今回は、「運営管理 ~R1-34 輸配送管理(7)輸送手段の特徴~」について説明します。
目次
運営管理 ~令和元年度一次試験問題一覧~
令和元年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
ユニットロード・パレチゼーション・複合一貫輸送・モーダルシフト・パレット・箱/容器 -リンク-
本ブログにて「ユニットロード」「パレチゼーション」「複合一貫輸送」「モーダルシフト」「パレット」「箱/容器」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- ユニットロード・パレチゼーション・複合一貫輸送・モーダルシフト・パレット・箱/容器のまとめ
- R4-32 輸配送管理(14)輸送手段の特徴
- R4-33 輸配送管理(15)ユニットロード
- R3-33 輸配送管理(11)輸送手段
- R3-36 輸配送管理(13)ユニットロード
- R2-36 輸配送管理(9)輸送手段
- R2-37 輸配送管理(10)ユニットロード
- H30-33 輸配送管理(2)ユニットロード
- H29-35 輸配送管理(3)輸送手段
- H29-36 輸配送管理(4)ユニットロード
- H28-35 輸配送管理(6)ユニットロード
トラック運送・船舶輸送・貨客混載 -リンク-
本ブログにて「トラック運送」「船舶輸送」「貨客混載」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- トラック運送・船舶輸送・貨客混載のまとめ
- R5-34 輸配送管理(17)中継輸送
- R4-32 輸配送管理(14)輸送手段の特徴
- R4-35 輸配送管理(16)トラックの積載率
- R3-33 輸配送管理(11)輸送手段
- R3-34 輸配送管理(12)共同輸送
- R2-36 輸配送管理(9)輸送手段
- R2-38 物流センター管理(15)物流センター運営
- R1-35 輸配送管理(8)輸送形態
- R1-37 物流センター管理(12)物流センター運営
- H30-32 輸配送管理(1)配送経路(セービング法)
一貫パレチゼーション
複数の物品や包装貨物を「パレット」に積載してユニット化することを「パレチゼーション」といい、複数の物品や包装貨物を同一の「パレット」に乗せたまま、出発地から到着地まで輸送・保管することを「一貫パレチゼーション」といいます。
「一貫パレチゼーション」によって、輸送や保管に関わる要員の作業費用を削減したり、荷役に関する作業時間を短縮することができます。
また、輸送工程の途中で「ユニットロード」を積み崩す必要がないため、荷物に付くキズなどを防止することもできます。
問題点
- 「一貫パレチゼーション」により「輸送効率」を向上することができますが、「パレット」を積載したときに隙間ができるなど「積載効率」や「保管効率」が悪くなります。
- 「JIS」によって、「パレット」の規格が定められてはいますが、業界ごとに別の標準規格が定められているなど、「パレット」の統一規格が普及していないため、発送元の企業と受取先の企業が異なる規格の「パレット」を利用しているケースにおいては「一貫パレチゼーション」を実現できません。
- 貨物の輸送に使用した「パレット」を到着地から回収する必要があります。また、「パレット」を回収するまでの間にも別の荷物を貨物しなければならず「パレット」を余計に準備する必要があるなど、「パレット」の「回収コスト」や「保有コスト」が高くなってしまいます。
複合一貫輸送
「複合一貫輸送」とは、「ユニットロード」を組み替えることなく「トラック運送」「鉄道輸送」「海上輸送」といった複数の輸送方法を組み合わせて、出発地から到着地まで貨物を輸送することをいいます。
モーダルシフト
「モーダルシフト」とは、トラックによる貨物輸送を「鉄道輸送」や「海上輸送」といった環境負荷の低い大量輸送機関に転換することをいい、「二酸化炭素の排出量を削減すること」を目的とした環境保護の取り組みの1つです。
貨物輸送において環境負荷を低減する取り組みには「モーダルシフト」「輸配送の共同化」「輸送網の集約」などがありますが、その中でも「モーダルシフト」は、特に環境負荷を低減する効果が大きい取り組みです。
トラック輸送による二酸化炭素排出量と比較すると、鉄道輸送では「11分の1」に、船舶輸送では「6分の1」に抑制できるため、二酸化炭素排出量の大幅な削減を期待されています。
「モーダルシフト」を推進するためには、一括輸送するために必要な貨物量を確保することや、輸送途中における荷物の積み替えを効率化することが課題とされていますが、複数荷主による混載便により必要な貨物量を確保したり、カーフェリーを利用してトラックそのものを海上輸送することで荷物の積み替えをなくすなどの方法も数多く利用されています。
船舶輸送
船舶輸送には、貨物を積載した車両ごと船内に積み込んで運搬できる「RORO(roll-on roll-off)船」による輸送と、クレーンやリフトでコンテナを吊り上げて貨物の積み下ろしを行う「LOLO船(lift-on lift-off)」による輸送があります。
RORO(roll-on roll-off)船
「RORO(roll-on roll-off)船」とは、船と陸地を橋渡しして車両を自走させるランプウェイを有しており、トラックやトレーラーから貨物を積み下ろすことなく、貨物を積載した車両ごと船内に積み込んで運搬する貨物船のことをいいます。
旅客を輸送しない「カーフェリー」といった方がイメージが湧きやすいと思います。
「RORO(roll-on roll-off)船」は、トラックやトレーラーから貨物を積み下ろすことなく、貨物を積載した車両ごと船内に積み込んで運搬する貨物船であるため、「LOLO船(lift-on lift-off)」よりも、素早く貨物を積み下ろしすることができますが、車両ごと船内に積み込むため貨物の積載効率は劣っています。
