財務・会計 ~R3-19 設備投資の経済性計算(18)NPV・PI~

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今回は、「財務・会計 ~R3-19 設備投資の経済性計算(18)NPV・PI~」について説明します。

 

「設備投資の経済性計算」は二次試験(事例Ⅳ)で出題される論点のため、一次試験の段階からしっかりと勉強しておきましょう。

 

目次

財務・会計 ~令和3年度一次試験問題一覧~

令和3年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

設備投資の経済性計算(一次試験) -リンク-

本ブログにて「設備投資の経済性計算(一次試験)」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

設備投資の経済性計算(二次試験) -リンク-

本ブログにて「設備投資の経済性計算(二次試験)」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

設備投資の意思決定モデル

投資を実行するかの判断基準をざっくりと簡単に表現すると「投資による収益 > 投資額」です。(実際には「キャッシュ・フローの割引現在価値」「資本コスト」「法人税等」などを考慮する必要があります。)

意思決定モデルとは、企業が投資を実行すべきか否かを判断するためにプロジェクトの収支状況を算出する方法のことをいい、代表的なものを以下に示します。

なお、事例Ⅳでは「正味現在価値法(NPV)」により、投資の意思決定を行うケースが多く出題されます。

 

時間価値を考慮したモデル

「時間価値」とは「貨幣の時間価値」のことを示しています。プロジェクトにより得られるキャッシュフローの現在価値とプロジェクト投資額を比較して、投資を実行すべきかを判断する方法です。

 

  • 正味現在価値法(NPV)
    正味現在価値法(Net Present Value Method)とは、投資による収益性を重視した意思決定モデルです。
    正味現在価値法(NPV)では、プロジェクトにより得られるキャッシュフローの現在価値からプロジェクトへの投資額を差し引いた結果である「正味現在価値」がプラスであれば、投資を実行するという判断を行う意思決定方法です。
  • 収益性指数法(PI)
    内部収益率法(Profitability Index Method)とは、投資による収益性を重視した意思決定モデルです。
    収益性指数法(PI)では、プロジェクトにより得られるキャッシュフローの現在価値をプロジェクトへの投資額で割った結果が1より大きければ、投資を実行するという判断を行う意思決定方法です。
  • 内部収益率法(IRR)
    内部収益率法(Internal Rate of Return Method)とは、投資による収益性を重視した意思決定モデルです。
    内部収益率法(IRR)では、正味現在価値が「0」となる「割引率」が、企業が存続する限り最低限発生するコストである「資本コスト」よりも高ければ、投資を実行するという判断を行う意思決定方法です。

 

時間価値を考慮しないモデル

  • 回収期間法
    回収期間法とは、投資による安全性を重視した意思決定モデルです。
    回収期間法では、プロジェクトへの投資額を回収できる期間を算出して、その回収期間が想定するプロジェクトの終了期限よりも短い場合は、投資を実行するという判断を行う意思決定方法です。

 

意思決定モデルの分類

意思決定モデルは、「収益性」を重視する意思決定モデルと「安全性」を重視する意思決定モデルに分類することができます。

「収益性」を重視する意思決定モデル(NPV/PI/IRR)では、プロジェクト期間全体のキャッシュ・フローからそのプロジェクトの実行可否を判断しますが、「安全性」を重視する意思決定モデル(回収期間法)では、あくまで投資額を回収できるまでの期間を測定しており、投資額を回収した後のキャッシュ・フローについては考慮していないことが特徴です。

 

収益性 正味現在価値法(NPV)
収益性指数法(PI)
内部収益率法(IRR)
安全性 回収期間法

 

正味現在価値法(NPV)

正味現在価値は、以下の計算式で算出します。

問題文によっては、1年後にプロジェクトに投資するケースなどもあるため、「プロジェクトへの投資額(の現在価値)」という表記にしています。

上記の計算式で算出された結果に基づき、以下の基準で投資の可否を判断します。
正味現在価値が大きいほど、より良い投資案ということになります。

「正味現在価値=0」の場合は、投資して頑張っても結果はトントンだということなので投資は実行しない。という判断になります。

 

収益性指数法(PI)

収益性指数は、以下の計算式で算出します。

問題文によっては、1年後にプロジェクトに投資するケースなどもあるため、「プロジェクトへの投資額(の現在価値)」という表記にしています。

上記の計算式で算出された結果に基づき、以下の基準で投資の可否を判断します。
収益性指数が大きいほど、より良い投資案ということになります。

正味現在価値法と比較すると、引き算するか割り算するかの違いはありますが、両者とも「投資による収益 > 投資額」となるかを確認しています。

「収益性指数=1」の場合は、投資して頑張っても結果はトントンだということなので投資は実行しない。という判断になります。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和3年度 第19問】

当社は設備A~Cの導入を比較検討している。各設備の初期投資額ならびに将来の現金収支の現在価値合計は、以下のとおりである。

正味現在価値法を用いた場合と、収益性指数法を用いた場合で、それぞれどの設備への投資案が採択されるか。最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。なお、設備A~Cへの投資案は相互排他的である。

 

初期投資額 現金収支の現在価値合計
設備A 4,400万円 5,500万円
設備B 5,000万円 6,500万円
設備C 4,000万円 5,400万円

 

[解答群]

ア 正味現在価値法:設備A 収益性指数法:設備B
イ 正味現在価値法:設備A 収益性指数法:設備C
ウ 正味現在価値法:設備B 収益性指数法:設備B
エ 正味現在価値法:設備B 収益性指数法:設備C
オ 正味現在価値法:設備C 収益性指数法:設備B

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

設備投資の意思決定モデルである「正味現在価値法(NPV)」と「収益性指数法(PI)」に関する知識を問う問題です。

 

正味現在価値法(NPV)

「正味現在価値法(NPV)」では、以下の計算式で算出される値に基づき投資の採否を判断します。

 

 

「正味現在価値法(NPV)」を用いて、各設備への投資案を評価した場合、その値は以下の通りとなります。

 

  • 設備A:5,500万円 - 4,400万円 = 1,100万円
  • 設備B:6,500万円 - 5,000万円 = 1,500万円
  • 設備C:5,400万円 - 4,000万円 = 1,400万円

 

「正味現在価値法(NPV)」では、その値が大きいほど、より良い投資案であることを示しています。

各設備への投資案を「正味現在価値法(NPV)」の値が大きい順に並べると「設備B(1,500万円)> 設備C(1,400万円)> 設備A(1,100万円)」となるため「正味現在価値法(NPV)」を用いた場合は「設備B」への投資案が採択されます

 

収益性指数法(PI)

「収益性指数法(PI)」では、以下の計算式で算出される値に基づき投資の採否を判断します。

 

 

「収益性指数法(PI)」を用いて、各設備への投資案を評価した場合、その値は以下の通りとなります。

 

  • 設備A:5,500万円 ÷ 4,400万円 = 1.25
  • 設備B:6,500万円 ÷ 5,000万円 = 1.3
  • 設備C:5,400万円 ÷ 4,000万円 = 1.35

 

「収益性指数法(PI)」では、その値が大きいほど、より良い投資案であることを示しています。

各設備への投資案を「収益性指数法(PI)」の値が大きい順に並べると「設備C(1.35)> 設備B(1.3)> 設備A(1.25)」となるため「収益性指数法(PI)」を用いた場合は「設備C」への投資案が採択されます

 

したがって、「正味現在価値法(NPV)」では「設備B」が採択され、「収益性指数法(PI)」では「設備C」が採択されます

 

答えは(エ)です。


 

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