年度 解答例(4)(設備投資・損益分岐点分析)
- 平成24年度 解答例(4)(設備投資の経済性計算)
- 平成25年度 解答例(2)(設備投資の経済性計算)
- 平成25年度 解答例(3)(設備投資の経済性計算)
- 平成26年度 解答例(3)(設備投資の経済性計算)
- 平成26年度 解答例(4)(設備投資の経済性計算)
- 平成27年度 解答例(3)(設備投資の経済性計算)
- 平成27年度 解答例(4)(設備投資の経済性計算)
- 平成28年度 解答例(4)(設備投資の経済性計算)
- 平成28年度 解答例(5)(設備投資の経済性計算)
- 平成29年度 解答例(4)(設備投資の経済性計算)
- 平成29年度 解答例(5)(設備投資の経済性計算)
- 令和元年度 解答例(5)(設備投資の経済性計算)
- 令和元年度 解答例(6)(設備投資の経済性計算)
- 令和元年度 解答例(7)(設備投資の経済性計算)
- 令和元年度 解答例(8)(設備投資の経済性計算)
- 令和2年度 解答例(4)(設備投資/ディシジョン・ツリー)
- 令和2年度 解答例(5)(設備投資/ディシジョン・ツリー)
- 令和2年度 解答例(6)(設備投資/ディシジョン・ツリー)
一次試験と二次試験の違い
二次試験の事例Ⅳでは「商業簿記」に関する知識はあまり必要とされません。
昨年の試験では、連結財務諸表に関する知識が求められましたが、与件文に出てきた「圧縮記帳」については記述試験の中で問われませんでした。おそらく、口述試験で「圧縮記帳によりD社の業務成績にどのような影響があるか?」などの質問をするために挿入されたものだと想定されます。(口述試験であれば、記述試験の合格通知が来てから勉強すれば十分に間に合います。)
つまり、二次試験は「工業簿記」を中心に勉強を進めれば、合格圏に近い得点を取ることができます。「工業簿記」は、ロジカルな思考でじっくりと読んでいけば理解することができ、あとは何度も何度も問題を繰り返して体で覚えていけば解けるようになっていきます。
もちろん、二次試験に向けて勉強すべきなのは「工業簿記」だけではありませんが、以下の図に示すように、「商業簿記」は「論述問題」を中心に「工業簿記」は「計算問題」を中心に意識して勉強していくことをお薦めします。
二次試験の中で「事例Ⅰ~事例Ⅲ」は正解のない試験なので、試験当日の自身の体調や、たった一つの勘違いによって得点が大きくぶれる可能性がありますが、「事例Ⅳ」の試験問題は半分以上が計算により正解を求める試験なので、得意科目にしておけば、自信をもって試験に臨むことができますし、ある程度安定した得点を取ることができます。