今回は、「運営管理 ~H26-35 物流センター管理(14)物流センター運営~」について説明します。
目次
運営管理 ~平成26年度一次試験問題一覧~
平成26年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
- 運営管理 ~平成26年度一次試験問題一覧~
物流センター運営 -リンク-
本ブログにて「物流センター運営」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- 物流センター運営のまとめ
- R4-36 物流センター管理(19)物流センター運営
- R3-37 物流センター管理(17)物流センター運営
- R2-38 物流センター管理(15)物流センター運営
- R1-37 物流センター管理(12)物流センター運営
- H30-35 物流センター管理(2)物流センター運営
- H29-38 物流センター管理(4)物流センター運営
- H28-37 物流センター管理(5)物流センター機能・設計
- H28-38 物流センター管理(6)物流センター運営
- H27-34 物流センター管理(7)物流センター運営
- H27-37 物流センター管理(9)物流センター運営
- H27-38 物流センター管理(10)物流センター機能・設計
- H26-34 物流センター管理(13)物流センター機能・設計
物流ABC(Activity Based Costing:活動基準原価計算)
「物流ABC」とは、物流で発生する業務を「活動(Activity)レベル」まで分解して、その活動単位に設定した「単価」とその活動の「処理量」から算出される標準原価と、実際に発生した原価を比較して、コストの最適化を図る管理手法のことをいいます。
「物流ABC」では、物流コストを包括的に評価するのではなく活動単位で評価するため、問題が発生している箇所や改善すべきポイントを特定しやすいというメリットがあります。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成26年度 第35問】
ある企業が物流センターのコストを削減するために、出荷作業についてABC分析を実施した。このときに作成した下表に基づき、下記の設問に答えよ。
アクティビティ名 アクティビティ
原価(円)月間処理量 人件費
(円)機械設備費
(円)資材消耗品費
(円)数量 単位 ピッキング準備 30,000 3,000 行 27,000 0 3,000 ケースピッキング 120,000 500 ケース 100,000 20,000 0 ピースピッキング 150,000 5,000 ピース 125,000 20,000 5,000 段ボール箱梱包 16,000 100 箱 6,000 0 10,000 行き先別仕分け 60,000 600 ケース 60,000 0 0 荷札貼付 15,000 600 枚 12,000 0 3,000 合計 391,000 - - 330,000 40,000 21,000
(設問1)
物流コストを削減する効果が最も大きいものはどれか。
ア 「行き先別仕分け」にかかる作業時間を短縮して人件費を10%削減する。
イ 「ケースピッキング」にかかる作業時間を短縮して人件費を8%削減する。
ウ 「段ボール箱梱包」の資材消耗品の調達価格を下げて資材消耗品費を20%削減する。
エ 「荷札貼付」にかかる人件費を10%削減するとともに、資材消耗品費を50%削減する。
(設問2)
アクティビティ単価として最も適切なものの組み合わせを、下記の解答群から選べ。
a ケースピッキング 200円/ケース
b ピースピッキング 25円/ピース
c 段ボール箱梱包 100円/箱
d 行き先別仕分け 100円/ケース
e 荷札貼付 25円/枚
[解答群]
ア aとb
イ aとd
ウ bとc
エ cとe
オ dとe
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答(設問1)
「物流ABC」に関する知識を問う問題です。
「物流ABC」とは、物流で発生する業務を「活動(Activity)レベル」まで分解して、その活動単位に設定した「単価」とその活動の「処理量」から算出される標準原価と、実際に発生した原価を比較して、コストの最適化を図る管理手法のことをいいます。
「物流ABC」では、物流コストを包括的に評価するのではなく活動単位で評価するため、問題が発生している箇所や改善すべきポイントを特定しやすいというメリットがあります。
「物流ABC」についてあまり詳しく知らなくても、それぞれのコスト削減案により実現されるコスト削減額を算出して、その効果が大きいものを選択します。
各選択肢のコスト削減額
選択肢 | アクティビティ名 | 原価種別 | 削減前コスト | 削減率 | コスト削減額 | |
ア | 行き先別仕分け | 人件費 | 60,000 | 10% | 6,000 | |
イ | ケースピッキング | 人件費 | 100,000 | 8% | 8,000 | |
ウ | 段ボール箱梱包 | 資材消耗品費 | 10,000 | 20% | 2,000 | |
エ | 荷札貼付 | 人件費 | 12,000 | 10% | 1,200 | 2,700 |
資材消耗品費 | 3,000 | 50% | 1,500 |
したがって、物流コストを削減する効果が最も大きいのは、「ケースピッキング」にかかる作業時間を短縮して「人件費」を「8%」削減する対策の場合です。
答えは(イ)です。
考え方と解答(設問2)
「アクティビティ単価」とは、1単位当たりのアクティビティ原価のことをいいます。
「アクティビティ原価 ÷ 数量」によって、それぞれのアクティビティにおける「アクティビティ単価」を算出します。
各アクティビティのアクティビティ単価
アクティビティ名 | アクティビティ 原価(円) |
月間処理量 | アクティビティ 単価(円) |
|
数量 | 単位 | |||
ピッキング準備 | 30,000 | 3,000 | 行 | 10 円/行 |
ケースピッキング | 120,000 | 500 | ケース | 240 円/ケース |
ピースピッキング | 150,000 | 5,000 | ピース | 30 円/ピース |
段ボール箱梱包 | 16,000 | 100 | 箱 | 160 円/箱 |
行き先別仕分け | 60,000 | 600 | ケース | 100 円/ケース |
荷札貼付 | 15,000 | 600 | 枚 | 25 円/枚 |
合計 | 391,000 | - | - |
したがって、アクティビティ単価が正しいのは「d 行き先別仕分け 100円/ケース」と「e 荷札貼付 25円/枚」です。
答えは(オ)です。
コメント