今回は、「運営管理 ~R2-38 物流センター管理(15)物流センター運営~」について説明します。
目次
運営管理 ~令和2年度一次試験問題一覧~
令和2年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
物流センター運営 -リンク-
本ブログにて「物流センター運営」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- 物流センター運営のまとめ
- R4-36 物流センター管理(19)物流センター運営
- R3-37 物流センター管理(17)物流センター運営
- R1-37 物流センター管理(12)物流センター運営
- H30-35 物流センター管理(2)物流センター運営
- H29-38 物流センター管理(4)物流センター運営
- H28-37 物流センター管理(5)物流センター機能・設計
- H28-38 物流センター管理(6)物流センター運営
- H27-34 物流センター管理(7)物流センター運営
- H27-37 物流センター管理(9)物流センター運営
- H27-38 物流センター管理(10)物流センター機能・設計
- H26-34 物流センター管理(13)物流センター機能・設計
- H26-35 物流センター管理(14)物流センター運営
トラック運送・船舶輸送・貨客混載 -リンク-
本ブログにて「トラック運送」「船舶輸送」「貨客混載」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- トラック運送・船舶輸送・貨客混載のまとめ
- R5-34 輸配送管理(17)中継輸送
- R4-32 輸配送管理(14)輸送手段の特徴
- R4-35 輸配送管理(16)トラックの積載率
- R3-33 輸配送管理(11)輸送手段
- R3-34 輸配送管理(12)共同輸送
- R2-36 輸配送管理(9)輸送手段
- R1-34 輸配送管理(7)輸送手段の特徴
- R1-35 輸配送管理(8)輸送形態
- R1-37 物流センター管理(12)物流センター運営
- H30-32 輸配送管理(1)配送経路(セービング法)
ピッキング
「ピッキング」とは、作業者(ピッカー)が、伝票や指示書にしたがって、保管場所から必要な商品を取り出す作業のことをいいます。
ピッキングの種類
「ピッキング」は、「トータルピッキング(種まき方式)」と「シングルピッキング(摘み取り方式)」の2種類の方法に分類されます。
トータルピッキング(種まき方式)
「トータルピッキング」とは、複数の出荷先からの出荷オーダーの商品をまとめてピッキング(取り出す)した後、個別の出荷オーダーごとに商品を仕分ける作業方法のことであり、「種まき方式」とも呼ばれています。
同一商品を何度もピッキングする無駄を省くことができるため作業員の移動距離を短くすることができるというメリットがありますが、商品の仕分け作業に熟練度を要するというデメリットもあります。
仕分け
「仕分け」とは、物品を品種別、送り先方面別、顧客別などに分ける作業のことをいいます。
シングルピッキング(摘み取り方式)
「シングルピッキング」とは、1つの出荷オーダーごとに保管場所から商品をピッキング(取り出す)する最も基本的な作業方法のことであり、「摘み取り方式」「オーダーピッキング」とも呼ばれています。
作業内容がシンプルのため作業精度を高く維持できるというメリットがありますが、同一商品を何度もピッキングするため作業員の移動距離が長くなるというデメリットもあります。
デジタルピッキング
「デジタルピッキング」とは、保管棚に取り付けたデジタル表示器の指示にしたがって、作業者が商品をピッキングする仕組みのことをいいます。
作業者はライトの付いた保管棚に行って、デジタル表示器に表示された数量をピッキングするため、商品知識が無くても正確に仕分け作業を実施することができます。
ピッキングカートシステム
「ピッキングカートシステム」とは、台車(カート)に表示された指示にしたがって、作業者が保管棚から商品をピッキングする仕組みのことをいいます。
ASN(Advanced Shipping Notice)
「ASN(Advanced Shipping Notice)」とは、供給者が商品を出荷する前に、納品先に「納品予定日」「発注番号」「商品コード」「数量」などの情報を通知する電子データ(事前出荷明細)のことをいいます。
