事例Ⅲ ~②見込生産と受注生産~
今回は、中小企業診断士の二次試験(事例Ⅲ)において、よく題材となっている「見込生産と受注生産」について説明します。
目次
見込生産と受注生産
「見込生産と受注生産」は、試験問題で問われるというよりも、事例Ⅲの与件文を読むための常識として理解しておく必要があります。
「常識として」ということは、与件文を読んだときに「この企業は受注生産の生産形態を採用しているから。。。」という風に考えるのではなく、受注生産を採用している場合の重点管理項目などを瞬時に把握できるようにしておく必要があるということです。
既に一次試験で学習済みだとは思いますが、各生産形態の特徴を以下に示します。
生産形態 | 特徴 |
見込生産 | 製品の需要予測に基づき、企業が定めた仕様の製品を大量に生産する形態のことをいいます。 |
受注生産 | 顧客からの注文に基づき、顧客から指定を受けた仕様に従って製品を生産する形態のことをいいます。 |
見込生産
生産者が市場の需要を見越して企画・設計した製品を生産し、不特定な顧客を対象として市場に出荷する形態。(JISZ8141-3203)
受注生産
顧客が定めた仕様の製品を生産者が生産する形態。
備考 見込生産を改めて、受注生産の特徴を取り込んだ生産形態にすることを受注生産化という。
(JISZ8141-3204)
見込生産
「見込生産」とは、製品の需要予測に基づき、企業が定めた仕様の製品を大量に生産する形態のことをいいます。
需要予測に基づき生産した製品を在庫として管理して、顧客から注文を受けたら、在庫から製品を払い出して顧客に納品します。品切れにより、顧客からの受注に対応できないことがないようにする必要があるため、正確な需要予測に基づく「在庫管理」が重要です。
見込生産の流れイメージ
在庫管理(⑥重点ポイントの説明 在庫管理)
「在庫管理」のポイントは、営業が入手する需要予測または受注情報に基づき、製品ごとに適正な在庫水準を設定して、生産量と出荷量のバランスを取りながら、適正な在庫水準を維持していくことです。
- 在庫管理とは、適正な在庫水準を設定して維持することである。
受注生産
受注生産とは、顧客からの注文に基づき、顧客から指定を受けた仕様に従って製品を生産する形態のことをいいます。
顧客から注文を受けてから製品の生産に着手します。顧客から指定された納期を遵守する必要があるため、生産リードタイムの短縮による「納期管理」が重要です。
受注生産の流れイメージ
納期管理(事例Ⅲ ~①重点ポイントの説明 生産管理~)
「納期管理」には様々なポイントがあるため、代表的な内容を以下に抜粋しておきます。
- 顧客から注文を受けた時点で、迅速に受注情報を生産計画に反映して連携する。
- 一元的に生産統制(進捗管理、現品管理、余力管理)を徹底する。
- 各工程における進捗管理を実施する。
- 資材または製品ごとの現品管理を実施する。
- 作業員の多能工化などにより、受注量の変動に対応できる生産体制を構築する。
- 「作業の標準化・マニュアル化・教育の実施」により、生産現場の作業手順を統一化して、作業者による作業品質や時間のバラツキを無くす。
- 材料や部品などの資材を発注している外部業者の納期管理を徹底する。
「見込生産と受注生産」は、事例Ⅲの与件文を読むための常識として理解しておく必要があるため、与件文を読んだ時点で、採用している生産形態の違いによる重点的に管理すべき項目の違いなどを瞬時に頭に思い浮かべられるようにしておきましょう。