口述試験での沈黙には要注意!!

財務・会計 ~H30-22 設備投資の経済性計算(13)~

にほんブログ村に参加しています。
記事の内容にご満足いただけた場合は、以下のボタンをクリックいただけると、また頑張ることができます。

にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へ

にほんブログ村に参加しています。
記事の内容にご満足いただけた場合は、以下のボタンをクリックいただけると、また頑張ることができます。

にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へ







今回は、「財務・会計 ~H30-22 設備投資の経済性計算(13)~」について説明します。

 

「設備投資の経済性計算」は二次試験(事例Ⅳ)で出題される論点のため、一次試験の段階からしっかりと勉強しておいて損はありません。

 

財務・会計 ~平成30年度一次試験問題一覧~

平成30年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

設備投資の経済性計算(二次試験)

二次試験(事例Ⅳ)に向けた「設備投資の経済性計算」の記事は、以下のページに整理していますので、アクセスしてみてください。

 

設備投資の経済性計算(一次試験)

一次試験に向けた「設備投資の経済性計算」の記事は、過去にも説明していますので、以下のページにもアクセスしてみてください。

 

設備投資の意思決定モデル

投資を実行するかの判断基準をざっくりと簡単に表現すると「投資による収益 > 投資額」です。(実際には「キャッシュ・フローの割引現在価値」「資本コスト」「法人税等」などを考慮する必要があります。)

意思決定モデルとは、企業が投資を実行すべきか否かを判断するためにプロジェクトの収支状況を算出する方法のことをいい、代表的なものを以下に示します。

 

時間価値を考慮したモデル

「時間価値」とは「貨幣の時間価値」のことを示しています。プロジェクトにより得られるキャッシュフローの現在価値とプロジェクト投資額を比較して、投資を実行すべきかを判断する方法です。

 

  • 正味現在価値法(NPV)
    正味現在価値法(Net Present Value Method)とは、投資による収益性を重視した意思決定モデルです。
    正味現在価値法(NPV)では、プロジェクトにより得られるキャッシュフローの現在価値からプロジェクトへの投資額を差し引いた結果である「正味現在価値」がプラスであれば、投資を実行するという判断を行う意思決定方法です。
  • 収益性指数法(PI)
    内部収益率法(Profitability Index Method)とは、投資による収益性を重視した意思決定モデルです。
    収益性指数法(PI)では、プロジェクトにより得られるキャッシュフローの現在価値をプロジェクトへの投資額で割った結果が1より大きければ、投資を実行するという判断を行う意思決定方法です。
  • 内部収益率法(IRR)
    内部収益率法(Internal Rate of Return Method)とは、投資による収益性を重視した意思決定モデルです。
    内部収益率法(IRR)では、正味現在価値が「0」となる「割引率」が、企業が存続する限り最低限発生するコストである「資本コスト」よりも高ければ、投資を実行するという判断を行う意思決定方法です。

 

時間価値を考慮しないモデル

  • 回収期間法
    回収期間法とは、投資による安全性を重視した意思決定モデルです。
    回収期間法では、プロジェクトへの投資額を回収できる期間を算出して、その回収期間が想定するプロジェクトの終了期限よりも短い場合は、投資を実行するという判断を行う意思決定方法です。

 

正味現在価値法(NPV)

正味現在価値は、以下の計算式で算出します。

問題文によっては、1年後にプロジェクトに投資するケースなどもあるため、「プロジェクトへの投資額(の現在価値)」という表記にしています。

 

 

上記の計算式で算出された結果に基づき、以下の基準で投資の可否を判断します。
正味現在価値が大きいほど、より良い投資案ということになります。

 

 

「正味現在価値=0」の場合は、投資して頑張っても結果はトントンだということなので投資は実行しない。という判断になります。

 

内部収益率法(IRR)

内部収益率法(IRR)では、以下の基準で投資の可否を判断します。
内部収益率は、計算式で簡単に算出することができませんので、投資の可否を判断する基準だけ記載します。

内部収益率が高いほど、より良い投資案ということになります。

 

 

資本コストとは、企業が存続する限り最低限発生するコストであり、企業としては資本コストよりも収益性の低いプロジェクトに投資すべきではありません。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成30年度 第22問】