供給者が商品を出荷する前に、納品先に「納品予定日」「発注番号」「商品コード」「数量」などの情報を通知すること、またはその仕組みのことを「ASN」ということもあります。
納品先は、「ASN(事前出荷明細)」により、納品される商品の情報を事前に把握することができるため、検品作業を効率化したり、納品予定の商品を在庫として引き当てることができます。
納品先では、1種類の商品を梱包した外箱に印字された「ITFシンボル」や、混載の場合に外箱に貼付された「SCMラベル」を、供給者から事前に受け取った「ASN(事前出荷明細)」と照合することで瞬時に検品することができます。
また、「通過型物流センター(TC)」において、ベンダーから入荷した貨物(商品)を、物流センターで開梱することなく、パレットやケース単位で仕分けてトラックの積み替えのみを行って出荷する「クロスドッキング」を運用する場合は、「ASN(事前出荷明細)」の活用が欠かせません。
プロセスセンター
「プロセスセンター」とは、スーパーマーケット業界の生鮮食品などにおいて、商品の加工、値札付け、包装といった作業を一括して行う物流施設のことをいいます。
「プロセスセンター」の目的は、外食業界における「セントラルキッチン」と同様に店舗コストを削減することであり、「プロセスセンター」で加工した商品を各店舗に配送することによって、各店舗における作業コストや調理場スペースを削減することができます。
トラック運送
標準貨物自動車運送約款
トラック運送業においては、運送の対価である「運賃」の範囲が不明瞭であり、以下に示すような具体的な問題が顕在化していたため、荷主とトラック事業者の間で適正な運賃を収受できる環境を整備することを目的として、平成29年11月に「標準貨物自動車運送約款」の改正が行われました。
「標準貨物自動車運送約款」とは、国土交通省が制定する荷主とトラック事業者の契約書のひな形のことをいいます。
トラック運送業において問題となる具体的行為類型
- 運送委託者が、運送受託者の運転手等に依頼し、契約で定められていない業務(発荷主・着荷主の倉庫内荷役、ピッキング、仕分け、清掃、検査・検収、ラベル貼り等)について、無償で実施させること(契約外の無償による附帯業務)
- 運送委託者が、運送受託者に、当該運送受託者に委託した取引とは関係のない貨物の積み下ろし作業をさせること
「標準貨物自動車運送約款」では、運送状に運送の対価である「運賃」と運送以外の役務等の対価である「料金」を区別して記載することを義務付けています。
「料金」には、積込み・取卸しの対価として「積込料・取卸料」、荷主都合による荷待ち時間の対価として「待機時間料」、附帯業務の対価として「附帯業務料」を設定します。
附帯業務には「横持ち」「縦持ち」「棚入れ」「ラベル貼り」「はい作業(倉庫等において箱等を一定の方法で 規則正しく積み上げたり崩したりする作業)」があります。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【令和2年度 第38問】
物流センターの運営に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア ASN(Advanced Shipping Notice)は、荷受側が商品の入荷前に作成する入荷情報のことである。
イ スーパーで主に利用されているプロセスセンターは、商品を加工し包装する物流施設である。
ウ トラック運転者が集品先または納品先の荷主の倉庫内で付帯作業を行うことは、法律で禁止されており、契約で定めてはならない。
エ ピッキングする商品品目数がオーダー数より多い場合には、摘み取り方式ではなく種まき方式で行うのが一般的である。
オ 複数の取引先へ同時に出荷する商品が一度に入荷した場合、入荷時に検品すれば、出荷時の検品を省略することができる。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
物流センターの運営に関する知識を問う問題です。
(ア) 不適切です。
「ASN(Advanced Shipping Notice)」とは、供給者が商品を出荷する前に、納品先に「納品予定日」「発注番号」「商品コード」「数量」などの情報を通知する電子データ(事前出荷明細)のことをいいます。
したがって、ASN(Advanced Shipping Notice)は、荷受側が商品の入荷前に作成する入荷情報のことではなく、荷送側が商品の出荷前に作成して荷受側に通知する出荷情報のことであるため、選択肢の内容は不適切です。
