事例Ⅳ ~令和2年度試験問題一覧~

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本ブログに掲載している令和2年度の「事例Ⅳ」に関する記事の対応表を以下に示します。

2021年2月27日 08:00現在

目次

過去問題の解説

 

問題 配点 カテゴリ 該当記事
第1問 設問1 25点 経営分析 事例Ⅳ 解答例(1)
事例Ⅳ 解答例(2)
設問2
第2問 設問1 30点 損益分岐点分析 事例Ⅳ 解答例(3)
設問2 設備投資の経済性計算
ディシジョン・ツリー
事例Ⅳ 解答例(4)
事例Ⅳ 解答例(5)
事例Ⅳ 解答例(6)
第3問 設問1 20点 企業結合の会計処理 事例Ⅳ 解答例(7)
設問2 企業価値 事例Ⅳ 解答例(8)
第4問 設問1 25点 ROI:投下資本利益率 事例Ⅳ 解答例(9)
設問2
設問3 事例Ⅳ 解答例(10)

 

解答例一覧

令和2年度(事例Ⅳ)の解答例一覧を以下に示します。
それぞれの問題に関する解説は、該当の記事を参照してください。

 

第1問(配点25点)

(設問1)

D社および同業他社の当期の財務諸表を用いて比率分析を行い、同業他社と比較した場合のD社の財務指標のうち、①優れていると思われるものを1つ、②劣っていると思われるものを2つ取り上げ、それぞれについて、名称を(a)欄に、計算した値を(b)欄に記入せよ。(b)欄については、最も適切と思われる単位をカッコ内に明記するとともに、小数点第3位を四捨五入した数値を示すこと。

 

(a) (b)
棚卸資産回転率 3.91 (回)
売上高販管費比率 24.24 (%)
負債比率 532.24 (%)

 

(設問2)

D社の当期の財政状態および経営成績について、同業他社と比較した場合の特徴を60字以内で述べよ。

 

  • 顧客からの高い評判で棚卸資産の回転が速く効率性は高いが、丁寧な顧客対応の費用負担で収益性が低く多額の借入金で安全性が低い。(60文字)

 

第2問(配点30点)

(設問1)

ステーキ店の当期の売上高は60百万円、変動費は39百万円、固定費は28百万円であった。変動費率は、売上高70百万円までは当期の水準と変わらず、70百万円を超えた分については60%になる。また、固定費は売上高にかかわらず一定とする。その場合の損益分岐点売上高を求めよ。(a)欄に計算過程を示し、計算した値を(b)欄に記入すること。

 

(a)計算過程
売上高70百万円までの変動費率:39百万円 ÷ 60百万円 = 65%
売上高70百万円における損益:70百万円 - 70百万円 × 65% - 28百万円 = ▲3.5百万円
売上高70百万円では3.5百万円の損失が発生するため、損失分岐点売上高は70百万円よりも高くなる。
損益分岐点売上高を「X」として、以下の計算式により損益分岐点売上高を算出する。
X -{( X - 70百万円 )× 60% + 70百万円 × 65% }- 28百万円 = 0
損益分岐点売上高:X = 78.75百万円

 

(b)損益分岐点売上高
78.75百万円

 

(設問2)

D社が次期期首に行うべき意思決定について、キャッシュ・フローの正味現在価値に基づいて検討することとした。①の場合の正味現在価値を(a)欄に、②の場合の正味現在価値を(b)欄に、3つの選択肢のうち最適な意思決定の番号を(c)欄に、それぞれ記入せよ。(a)欄と(b)欄については、ⅰ欄に計算過程を示し、ⅱ欄に計算結果を小数点第3位を四捨五入して示すこと。

 

