今回は、「財務・会計 ~H23-11 損益分岐点分析(CVP分析)(7)~」について説明します。
目次
財務・会計 ~平成23年度一次試験問題一覧~
平成23年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
損益分岐点分析(一次試験) -リンク-
一次試験に向けて「損益分岐点分析(CVP分析)」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- R4-12-2 損益分岐点分析(CVP分析)(12)
- R3-12 損益分岐点分析(CVP分析)(11)
- R2-21 損益分岐点分析(CVP分析)(10)
- H30-11 損益分岐点分析(CVP分析)(9)
- H28-8-1 損益分岐点分析(CVP分析)(1)
- H28-8-2 損益分岐点分析(CVP分析)(2)
- H27-10 損益分岐点分析(CVP分析)(3)
- H26-7 損益分岐点分析(CVP分析)(4)
- H25-8 損益分岐点分析(CVP分析)(5)
- H24-11 損益分岐点分析(CVP分析)(6)
- H22-9 損益分岐点分析(CVP分析)(8)
損益分岐点分析(二次試験) -リンク-
二次試験(事例Ⅳ)に向けた「損益分岐点分析(CVP分析)」の記事は、以下のページに整理していますので、アクセスしてみてください。
損益分岐点分析(CVP分析)とは
「損益分岐点分析(CVP分析)」では、総費用を変動費と固定費に区分して、目標利益を達成するために必要な売上高や製品の販売数量を分析するなど企業が利益計画を立てるために必要な数値を求めることができます。
「損益分岐点分析(CVP分析)」は、企業の費用構造に関する安全性を分析する手法です。
企業の費用構造上、総費用に占める固定費の割合が低くなると、世の中の不況などの外部環境の変化により売上高が低下しても利益を確保することができるなど、外部環境の変化に対する抵抗力が強くなります。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成23年度 第11問】
公表されているY社の経営指標は、損益分岐点比率が75%、売上高営業利益率が10%、営業利益が1,600万円である。変動費率として最も適切なものはどれか。
ア 25%
イ 40%
ウ 60%
エ 90%
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
売上高営業利益率
最初に、問題文で与えられている「売上高営業利益率」と「営業利益」の数値から、Y社の「売上高」を求めます。
- 1,600万円 ÷ 売上高 × 100% = 10%
- 売上高 = 16,000万円
損益分岐点比率
続いて、上記で求めた「売上高」と問題文で与えられている「損益分岐点比率」から「損益分岐点売上高」を求めます。
- 損益分岐点売上高 ÷ 16,000万円 × 100% = 75%
- 損益分岐点売上高 = 12,000万円
変動費率の算出
上記で求めた「売上高」と「損益分岐点売上高」の数値を使って変動費率を算出します。
変動費率は、連立方程式を解くことで求めることができます。
変動費率
変動費率は「売上高」に対する「変動費」の割合で表されます。
連立方程式を作成するにあたって「変動費」が以下の計算式で求められることは知っておく必要があります。
Y社の売上高による方程式
- 売上高 - 変動費 - 固定費 = 営業利益
- 売上高 ×( 1 - 変動費率 )- 固定費 = 営業利益
- 16,000万円 ×( 1 - 変動費率 )- 固定費 = 1,600万円
損益分岐点売上高による方程式
- 損益分岐点売上高 - 変動費 - 固定費 = 0円
- 損益分岐点売上高×( 1 - 変動費率 )- 固定費 = 0円
- 12,000万円 ×( 1 - 変動費率 )- 固定費 = 0円
連立方程式による変動費率の算出
- 4,000万円 ×( 1 - 変動費率 )= 1,600万円
- 1 - 変動費率 = 40%
- 変動費率 = 60%
損益分岐点売上高
損益分岐点売上高(利益が「0」となる売上高)の公式は以下の通りです。
問題を読んだ段階では「損益分岐点売上高」の公式を使用して解く問題ではないかと考えてしまいがちですが、実際にはこの公式を使うことはありません。
損益分岐点分析(CVP分析)では、公式だけ覚えておくと応用問題に対応することができないので、「損益分岐点売上高」の公式を算出する過程を必ず理解してください。
公式の算出過程
損益分岐点売上高は利益が「0」となる売上高のことです。
売上高から原価(変動費と固定費)を減算した時に、利益が「0」となります。
- 売上高 - 変動費 - 固定費 = 0
- 変動費 = 売上高 × 変動費率
この式を変形していくと。
- 売上高 - 売上高 × 変動費率 - 固定費 = 0
- 売上高 ×(1-変動費率)- 固定費 = 0
- 売上高 ×(1-変動費率)= 固定費
- 売上高 = 固定費 ÷(1-変動費率)
答えは(ウ)です。
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