事例Ⅲ ~令和2年度試験問題一覧~
本ブログに掲載している令和2年度の「事例Ⅲ」に関する記事の対応表を以下に示します。
2021年3月11日 08:00現在
目次
全体構成の理解
事例Ⅰ~事例Ⅲの問題では、最初に、試験問題の全体像を把握して、それぞれの問題で与件文のどこを参考にして解答するかを考えることをお薦めします。
令和2年度の試験問題では「第1問」の「C社の弱み」を選択するのが非常に難しくなっています。
「創業からの事業変遷を理解した上で」「○○業界における」「○○面における」といった条件が一切なく単純に「C社の弱みを述べよ」と求められており、与件文全体から「C社の弱み」に該当する箇所を抽出しても、その数が多すぎてどれを選択すればよいのか分からないため、「第4問」まで解答した後、最後に「C社の弱み」を選択していくことになるのではないかと思います。
また、「第2問」と「第3問」の両方で、納期遅延に対する対策を求められているため、与件文から抽出した内容を「第2問」と「第3問」にどう振り分ければよいかが分かりづらい構成となっていますが、試験問題の全体像を把握してそれぞれの問題で求められていることの本質を理解すれば、割と簡単に振り分けることができたりします。(ただ、すごく時間がかかりますが。。。)
このように、最初に、試験問題の全体像を把握して、それぞれの問題で与件文のどこを参考にして解答するかを考えることが非常に重要です。
本ブログの対応表
問題 | 配点 | 問題概要 | 該当記事 |
第1問 | 20点 | C社の強みと弱み | 事例Ⅲ 第1問 |
第2問 | 40点 | C社の営業部門で生じている問題点とその対応策 | 事例Ⅲ 第2問 |
C社の製造部門で生じている問題点とその対応策 | |||
第3問 | 20点 | C社の納期遅延の対策に有効な社内のIT活用 | 事例Ⅲ 第3問 |
第4問 | 20点 | モニュメント事業の充実と拡大を狙うC社の戦略 | 事例Ⅲ 第4問 |
事例Ⅲの出題の趣旨
「中小企業診断協会」のWebサイトに公開されている出題の趣旨を以下に示します。
第1問(配点20点)
ステンレス加工業C社の事業内容を把握し、C社の強みと弱みを分析する能力を問う問題である。
第2問(配点40点)
(設問1)
納期遅延の発生に影響しているC社営業部門の問題点を整理し、その解決策を助言する能力を問う問題である。
(設問2)
納期遅延の発生に影響しているC社製造部門の問題点を整理し、その解決策を助言する能力を問う問題である。
第3問(配点20点)
C社の納期遅延の対策に有効な社内のIT活用について、助言する能力を問う問題である。
第4問(配点20点)
モニュメント事業の充実と拡大を狙うC社の戦略について、助言する能力を問う問題である。
解答例一覧
令和2年度(事例Ⅲ)の解答例一覧を以下に示します。
それぞれの問題に関する解説は、該当の記事を参照してください。
第1問(配点20点)
C社の(a)強みと(b)弱みを、それぞれ40字以内で述べよ。
(a)C社の強み
高付加価値製品を製作する高い溶接・研磨技術と設計から据付までの一貫生産体制の保有(40文字) |
(b)C社の弱み
加工物の大型化に対応できない工場建屋と標準化が確立されておらず脆弱な業務プロセス(40文字) |
第2問(配点40点)
C社の大きな悩みとなっている納期遅延について、以下の設問に答えよ。
(設問1)
C社の営業部門で生じている(a)問題点と(b)その対応策について、それぞれ60字以内で述べよ。
(a)営業部門で生じている問題点
問題点は、顧客とのやりとりが多く発生する顧客承認までの製作前プロセスに時間を要して製作期間を十分に確保できないことである。(60文字) |
(b)営業部門で生じている問題点の対応策
3次元CADを導入して造形物のイメージを摺合わせることで顧客とのやり取りを減らし承認までの時間を短縮して製作期間を確保する。(60文字) |
(設問2)
C社の製造部門で生じている(a)問題点と(b)その対応策について、それぞれ60字以内で述べよ。
(a)製造部門で生じている問題点
問題点は、複雑な形状など高度な加工技術が必要な製品などの受注内容によって、製作期間が生産計画をオーバーすることである。(59文字) |
(b)製造部門で生じている問題点の対応策
工程順序や工数見積もりの標準化を行い全行程の工数見積もりと納期を考慮してスケジューリングすることで生産計画の精度を高める。(60文字) |
第3問(配点20点)
C社社長は、納期遅延対策として社内のIT化を考えている。C社のIT活用について、中小企業診断士としてどのように助言するか、120字以内で述べよ。
見直された業務プロセスに基づく生産計画システムを構築して余力情報に基づく作業チームや加工物の移動が発生しない作業スペースの割り当てを行う。システムで受注情報、製品仕様情報、CADデータを共有して打ち合わせや最終検査の製品修正や手直しを削減する。(120文字) |
第4問(配点20点)
C社社長は、付加価値の高いモニュメント製品事業の拡大を戦略に位置付けている。モニュメント製品事業の充実、拡大をどのように行うべきか、中小企業診断士として120字以内で助言せよ。
作業チーム再編成による技術力の平準化とOJT教育による技術力の底上げを図る。工場建屋を増築して高さ制限緩和と作業スペース確保をSLPによるレイアウト見直しでモノの移動の削減を図る。設計業務の製造部移管により営業力を強化して安定した受注確保を図る。(120文字) |