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 

経済命数がいずれも2年で初期投資額Iが同一である2つの投資案AとBがある。各投資案の各期のキャッシュフローR1、R2が以下のように予測されている。いずれも資本コストは5%であり、そのときの内部収益率rと正味現在価値NPVが以下のように計算されている。

 

投資案 I R1 R2 r NPV
A -100万円 10万円 120万円 14.7% 18.4万円
B -100万円 100万円 20万円 17.1% 13.4万円

 

(設問1)

投資案Aと投資案Bのどちらを採択するかについて、内部収益率法と正味現在価値法では結論が異なっている。その理由として、最も適切なものはどれか。

 

ア 会計的投資利益率の相違
イ 回収期間法における回収期間の相違
ウ 再投資における収益率の相違
エ 割引キャッシュフロー法であるかないかの相違

 

(設問2)

投資案Aと投資案Bのいずれを採択すべきか。①結論と②その根拠を示す計算方法の組み合わせとして、最も適切なものを選べ。

 

①:投資案A
②:差額投資案A-Bを計算し、その内部収益率または正味現在価値を計算する。
①:投資案A
②:差額投資案A-Bを計算し、その内部収益率を資本コストとして正味現在価値を計算する。
①:投資案B
②:差額投資案A-Bを計算し、その内部収益率または正味現在価値を計算する。
①:投資案B
②:差額投資案A-Bを計算し、その内部収益率を資本コストとして正味現在価値を計算する。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

設備投資の意思決定モデルである「正味現在価値法(NPV)」と「内部収益率法(IRR)」によって投資案を採択する知識を問う問題です。

 

「正味現在価値法(NPV)」と「内部収益率法(IRR)」により求めた結論が異なるというパターンについては、過去にも似た問題が出題されたことがありますので、以下のページも参考にしてください。

 

 

(設問1)

「正味現在価値法(NPV)」と「内部収益率法(IRR)」で求めた結論が異なっている理由を求められています。

正解となる選択肢の文章も微妙な表現となっているため、非常に難しい問題です。

 

(ア) 不適切です。

代表的な「設備投資の意思決定モデル」として紹介していませんが、「会計的投資利益率法」も1つの手法です。

「会計的投資利益率法」とは、投資による収益性を重視した意思決定モデルですが、「正味現在価値法(NPV)」と「内部収益率法(IRR)」の結論に影響を与えるものではないため、選択肢の内容は不適切です

 

会計的投資利益率法

「会計的投資利益率法」は投資に対する平均利益の割合で表され、収益性の観点から投資案の評価を行います。

投資案の評価に際しては、企業として設定した「目標投資利益率」を上回るものを採用することとなります。また、複数の投資案から選択する場合は「会計的投資利益率」が高いものが優れた投資案と判断することができます。

 

「会計的投資利益率」は、分母に採用する金額により「総投資利益率」と「平均投資利益率」の2種類に分類することができます。

 

 

平均投資利益率の分母である「平均投資額」は「総投資額 ÷ 2」として求められますが、これは、投資された資本が減価償却という形で毎期に渡って費用化された場合、投下された資本の全ての期間における平均残高が、総投資額の2分の1となるためです。

 

(イ) 不適切です。

「回収期間法」とは、投資による安全性を重視した意思決定モデルですが、「正味現在価値法(NPV)」と「内部収益率法(IRR)」の結論に影響を与えるものではないため、選択肢の内容は不適切です

 

回収期間法

回収期間は、計算式で簡単に算出することができませんので、投資の可否を判断する基準だけ記載します。

回収期間法では、以下の基準で投資の可否を判断します。
回収期間が短いほど、より良い投資案ということになります。

 

 

回収期間法は、時間価値を考慮しないため、投資の意思決定モデルとしては不完全ですが、投資の安全性を簡単に判断することができるというメリットがあります。

 

(ウ) 適切です。

消去法からこの選択肢を選ぶことになりますが、しっくりときません。

問題文には「初期投資額」という言葉しか出てきませんが、選択肢には「再投資」という言葉が出てきます。2年後に同額を再投資するのかとも考えましたが、そういう記述も見当たらなかったため、「初期投資額=再投資」として考えていきます

 

