財務・会計 ~H28-8-1 損益分岐点分析(CVP分析)(1)~

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平成28年度 第8問について説明するため、「損益分岐点分析(CVP分析)」「直接原価計算」と順を追って説明していきます。

というわけで、今回は「財務・会計 ~H28-8-1 損益分岐点分析(CVP分析)(1)~」について説明します。

 

「損益分岐点分析(CVP分析)」は二次試験(事例Ⅳ)で出題される論点のため、一次試験の段階からしっかりと勉強しておきましょう。

 

目次

財務・会計 ~平成28年度一次試験問題一覧~

平成28年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

損益分岐点分析(一次試験) -リンク-

一次試験に向けて「損益分岐点分析(CVP分析)」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

損益分岐点分析(二次試験) -リンク-

二次試験(事例Ⅳ)に向けた「損益分岐点分析(CVP分析)」の記事は、以下のページに整理していますので、アクセスしてみてください。

 

 

損益分岐点分析(CVP分析)とは

「損益分岐点分析(CVP分析)」では、総費用を変動費と固定費に区分して、目標利益を達成するために必要な売上高や製品の販売数量を分析するなど企業が利益計画を立てるために必要な数値を求めることができます。

「損益分岐点分析(CVP分析)」は、企業の費用構造に関する安全性を分析する手法です。

企業の費用構造上、総費用に占める固定費の割合が低くなると、世の中の不況などの外部環境の変化により売上高が低下しても利益を確保することができるなど、外部環境の変化に対する抵抗力が強くなります。

 

損益分岐点分析

「損益分岐点分析(CVP分析)」は総原価を変動費と固定費に区分して、目標利益を達成するために必要な売上高や製品の販売数量を分析するなど企業が利益計画を立てるために必要な数値を導き出します。

 

変動費と固定費

「損益分岐点分析(CVP分析)」では、費用を「変動費」と「固定費」に区分して分析を行います。

 

変動費

「変動費」とは「製品の生産量」に比例して増減する費用であり、直接材料費、直接労務費などが該当します。

 

 

固定費

「固定費」とは「製品の生産量」に関わらず定額で発生する費用であり、設備の減価償却費や、管理部門の従業員に対する給与などが該当します。

 

 

変動費 + 固定費

「変動費」と「固定費」を合計した金額の直線を「総費用曲線」といいます。

 

 

「損益分岐点分析」では、以下のように変動費を下方に記述した方が理解しやすいので、以下の図で説明を進めていきます。

 

 

損益分岐点

「損益分岐点」とは「売上高」と「総費用」が等しくなり「利益」がゼロとなる点のことをいいます。

「売上曲線」はゼロから始まり「生産量」に比例して右肩上がりの直線です。
以下に示すように「総費用曲線」に「売上曲線」を追記したときの交点(青い点)が「損益分岐点」です。

 

 

損益分岐点売上高

「損益分岐点」における「売上高」のことを「損益分岐点売上高」といいます。

「損益分岐点」よりも右側に行く(売上高が高くなる)と「利益」が発生しており、損益分岐点よりも左側に行く(売上高が低くなる)と「損失」が発生していることを示しています。

 

 

変動費率と貢献利益率

上記の損益分岐点図表に記載されている「変動費率」と「貢献利益率」について説明します。

 

変動費率

変動費率は、売上高に対する変動費の割合を示す指標です。
分母が原価の総額ではなく、売上高であることに注意してください。

変動費率は、以下の公式で求めることができます。

 

貢献利益率

貢献利益は、売上高から変動費を差し引いた数値であり「固定費+利益」です。(厳密には少し違いますが。)

貢献利益率は、以下の公式で求めることができます。

 

損益分岐点売上高

損益分岐点売上高については、公式の算出過程を説明します。

公式だけ覚えておくと、応用問題に対応することができないので、是非算出過程から理解してください。

 

公式の算出過程

損益分岐点売上高は利益が「0」となる売上高のことです。

売上高から原価(変動費と固定費)を減算した時に、利益が「0」となります。

  • 売上高 - 変動費 - 固定費 = 0
  • 変動費 = 売上高 × 変動費率

この式を変形していくと。

  • 売上高 - 売上高 × 変動費率 - 固定費 = 0
  • 売上高 ×(1-変動費率)- 固定費 = 0
  • 売上高 ×(1-変動費率)= 固定費
  • 売上高 = 固定費 ÷(1-変動費率)

損益分岐点売上高(利益が「0」となる売上高)の公式は以下の通りです。

 

応用例1(目標利益〇〇万円を達成するための売上高)

応用例の1つ目として、目標利益を金額〇〇万円とする場合、目標を達成するための売上高をいくらに設定すればよいか。について公式を導いてみます。

  • 売上高 - 変動費 - 固定費 = 目標利益
  • 売上高 - 売上高 × 変動費率 - 固定費 = 目標利益
  • 売上高 ×(1-変動費率)- 固定費 = 目標利益
  • 売上高 ×(1-変動費率)= 固定費 + 目標利益
  • 売上高=(固定費+目標利益)÷(1-変動費率)

目標利益の金額〇〇万円を達成するための売上高を求める公式は以下の通りです。

 

応用例2(売上高の〇〇%の利益目標を達成するための売上高)

続いて応用例の2つ目として、目標利益を「売上高の〇〇%」と設定する場合、目標を達成するための売上高をいくらに設定すればよいか。について公式を導いてみます。

  • 売上高 - 変動費 - 固定費 =売上高 × 〇〇%
  • 売上高 - 売上高 × 変動費率 -固定費 = 売上高 × 〇〇%
  • 売上高 - 売上高 × 変動費率 -売上高 × 〇〇% = 固定費
  • 売上高 ×(1-変動費率- 〇〇%)= 固定費
  • 売上高 = 固定費 ÷(1- 変動費率 - 〇〇%)

目標利益を売上高の〇〇%とする場合、目標を達成するための売上高を求める公式は以下の通りです。

 

応用例3(損益分岐点を達成する製品販売数量)

続いて応用例の3つ目として、損益分岐点を達成するための販売数量を求める公式を導いてみます。

  • 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1- 変動費率)
  • 損益分岐点売上高 ÷ 製品販売単価 = 固定費 ÷(1- 変動費率)÷ 製品販売単価
  • 損益分岐点販売数量 = 固定費 ÷ (製品販売単価 - 製品販売単価 × 変動費率)
  • 損益分岐点販売数量 = 固定費 ÷ (製品販売単価 - 製品単位の変動費)
  • 損益分岐点販売数量 = 固定費 ÷  製品単位の貢献利益

 

公式だけ覚えておくと、応用問題に対応することができないので、是非算出過程から理解してください。一番重要なのは「売上高 - 変動費 - 固定費 = 利益」という計算式です。


次回は、「損益分岐点分析(CVP分析)(2)」として、損益分岐点比率と安全余裕率について説明します。

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