(設問2-a)①の場合

(i)計算過程

・広告宣伝の効果が出る場合のキャッシュ・フロー(効果が出る確率:70%)
▲5百万 ×( 1 + 0.926 + 0.857 + 0.794 + 0.735 )+35 百万円 ×( 0.926 + 0.857 + 0.794 + 0.735 + 0.681 )+ 24 百万円 × 0.681 = 134.539 百万円
・広告宣伝の効果が出ない場合のキャッシュ・フロー(効果が出ない確率:30%)
▲5百万 ×( 1 + 0.926 + 0.857 )+ ▲5百万 ×( 0.926 + 0.857 + 0.794 )+28 百万円 × 0.794 = ▲4.568 百万円
・キャッシュ・フローの正味現在価値
134.539 百万円 × 70% + ▲4.568 百万円 × 30% = 92.8069 百万円 ≒ 92.81 百万円 (小数点第3位を四捨五入)

 

(ii)キャッシュ・フローの正味現在価値

92.81 百万円

 

(設問2-b)②の場合

(i)計算過程

・営業が順調に推移する場合のキャッシュ・フロー(営業が順調に推移する確率:40%)
▲30 百万円 + 12.5 百万円 × 0.926+25 百万円 ×( 0.857 + 0.794 + 0.735 + 0.681 )+ 27 百万円 × 0.681=76.637 百万円
・営業が順調に推移しない場合のキャッシュ・フロー(営業が順調に推移しない確率:60%)
▲30 百万円 + 7.5 百万円 × 0.926+15 百万円 ×( 0.857 + 0.794 + 0.735 + 0.681 )+ 27 百万円 × 0.681=41.337 百万円
・キャッシュ・フローの正味現在価値
76.637 百万円 × 40% + 41.337 百万円 × 60% = 55.457 百万円 ≒ 55.46 百万円 (小数点第3位を四捨五入)

 

(ii)キャッシュ・フローの正味現在価値

55.46 百万円

 

(設問2-c)3つの選択肢のうち最適な意思決定の番号

 

第3問(配点20点)

(設問1)

買収が成立した場合、E社の純資産額と買収価格の差異に関してD社が行うべき会計処理を40字以内で説明せよ。

 

時価純資産額と買収価格の差額100百万円を、負ののれん発生益として特別利益に計上する。(40文字)

 

(設問2)

この買収のリスクについて、買収前に中小企業診断士として相談を受けた場合、どのような助言をするか、60字以内で述べよ。

 

DCF法などにより当期純損失を計上しているE社の企業価値を評価することと銀行借り入れによって財政状態の安全性が悪化すること。(60文字)

 

第4問(配点25点)

(設問1)

(a)戸建住宅事業および(b)D社全体について、当期のROIをそれぞれ計算せよ。解答は、%で表示し、小数点第3位を四捨五入すること。

 

(a) 4.31 (%)
(b) 2.55 (%)

 

(設問2)

このソフトウェアを導入した場合の次期における戸建住宅事業のROIを計算せよ。解答は、%で表示し、小数点第3位を四捨五入すること。

 

4.02 (%)

 

(設問3)

取締役に対する業績評価の方法について、中小企業診断士として助言を求められた。現在の業績評価の方法における問題点を(a)欄に、その改善案を(b)欄に、それぞれ20字以内で述べよ。

 

(a) 取締役が全社利益拡大に関心を持たなくなる。(20文字)
(b) 資本コストを考慮したRIも併用して評価する。(20文字)

 

一次試験と二次試験の違い

二次試験の事例Ⅳでは「商業簿記」に関する知識はあまり必要とされません。
昨年の試験では、連結財務諸表に関する知識が求められましたが、与件文に出てきた「圧縮記帳」については記述試験の中で問われませんでした。おそらく、口述試験で「圧縮記帳によりD社の業務成績にどのような影響があるか?」などの質問をするために挿入されたものだと想定されます。(口述試験であれば、記述試験の合格通知が来てから勉強すれば十分に間に合います。)

 

つまり、二次試験は「工業簿記」を中心に勉強を進めれば、合格圏に近い得点を取ることができます。「工業簿記」は、ロジカルな思考でじっくりと読んでいけば理解することができ、あとは何度も何度も問題を繰り返して体で覚えていけば解けるようになっていきます。

 