LOLO(lift-on lift-off)船
「LOLO(lift-on lift-off)船」とは、船上や陸地に設置しているクレーンやリフトで「コンテナ」を吊り上げて、貨物の積み下ろしを行う貨物船のことをいいます。
「コンテナ船」といった方がイメージが湧きやすいと思います。
「LOLO船(lift-on lift-off)」は、船上や陸地に設置しているクレーンやリフトで「コンテナ」を吊り上げて、貨物の積み下ろしを行う貨物船であるため、「RORO(roll-on roll-off)船」よりも、貨物の積み下ろしに時間がかかりますが、貨物の積載効率は優れています。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【令和元年度 第34問】
輸送手段の特徴に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア RORO(roll-on roll-off)船は、貨物を積載したトラックやトレーラーなどの車両をそのまま船内へ積み込んで輸送することが可能である。
イ 鉄道輸送は、鉄道コンテナの大きさが平パレットの規格に合っていないので、一貫パレチゼーションを阻害する。
ウ トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトは、トラックと鉄道の複合一貫輸送を阻害する。
エ トラック輸送の長所は、鉄道や船舶での輸送に比べて、輸送トンキロ当たり二酸化炭素排出量が少ないことである。
オ 路線便は、貨物を積み合わせて一車単位にまとまるときに利用するトラックの輸送サービスであり、発地から着地まで積み替えを行わずに直行輸送する。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
輸送手段の特徴に関する知識を問う問題です。
(ア) 適切です。
「RORO(roll-on roll-off)船」とは、船と陸地を橋渡しして車両を自走させるランプウェイを有しており、トラックやトレーラーから貨物を積み下ろすことなく、貨物を積載した車両ごと船内に積み込んで運搬する貨物船のことをいいます。
旅客を輸送しない「カーフェリー」といった方がイメージが湧きやすいと思います。
したがって、「RORO(roll-on roll-off)船」は、貨物を積載したトラックやトレーラーなどの車両をそのまま船内へ積み込んで輸送することが可能であるため、選択肢の内容は適切です。
(イ) 不適切です。
複数の物品や包装貨物を「パレット」に積載してユニット化することを「パレチゼーション」といい、複数の物品や包装貨物を同一の「パレット」に乗せたまま、出発地から到着地まで輸送・保管することを「一貫パレチゼーション」といいます。
「一貫パレチゼーション」によって、輸送や保管に関わる要員の作業費用を削減したり、荷役に関する作業時間を短縮することができます。
また、輸送工程の途中で「ユニットロード」を積み崩す必要がないため、荷物に付くキズなどを防止することもできます。
「JIS」によって、「パレット」の規格が定められてはいますが、業界ごとに別の標準規格が定められているなど、「パレット」の統一規格が普及していないため、発送元の企業と受取先の企業が異なる規格の「パレット」を利用しているケースにおいては「一貫パレチゼーション」を実現できません。
つまり、一概に鉄道コンテナの大きさが平パレットの規格に合っていないとは言えないため、選択肢の内容は不適切です。
(ウ) 不適切です。
「モーダルシフト」とは、トラックによる貨物輸送を「鉄道輸送」や「海上輸送」といった環境負荷の低い大量輸送機関に転換することをいい、「二酸化炭素の排出量を削減すること」を目的とした環境保護の取り組みの1つです。
また、「複合一貫輸送」とは、「ユニットロード」を組み替えることなく「トラック運送」「鉄道輸送」「海上輸送」といった複数の輸送方法を組み合わせて、出発地から到着地まで貨物を輸送することをいいます。
したがって、トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトは、トラックと鉄道の複合一貫輸送を阻害するものではないため、選択肢の内容は不適切です。
(エ) 不適切です。
「モーダルシフト」とは、トラックによる貨物輸送を「鉄道輸送」や「海上輸送」といった環境負荷の低い大量輸送機関に転換することをいい、「二酸化炭素の排出量を削減すること」を目的とした環境保護の取り組みの1つです。
トラック輸送による二酸化炭素排出量と比較すると、鉄道輸送では「11分の1」に、船舶輸送では「6分の1」に抑制できるため、二酸化炭素排出量の大幅な削減を期待されています。
したがって、トラック輸送は、鉄道や船舶での輸送に比べて、輸送トンキロ当たり二酸化炭素排出量が多くなるため、選択肢の内容は不適切です。
(オ) 不適切です。
「路線便」とは、トラック単位で調達して荷物を目的地に直接輸送する「貸切便」や「チャーター便」とは異なり、トラックに複数社の荷物を混載して、路線会社の配送ルートと拠点を経由して輸送することをいいます。
厳密には違いますが、宅配便をイメージすると理解しやすいと思います。
トラック単位の料金ではなく一緒に積載した荷物との個数割となるため、小口の貨物であっても物量に応じた価格で荷物を輸送することができるというメリットがありますが、路線会社の拠点において荷物を積み替える際に荷物に傷が入る可能性があったり、荷物の配送に時間がかかるというデメリットがあります。
したがって、「路線便」は、貨物を積み合わせて一車単位にまとまるときに利用するトラックの輸送サービスではありますが、発地から着地まで積み替えを行わずに直行輸送するのではなく、路線会社の拠点において荷物を積み替えを実施するため、選択肢の内容は不適切です。
答えは(ア)です。
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