今回は、「財務・会計 ~R3-18 設備投資の経済性計算(17)年間の税引後CF~」について説明します。
目次
財務・会計 ~令和3年度一次試験問題一覧~
令和3年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
設備投資の経済性計算(一次試験) -リンク-
本ブログにて「設備投資の経済性計算(一次試験)」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
設備投資の経済性計算(一次試験) -リンク-
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- R5-17 設備投資の経済性計算(19)IRR
- R3-19 設備投資の経済性計算(18)NPV・PI
- R2-23 設備投資の経済性計算(16)各期の税引後CF
- R1-23 設備投資の経済性計算(15)意思決定モデル
- H30-22 設備投資の経済性計算(14)NPV・IRR
- H29-15 設備投資の経済性計算(1)各期の税引後CF
- H28-17-1 設備投資の経済性計算(2)意思決定モデル
- H28-17-2 設備投資の経済性計算(3)投資により得られるCF
- H28-17-3 設備投資の経済性計算(4)例題(法人税を考慮しない場合)
- H28-17-4 設備投資の経済性計算(5)例題(法人税を考慮する場合)
- H28-17-5 設備投資の経済性計算(6)例題(NPV・PI)
- H28-17-6 設備投資の経済性計算(7)IRR
- H27-16 設備投資の経済性計算(8)NPV
- H26-16 設備投資の経済性計算(9)NPV・IRR
- H25-17 設備投資の経済性計算(11)意思決定モデル
- H25-18 設備投資の経済性計算(10)回収期間法
- H24-18 設備投資の経済性計算(12)投資案の採否
- H22-15 設備投資の経済性計算(13)
設備投資の経済性計算(二次試験) -リンク-
本ブログにて「設備投資の経済性計算(二次試験)」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【令和3年度 第18問】
当社はある機械の導入の可否を検討している。この機械の導入により、年間の税引前キャッシュフローが2,000万円増加する。また、この機械の年間減価償却費は900万円である。
実効税率を30%とするとき、年間の税引後キャッシュフローはいくらになるか。最も適切なものを選べ。
ア 870万円
イ 1,100万円
ウ 1,670万円
エ 2,030万円
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
機械の導入により得られる年間の税引後キャッシュフローを算出する問題です。
「税引前キャッシュフロー」から法人税を納付した後「手許に残るキャッシュ(CIF)」である「税引後キャッシュフロー」を算出していきます。
機械の導入により増加するキャッシュフロー
機械の導入により、年間の「税引前キャッシュフロー」が「2,000万円」増加しますが、「税引前キャッシュフロー」から、納付する法人税額(税引前キャッシュフロー × 法人税率)を控除して「手許に残るキャッシュ(CIF)」である「税引後キャッシュフロー」を算出します。
今回の問題では、「法人税率」に相当する項目として、法人の実質的な所得税負担率である「実効税率」が与えられているため、「法人税率」を「実効税率」と読み替えてください。
- CIF = 税引前キャッシュフロー ×( 1 - 実効税率 )
= 2,000万円 ×( 1 - 30% )
= 1,400万円
減価償却費による節税効果
減価償却費は実際にキャッシュアウトするわけではありませんが、法人税を考慮する場合、納付させる法人税額を減少させる効果(節税効果)が得られます。
その結果、法人税を納付した後の「手許に残るキャッシュ(CIF)」が「節税効果分」だけ増加するため、この減価償却費による「節税効果分」を「税引後キャッシュフロー」に追加します。
今回の問題では、「法人税率」に相当する項目として、法人の実質的な所得税負担率である「実効税率」が与えられているため、「法人税率」を「実効税率」と読み替えてください。
- CIF = 減価償却費 × 実効税率 = 900万円 × 30% = 270万円
減価償却費による節税効果(例)
減価償却費による節税効果について少し補足します。(法人税率40%の場合)
- 減価償却費20百万円の計上により、利益が20百万円減少します。
- 利益が20百万円減少したため、納付すべき法人税を「20百万円×法人税率40%=8百万円」だけ節約することができます。
- 減価償却費が計上されますが、実際にキャッシュアウトするわけではありません。にもかかわらず、納付する法人税が8百万円減少したので、企業が得した現金(入手した現金)は「CIF=8百万円」となります。
年間の税引後キャッシュフロー
「機械の導入により増加するキャッシュフロー」と「減価償却費による節税効果」を合計して「年間の税引き後キャッシュフロー」を算出します。
- 年間の税引後キャッシュフロー
= 1,400万円 + 270万円 = 1,670万円
答えは(ウ)です。
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