今回は、「財務・会計 ~H22-15 設備投資の経済性計算(13)~」について説明します。
目次
財務・会計 ~平成22年度一次試験問題一覧~
平成22年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
設備投資の経済性計算(一次試験) -リンク-
本ブログにて「設備投資の経済性計算(一次試験)」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- R5-17 設備投資の経済性計算(19)IRR
- R3-18 設備投資の経済性計算(17)年間の税引後CF
- R3-19 設備投資の経済性計算(18)NPV・PI
- R2-23 設備投資の経済性計算(16)各期の税引後CF
- R1-23 設備投資の経済性計算(15)意思決定モデル
- H30-22 設備投資の経済性計算(14)NPV・IRR
- H29-15 設備投資の経済性計算(1)各期の税引後CF
- H28-17-1 設備投資の経済性計算(2)意思決定モデル
- H28-17-2 設備投資の経済性計算(3)投資により得られるCF
- H28-17-3 設備投資の経済性計算(4)例題(法人税を考慮しない場合)
- H28-17-4 設備投資の経済性計算(5)例題(法人税を考慮する場合)
- H28-17-5 設備投資の経済性計算(6)例題(NPV・PI)
- H28-17-6 設備投資の経済性計算(7)IRR
- H27-16 設備投資の経済性計算(8)NPV
- H26-16 設備投資の経済性計算(9)NPV・IRR
- H25-17 設備投資の経済性計算(11)意思決定モデル
- H25-18 設備投資の経済性計算(10)回収期間法
- H24-18 設備投資の経済性計算(12)投資案の採否
設備投資の経済性計算(二次試験) -リンク-
本ブログにて「設備投資の経済性計算(二次試験)」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成22年度 第15問】
ある投資プロジェクトによって1年後にもたらされるキャッシュ・フローは50%の確立で3,000万円であるか、50%の確率で1,000万円であるかのどちらかであるという。今、安全利子率は10%である。意思決定者がリスク中立的であるとき、この意思決定者は、当該投資プロジェクトに現在約何万円まで拠出するか、最も適切なものを選べ。
ア 454万円
イ 909万円
ウ 1,818万円
エ 2,727万円
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
この問題を解こうとしたとき、おそらく以下のように考えて解答を求めるのではないかと思います。実際に、この考え方であっていますが、なぜ安全利子率で割り引くのか、なぜリスク中立的と記載されているのか、などの違和感が残るのではないかと思いますので、その辺りまで説明していきます。
- ある投資プロジェクトによって得られるキャッシュフローの期待値を安全利子率で割り引いた割引現在価値の金額まで、意思決定権者は拠出するであろう。
ポートフォリオ理論における投資家の分類
「意思決定者がリスク中立的である」と記載されている理由を説明するため、投資家を「リスク回避的」と「リスク中立的」と「リスク愛好的」に分類した場合に、それぞれの投資家がどのように投資案を選択するかを以下に示します。
投資家の分類 | 説明 |
リスク回避的 | リターンが同じならば、リスクが小さい投資を選択する。 |
リスク中立的 | リスクは関係なく、投資をリターンの金額だけで判断する。 |
リスク愛好的 | リターンが同じならば、リスクが大きい投資を選択する。 |
リスク中立的な投資家による市場
「リスク中立的な」は投資家だけで構成された市場があると仮定した場合、投資家はリターンの金額だけで投資案を選択するため、市場で売買される投資案はすべて同じ金額に設定されるようになります。(リターンの金額が低い投資案は一切選択されなくなるため)
その結果、無リスク資産(安全資産)と同様に、リスクのある金融資産の期待収益率は、最終的に「安全利子率」に落ち着きます。
つまり、「リスク中立的な」は投資家だけで構成された市場では「安全利子率」を割引率として採用することとなります。
それでは実際に問題を解いていきます。
ある投資プロジェクトによって得られるキャッシュフローの期待値
問題文により与えられている情報により、ある投資プロジェクトによって1年後にもたらされるキャッシュ・フローの期待値を求めます。
- 50% × 3,000万円 + 50% × 1,000万円 = 2,000万円
キャッシュフローの期待値を安全利子率で割り引いた割引現在価値
上記で求めた「ある投資プロジェクトによって1年後にもたらされるキャッシュ・フローの期待値」を「安全利子率」で割り引いた現在価値を求めます。(H28-17-1 貨幣の時間価値(1))
- 2000万円 ÷(1+10%)≒ 1,818万円
リスク中立的である意思決定権者は、ある投資プロジェクトによって得られるキャッシュフローの期待値を「安全利子率」で割り引いた現在価値の金額まで拠出します。
答えは(ウ)です。
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