事例Ⅲ ~平成25年度試験問題一覧~
本ブログに掲載している平成25年度の「事例Ⅲ」に関する記事の対応表を以下に示します。
2018年11月6日 08:00現在
目次
全体構成の理解
事例Ⅰ~事例Ⅲの問題では、最初に、試験問題の全体像を把握して、それぞれの問題で与件文のどこを参考にして解答するかを考えることをお薦めします。
平成25年度の問題では、与件文の【市場の概要】において、「納期や価格面の評価が低い」という「弱み」が記述されています。
この「弱み」の対策は「第1問(設問2)」において解答することとなりますが、問題文には「弱み」をどのように解決するかとは記述されていません。
「第1問(設問2)」で問われている関東工場の役割をどのように変えるべきなのかという課題を解決した結果、「C社の納期や価格面」という「弱み」も改善できるという構成になっているため、「納期や価格面の評価が低い」という「弱み」を「第1問(設問2)」で解決すると予め決めておかないと、ひらめきで解答に取り入れるのは難しいと考えられます。
こういった気付きにくい内容を漏らさずに解答に取り入れるためにも、最初に、試験問題の全体像を把握して、それぞれの問題で与件文のどこを参考にして解答するかを考えることが非常に重要です。
本ブログの対応表
問題 | 配点 | 問題概要 | 該当記事 |
第1問 | 30点 | 首都圏市場への参入において活用すべき競争優位性 | 事例Ⅲ 第1問 (設問1) |
首都圏市場への参入における関東工場の役割とそれを実現するために必要な具体的対応策 | 事例Ⅲ 第1問 (設問2) |
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第2問 | 40点 | 顧客からの問い合わせに迅速に対応するため、短納期化に対応するために、技術部内で共有化が必要と考える具体的情報名 | 事例Ⅲ 第2問 (設問1) |
顧客からの問い合わせに迅速に対応するため、短納期化に対応するために、技術部内で業務効率化を図るために必要な具体的改善内容 | 事例Ⅲ 第2問 (設問2) |
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第3問 | 30点 | Y社との共同開発事業の失敗の要因と、その失敗の要因を踏まえた今後の新規事業開発における留意点 | 事例Ⅲ 第3問 |
事例Ⅲの出題の趣旨
「中小企業診断協会」のWebサイトに公開されている出題の趣旨を以下に示します。
第1問(配点30点)
(設問1)
C社と競合する企業の現状を把握し、その市場に参入するために必要な競争優位性を分析する能力を問う問題である。
(設問2)
C社が首都圏への参入を実現するために必要な関東工場の役割と、その役割を実現するために必要な対応策を分析・提案する能力を問う問題である。
第2問(配点40点)
(設問1)
C社の技術部内での課題を把握し、顧客問い合わせに対する迅速化と短納期化に対応するために、技術部内で共有化が必要な情報を分析する能力を問う問題である。
(設問2)
C社の技術部内での課題を把握し、顧客問い合わせに対する迅速化と短納期化を目的に業務効率化を図るための改善方法を分析・提案する能力を問う問題である。
第3問(配点30点)
C社の過去の新規事業開発の失敗要因を把握し、今後の新規事業開発の留意点を分析・提案する能力を問う問題である。
解答例一覧
平成25年度(事例Ⅲ)の解答例一覧を以下に示します。
それぞれの問題に関する解説は、該当の記事を参照してください。
第1問(配点30点)
C社では、横ばいで推移している業績を改善するためX社のシェアが高い首都圏市場への参入を目指している。この課題について、以下の設問に答えよ。
(設問1)
C社が首都圏市場への参入で活用すべき競争優位性は何か、60字以内で述べよ。
競争優位性は、業界のニーズに対応する新製品の開発力と営業展開力、製品の標準化と据付け施工面の保安対策技術による品質である。(60文字) |
(設問2)
C社が首都圏市場への参入を実現するためには、関東工場の役割をどのように変えるべきなのか、またそれを実現するためにはどのような具体的対応策が必要となるのか、120字以内で述べよ。
関東工場の役割を東京支店で受注した製品の製造出荷拠点に変更する。具体的には、関東工場に汎用加工機を設置して、標準仕様部材と補助部材の製造、組み合わせ、出荷を一貫して対応することで物流センターへの製品輸送を廃止して納期短縮とコスト削減を行う。(120文字) |
第2問(配点40点)
C社では、顧客からの問い合わせに迅速に対応するため、また、短納期化に対応するため、技術部内の情報の共有化や業務の効率化を図る計画がある。この計画について、以下の設問に答えよ。
(設問1)
技術部内で共有化が必要と考える具体的情報名を80字以内であげよ。
共有が必要な情報は、受注情報、施工図面、設計変更内容、標準仕様部材と補助部材のCADデータ、通信施設の大きさ、建物への設置条件、調整事項などの現地調査結果である。(80文字) |
(設問2)
技術部内の業務効率化を図るために必要な具体的改善内容を120字以内で述べよ。
具体的には、CAD使用手順の標準化と部品のような設計要素のライブラリ化とCAD設計データの共有化を行い、属人化した設計業務の汎用化とライブラリ活用による設計業務の簡易化とCAD設計データの再利用による設計時間の短縮を実現して、設計業務を効率化する。(120文字) |
第3問(配点30点)
C社経営者は、これまで蓄積した生産技術のノウハウを活用し、通信用部材市場以外での新規事業開発を模索している。過去に経験したY社との共同開発事業の失敗の要因と、その失敗の要因を踏まえた今後の新規事業開発の留意点を、140字以内で述べよ。
失敗要因は、Y社主導の市場分析結果に基づきビルを建設するなど共同事業開発を一気に進めたことである。新規事業開発の留意点は、C社主導の市場分析結果に基づき予め量産化や撤退の評価基準を明確に設定した上で、収益計画に対する進捗状況を定期的に確認しながら計画的かつ段階的に進めることである。(140文字) |