投資では「同額の投資」により得られる「収益の総額」が同額の場合は、「投資」からできるだけ早い時期に多くの「収益」を得られる投資案の方が優れています

例えば、問題文で与えられた数値を少し修正して、以下のように「収益の総額」を同額とした場合は、「1年目(R1)」に多くの収益を得られる「投資案B」の方が優れた投資案となります。

 

投資案 I R1 R2 r NPV
A -100万円 20万円 100万円 10.5% 9.8万円
B -100万円 100万円 20万円 17.1% 13.4万円

 

今回の問題では、「正味現在価値」で判断すると「投資A」の方が優れており、「内部収益率」で判断すると「投資B」の方が優れているという結果になっていますが、投資額が同額の複数の投資案において「正味現在価値法」と「内部収益率法」で結論が異なるのは、それぞれの投資案で得られる「収益の総額」が異なる場合に発生します。

 

今回の「投資案A」と「投資案B」を「投資」に対する「収益の総額」の割合として求められる「収益率」という指標で比較すると以下の通りとなります。

 

  • 投資案A:収益総額(130万円)÷ 投資額(100万円)× 100% = 130%
  • 投資案B:収益総額(120万円)÷ 投資額(100万円)× 100% = 120%

 

つまり、「正味現在価値法」と「内部収益率法」の結論が異なっているのは、「収益率の相違」によるものであるため、選択肢の内容は適切です

 

(エ) 不適切です。

「正味現在価値法(NPV)」と「内部収益率法(IRR)」は、いずれも「時間価値を考慮した意思決定モデル」であり「割引キャッシュフロー法」に該当するため、選択肢の内容は不適切です

 

答えは(ウ)です。

 

(設問2)

2つの投資案を評価する方法には、それぞれの投資案の収益性を算出して評価する方法と、2つの投資案の差額キャッシュ・フローを用いて評価する方法があります。

今回のように、「それぞれの投資案の収益性を比較して評価する方法」で投資案を評価した結果、どちらも収益性は確保できているが、どちらの投資案が優れているかを判断できない場合は、2つの投資案の差額キャッシュ・フローを用いて、優れている投資案を確認することができます。

 

問題では、「内部収益率または正味現在価値」となっていますが、「正味現在価値法(NPV)」と「内部収益率法(IRR)」の両方で投資案を比較してみます。

 

正味現在価値法(NPV)

「正味現在価値法(NPV)」では「差額CF」の正味現在価値を算出した結果、以下の基準で投資案の優劣を判断します。

 

  • 差額CF(投資案A - 投資案B)
    • NPV >0の場合:投資案Aの方が優れている。
    • NPV< 0の場合:投資案Bの方が優れている。

 

今回の問題における投資案Aと投資案Bの「差額CF(A-B)」と「正味現在価値(NPV)」を算出すると以下の通りとなります。

 

投資案 I R1 R2 NPV
A -100万円 10万円 120万円 18.4万円
B -100万円 100万円 20万円 13.4万円
差額CF
(A-B)
0万円 -90万円 100万円 5.0万円

 

「差額CF(A-B)」の「正味現在価値(NPV)」がプラスとなるため、「投資案A」の方が収益性に優れている(採択すべきである)と判断することができます。

 

内部収益率法(IRR)

「内部収益率法(IRR)」における判断方法は少し難しいです。

 

今回の問題における投資案Aと投資案Bの「差額CF(A-B)」と「内部収益率(r)」を算出します。

 

投資案 I R1 R2 r
A -100万円 10万円 120万円 14.7%
B -100万円 100万円 20万円 17.1%
差額CF
(A-B)
0万円 -90万円 100万円 11.1%

 

実際の試験においては試験時間も短いため、「差額CF(A-B)」の「内部収益率(r)」を算出することも難しいと思いますが、図示すると以下の通りとなります。

 

 

「差額CF(A-B)」の「内部収益率(r)」は「11.1%」ですが、割引率が「11.1%」よりも低ければ「投資案A」の方が優れており、割引率が「11.1%」よりも高ければ「投資案B」の方が優れていると判断することができます。

今回の問題では、「割引率 = 資本コスト:5%」であり、割引率が「11.1%」よりも低いため、「投資案A」の方が優れている(採択すべきである)と判断することができます。

 

答えは(ア)です。


 

コメント

タイトルとURLをコピーしました