事例Ⅲ ~平成23年度試験問題一覧~
本ブログに掲載している平成23年度の「事例Ⅲ」に関する記事の対応表を以下に示します。
2018年11月27日 08:00現在
目次
全体構成の理解
事例Ⅰ~事例Ⅲの問題では、最初に、試験問題の全体像を把握して、それぞれの問題で与件文のどこを参考にして解答するかを考えることをお薦めします。
平成23年度の問題文は章立てになっておらず、文章が羅列されているため、頭から最後まで文章を一通り読んで、構成を理解する必要があります。
1ページ目と2ページ目の最初の段落(1ページ目からの続きの部分)にかけて「C社概要」に相当する内容が記述されており、2ページ目の中盤からと3ページ目にかけて「C社の生産概要」に相当する内容が記述されています。
「第1問」「第3問(設問1)」については、与件文から該当する箇所を比較的簡単に抜粋することができますが、「第2問」「第3問(設問2)」「第4問」については、与件文に記述されている内容との関連付けが非常に難しくなっています。
例えば、特注品を提案する「フリーデザインシリーズ」事業を実現するには設計要員の業務量を削減する必要がありますが、そのために、業務自体を他部署に移管するのか、CAD/CAM化により削減するのかなど、どの問題に与件文のどこを使って解答するかを自分の中で予め決めてから解答を考えていく必要があります。
そのためにも、最初に、試験問題の全体像を把握して、それぞれの問題で与件文のどこを参考にして解答するかを考えることが非常に重要です。
本ブログの対応表
問題 | 配点 | 問題概要 | 該当記事 |
第1問 | 20点 | C社の生産技術面と営業面の特徴 | 事例Ⅲ 第1問 |
第2問 | 20点 | 生産計画の精度を向上させるための対応策 | 事例Ⅲ 第2問 |
第3問 | 40点 | フリーデザインシリーズ事業の実現に向けてC社の営業スタイルをどのように変えるべきか | 事例Ⅲ 第3問 (設問1) |
フリーデザインシリーズ事業の成功に向けた設計面と生産面の課題 | 事例Ⅲ 第3問 (設問2) |
||
第4問 | 20点 | CAD/CAM化によるメリット | 事例Ⅲ 第4問 |
事例Ⅲの出題の趣旨
「中小企業診断協会」のWebサイトに公開されている出題の趣旨を以下に示します。
第1問(配点20点)
金属パネル加工事業、屋内用電力制御盤事業、オフィス用金属製家具事業へ至るC社の創業からの事業変遷を把握し、生産技術面と営業面での特徴を分析する能力を問う問題である。
第2問(配点20点)
生産計画の変更が多く生じているC社の現状を分析し、その原因を把握、改善するために検討すべき具体的対策を提示できるかについて、分析能力と問題解決能力を問う問題である。
第3問(配点40点)
(設問1)
OEM生産を中心に事業展開してきたC社にとって、自社ブランド事業を拡大するために必要な営業活動のあり方を提示できるかについて、分析能力と問題解決能力を問う問題である。
(設問2)
OEM生産を中心に事業展開してきたC社の現状を分析し、自社ブランド事業を成功に導くために必要な設計面および生産面での課題を分析する能力を問う問題である。
第4問(配点20点)
OEM生産を中心に事業展開してきたC社の現状を把握し、計画されているCAD/CAM化のメリットを分析する能力を問う問題である。
解答例一覧
平成23年度(事例Ⅲ)の解答例一覧を以下に示します。
それぞれの問題に関する解説は、該当の記事を参照してください。
第1問(配点20点)
C社の創業からの事業変遷を理解した上で、生産技術面の特徴を(a)欄に、営業面での特徴を(b)欄に、40字以内でそれぞれ述べよ。
(a)生産技術面の特徴
特徴は、制御盤の筐体完成品を受注できる一貫生産体制と塗装技術レベルの高さである。(40文字) |
(b)営業面の特徴
特徴は、自社ブランド製品をカタログ化して独自で展開して受注を獲得する営業力である。(40文字) |
第2問(配点20点)
C社の生産計画は計画期間中に変更されることが多い。C社社長は、当社製品の納期に対する顧客の満足度を上げるためにも生産計画の精度を向上させたいと考えているが、そのための対応策を200字以内で具体的に述べよ。
生産計画の精度を向上させるための対応策は、毎月中旬に営業部がOEM製品の確定受注情報を入手した時点でビルトインシリーズの受注情報を加えた翌月の納品計画を製造部に迅速に渡すことによって製造部が毎月中旬に翌月の確定生産計画を立案できるようにすることと、材料・購入部品などの発注業務や外注加工の手配などの購買業務を製造部に移管するとともに納期管理を徹底することによって業者からの納品遅れを防止することである。(200文字) |
第3問(配点40点)
C社では自社ブランド規格品「ビルトインシリーズ」に加え、特注品の「フリーデザインシリーズ」事業を計画している。
(設問1)
「フリーデザインシリーズ」事業は、既存事業の営業先からの要望によって計画、検討されている。顧客からの要望に応えこの事業を推進するためには、C社の営業スタイルをどのように変えるべきか80字以内で提案せよ。
カタログによる規格品販売の営業から、建築物内部に使われる金属製家具をコーディネートしてオフィス空間をトータルで提案する特注品販売の営業スタイルに変えるべきである。(80文字) |
(設問2)
「フリーデザインシリーズ」事業を成功させるため、設計面の課題と生産面の課題を100字以内で述べよ。
設計面の課題は設計要員の業務量を軽減して特注品の設計業務に対応する時間を確保すること、生産面の課題はOEM製品を見込生産に切り替え、規格品は見込生産、特注品は受注生産とする生産体制を構築することである。(100文字) |
第4問(配点20点)
「フリーデザインシリーズ」事業に対応するため、CAD/CAMの導入を考えているが、このCAD/CAM化はC社にどのようなメリットをもたらすのか140字以内で述べよ。
CAD/CAM化によるメリットは、過去の設計データ流用による設計業務の効率化、特注品の設計業務で頻繁に発生する設計データ変更の簡易化、製造部への設計データの迅速な共有、NC加工プログラムの自動作成による生産リードタイムの短縮、材料・購入部品・外注加工品の標準化による品種増加の抑制である。(140文字) |