(イ) 適切です。
「プロセスセンター」とは、スーパーマーケット業界の生鮮食品などにおいて、商品の加工、値札付け、包装といった作業を一括して行う物流施設のことをいいます。
「プロセスセンター」の目的は、外食業界における「セントラルキッチン」と同様に店舗コストを削減することであり、「プロセスセンター」で加工した商品を各店舗に配送することによって、各店舗における作業コストや調理場スペースを削減することができます。
したがって、スーパーで主に利用されているプロセスセンターは、商品を加工し包装する物流施設であるため、選択肢の内容は適切です。
(ウ) 不適切です。
トラック運送業においては、運送の対価である「運賃」の範囲が不明瞭であり、以下に示すような具体的な問題が顕在化していたため、荷主とトラック事業者の間で適正な運賃を収受できる環境を整備することを目的として、平成29年11月に「標準貨物自動車運送約款」の改正が行われました。
「標準貨物自動車運送約款」とは、国土交通省が制定する荷主とトラック事業者の契約書のひな形のことをいいます。
トラック運送業において問題となる具体的行為類型
- 運送委託者が、運送受託者の運転手等に依頼し、契約で定められていない業務(発荷主・着荷主の倉庫内荷役、ピッキング、仕分け、清掃、検査・検収、ラベル貼り等)について、無償で実施させること(契約外の無償による附帯業務)
- 運送委託者が、運送受託者に、当該運送受託者に委託した取引とは関係のない貨物の積み下ろし作業をさせること
「標準貨物自動車運送約款」では、運送状に運送の対価である「運賃」と運送以外の役務等の対価である「料金」を区別して記載することを義務付けています。
「料金」には、積込み・取卸しの対価として「積込料・取卸料」、荷主都合による荷待ち時間の対価として「待機時間料」、附帯業務の対価として「附帯業務料」を設定します。
附帯業務には「横持ち」「縦持ち」「棚入れ」「ラベル貼り」「はい作業(倉庫等において箱等を一定の方法で 規則正しく積み上げたり崩したりする作業)」があります。
したがって、選択肢には「トラック運転者が集品先または納品先の荷主の倉庫内で付帯作業を行うことは、法律で禁止されており、契約で定めてはならない」と記述されていますが、契約で定められていれば、トラック運転者が集品先または納品先の荷主の倉庫内で付帯作業を行うことはできるため、選択肢の内容は不適切です。
(エ) 不適切です。
「ピッキング」は、「トータルピッキング(種まき方式)」と「シングルピッキング(摘み取り方式)」の2種類の方法に分類されます。
「トータルピッキング」とは、複数の出荷先からの出荷オーダーの商品をまとめてピッキング(取り出す)した後、個別の出荷オーダーごとに商品を仕分ける作業方法のことであり、「種まき方式」とも呼ばれています。
「シングルピッキング」とは、1つの出荷オーダーごとに保管場所から商品をピッキング(取り出す)する最も基本的な作業方法のことであり、「摘み取り方式」「オーダーピッキング」とも呼ばれています。
ピッキングする商品品目数がオーダー数より多い場合(多品種少量)は、商品をまとめてピッキングした後、個別の出荷オーダーごとに商品を仕分ける「種まき方式(トータルピッキング)」よりも、1つの出荷オーダーごとに保管場所から商品をピッキングする「摘み取り方式(シングルピッキング)」の方が効率的です。
したがって、ピッキングする商品品目数がオーダー数より多い場合には、「種まき方式(トータルピッキング)」ではなく「摘み取り方式(シングルピッキング)」で行うのが一般的であるため、選択肢の内容は不適切です。
(オ) 不適切です。
検品とは、商品の入荷や出荷に際して、商品の品質、数量、状態に問題が無いかを確認することをいいます。
複数の取引先へ同時に出荷する商品を一度に入荷した場合、入荷時に検品しますが、その後、取引先ごとに商品を仕分ける作業が発生するため、出荷時にも検品が必要です。
仕分け
「仕分け」とは、物品を品種別、送り先方面別、顧客別などに分ける作業のことをいいます。
したがって、複数の取引先へ同時に出荷する商品が一度に入荷した場合、入荷時に検品しても、出荷時にも検品が必要であるため、選択肢の内容は不適切です。
答えは(イ)です。
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