今回は、「財務・会計 ~R2-23 設備投資の経済性計算(16)各期の税引後CF~」について説明します。
目次
財務・会計 ~令和2年度一次試験問題一覧~
令和2年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
設備投資の経済性計算(一次試験) -リンク-
本ブログにて「設備投資の経済性計算(一次試験)」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- R5-17 設備投資の経済性計算(19)IRR
- R3-18 設備投資の経済性計算(17)年間の税引後CF
- R3-19 設備投資の経済性計算(18)NPV・PI
- R1-23 設備投資の経済性計算(15)意思決定モデル
- H30-22 設備投資の経済性計算(14)NPV・IRR
- H29-15 設備投資の経済性計算(1)各期の税引後CF
- H28-17-1 設備投資の経済性計算(2)意思決定モデル
- H28-17-2 設備投資の経済性計算(3)投資により得られるCF
- H28-17-3 設備投資の経済性計算(4)例題(法人税を考慮しない場合)
- H28-17-4 設備投資の経済性計算(5)例題(法人税を考慮する場合)
- H28-17-5 設備投資の経済性計算(6)例題(NPV・PI)
- H28-17-6 設備投資の経済性計算(7)IRR
- H27-16 設備投資の経済性計算(8)NPV
- H26-16 設備投資の経済性計算(9)NPV・IRR
- H25-17 設備投資の経済性計算(11)意思決定モデル
- H25-18 設備投資の経済性計算(10)回収期間法
- H24-18 設備投資の経済性計算(12)投資案の採否
- H22-15 設備投資の経済性計算(13)
設備投資の経済性計算(二次試験) -リンク-
本ブログにて「設備投資の経済性計算(二次試験)」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【令和2年度 第23問】
当期首に1,500万円をある設備(耐用年数3年、残存価額ゼロ、定額法)に投資すると、今後3年間にわたって、各期末に900万円の税引前キャッシュフローが得られる投資案がある。税率を30%とすると、この投資によって各期末の税引後キャッシュフローはいくらになるか。最も適切なものを選べ。
ア 180万円
イ 280万円
ウ 630万円
エ 780万円
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
当期首の設備投資より得られる各期末の税引後キャッシュフローを算出する問題です。
「税引後キャッシュフロー」を求められているため、法人税を考慮する必要があります。
キャッシュフローの発生について
今回の問題において、キャッシュフローが発生する要素は以下の3点がありますので、それぞれの要素について発生するキャッシュフローを確認していきます。
- 設備投資
- 各期末に得られるキャッシュフロー
- 減価償却費
設備投資
当期首に行われる設備投資により、「1,500万円」の現金支出(COF)が発生します。
あくまで、説明において「設備投資により発生するキャッシュフローの推移」を作成することを目的として算出しています。
各期末に得られるキャッシュフロー
当期首に行われる設備投資により、今後3年間にわたって、各期末に900万円の「税引前キャッシュフロー」が得られます。
「税引前キャッシュフロー」から「税引後キャッシュフロー」を求めるためには、法人税を考慮して「税引前キャッシュフロー」から支払う法人税「税引前キャッシュフロー × 法人税率」を控除する必要があるため、手元に残るキャッシュ(CIF)を、以下の計算式により算出します。
- CIF = 税引前キャッシュフロー ×( 1 - 法人税率 )
= 900万円 ×( 1 - 30% )
= 630万円
減価償却費による節税効果
減価償却費は実際にキャッシュアウトするわけではありませんが、法人税を考慮する場合は節税効果が働くため、節税効果分だけCIFに追加する必要があります。
- 減価償却費 = 取得原価 ÷ 耐用年数 = 1,500万円 ÷ 3年 = 500万円
- CIF = 減価償却費 × 法人税率 = 500万円 × 30% = 150万円
減価償却費による節税効果(例)
減価償却費による節税効果について少し補足します。
- 減価償却費20百万円の計上により、利益が20百万円減少します。
- 利益が20百万円減少したため、納付すべき法人税を「20百万円×法人税率40%=8百万円」だけ節約することができます。
- 減価償却費が計上されますが、実際にキャッシュアウトするわけではありません。にもかかわらず、納付する法人税が8百万円減少したので、企業が得した現金(入手した現金)は「CIF=8百万円」となります。
設備投資により発生するキャッシュフローの推移
上記で説明した「設備投資」「各期末に得られるキャッシュフロー」「減価償却費による節税効果」を用いて、設備投資により発生するキャッシュフローの推移を整理すると以下の通りとなります。
したがって、今回の問題で求められている「この投資によって発生する各期末の税引後キャッシュフロー」は「780万円」です。
時間がある方は「H29-15 設備投資の経済性計算(1)各期の税引後CF」も併せて確認してみてください。
答えは(エ)です。
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