もちろん、二次試験に向けて勉強すべきなのは「工業簿記」だけではありませんが、以下の図に示すように、「商業簿記」は「論述問題」を中心に「工業簿記」は「計算問題」を中心に意識して勉強していくことをお薦めします。

 

 

二次試験の中で「事例Ⅰ~事例Ⅲ」は正解のない試験なので、試験当日の自身の体調や、たった一つの勘違いによって得点が大きくぶれる可能性がありますが、「事例Ⅳ」の試験問題は半分以上が計算により正解を求める試験なので、得意科目にしておけば、自信をもって試験に臨むことができますし、ある程度安定した得点を取ることができます。

 

口述試験に向けて

口述試験の目的は、コミュニケーション能力を確認することです。

口述試験を受験される方々は、これまでの試験を通じて中小企業診断士としての知識を有していると認められた方々ですが、中小企業診断士は中小企業の社長と接する職業であるため、知識だけでなくコミュニケーション能力に問題がないかを確認する必要があると考えられます。

おそらくですが、「コミュニケーション能力を有しているか。」ではなく「コミュニケーション能力に問題がないか。」というレベルで確認しています。つまり、コミュニケーションにおいて致命的な問題がないかを見極めています。

皆さんが面接官の立場になって考えてみるとよく分かります。よほどの理由がない限り、苦労してここまでの試験を突破してきた受験者を不合格にすることはできないはずです。

したがって、相手に不快感を与えるような失礼な態度や発言がないように気を付けて、他の人と同じように面接に臨めば、不合格になる可能性は極めて低いと考えられるため、二次試験の内容を熟読した上で、自信をもって面接に臨みましょう。

 

沈黙を避ける

口述試験でやってはいけない代表的なことは「沈黙」です。
実際の口述試験はかなり緊張するため、どれだけ準備していても沈黙に陥る可能性が高いです。私自身も口述試験で沈黙してしまった記憶があります。(私のときは面接官が助け舟を出してくれました。)

ここでは「沈黙を避ける」ための方法についていくつか紹介しておきます。

 

質問内容をオウム返しする

面接官から質問されて解答する順番になったときの時間稼ぎとして有効です。
解答の最初に「それでは、お伺いした(質問の内容)についてご説明させていただきます。」というだけで5秒くらいは稼げます。

 

質問内容を聞き返す

面接官の質問を聞き取れなかった場合や意味が分からなかったふりをして「質問の意味は●●であっていますでしょうか?」と確認しましょう。
面接官は「はい。そうです。」とだけ答えるかもしれませんが、数秒は稼ぐことができます。
ただ、あまり印象がよくないと思うので、面接の中で何度も使わない方が良いと思います。

 

最後の手段は分からないと答える

あまり使いたくない方法ですが、最後の手段として、まったく解答が思いつかない場合は、「勉強してきたのですが、緊張のため忘れてしまいました。」と答えてしまう勇気も必要です。沈黙よりはマシだと思ってください。

 

口述試験の対策

私は「一次試験」と「二次試験(記述試験)」についてはすべて独学で勉強しましたが、「二次試験(口述試験)」については、2社ほど模擬面接を受けました。

 

模擬面接を受ける

「口述試験」で一番重要なのは面接に慣れておくことです。
ここまで来て「口述試験」で不合格になるわけにはいかないため、多少の出費はかさみますが、模擬面接を受験することをお薦めします。

模擬面接でも十分に緊張します。緊張したときに自分が沈黙せずに場を繕うことができるのかを実際に経験することで、試験対策することができます。

 

声を出して解答する練習をする

これから、色々なところから想定問題集を入手したり、ご自身で解答を書いてみたりすると思いますが、実際に声に出して解答する練習をしましょう

ご自身が書いた解答を実際に声に出してみると、なかなか話しづらいものです。
声に出して練習することで、解答への理解も深まるし、自分の解答の欠点などにも気付くことができます。

 

記述試験の合格発表から口述試験までの期間が短いため悩んでいる時間はありません。
口述試験当日に自信をもって臨めるように、準備を進めましょう。


 

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