財務・会計 ~R1-15 効率的フロンティア(2)~

シェアしてもらえたらうれしいです!

見出し


にほんブログ村に参加しています。
記事の内容にご満足いただけた方は、以下のボタンをクリックしてもらえると嬉しいです。
にほんブログ村

にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へ


今回は、「財務・会計 ~R1-15 効率的フロンティア(2)~」について説明します。

財務・会計 ~令和元年度一次試験問題一覧~

令和元年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

効率的フロンティア(有効フロンティア) -リンク-

「効率的フロンティア(有効フロンティア)」については、過去にも説明していますので、以下のページにもアクセスしてみてください。

金融資産の分類

投資家が投資する金融資産には「安全資産(無リスク資産)」と「リスク資産」の2種類があります。

安全資産(無リスク資産)

安全資産(無リスク資産)は、基本的に債務不履行のリスクがなく、預貯金や国債のようにあらかじめ将来のリターンが確定されている金融資産のことをいいます。

安全資産の収益率は「安全利子率(無リスク利子率・リスクフリーレート)」といいますが、将来のリターンが確定されているということは、安全利子率が「定数」であることを意味しています。

「安全利子率」が定数ということは、リターンのばらつきを示す「分散・標準偏差」がゼロであり、この後に説明するリスク資産との「相関係数」もゼロとなります。

リスク資産

「リスク資産」は、株式投資のように、高利回りが期待されるが元本割れの危険もあり将来のリターンが不確実な金融資産のことをいいます。

「リスク資産」は、その名の通りリスクのある金融資産ということになりますが、1つの金融資産に投資するよりも、複数の金融資産に分散投資することによりリスクを低減することができます。

ポートフォリオ理論では「投資家は合理的でリスク回避的である」という前提に基づき、リターンのばらつきを示す「分散・標準偏差」でリスクを数値化して、小さなリスクで大きなリターンを得られる効率的な金融資産への投資比率を決定していきます。

一般的に「リスク」とは「危険」を表す言葉として認知されていますが、正確には「リスク」とは「不確実性さ」を意味しています

例えば、「ハイリスクハイリターン」な金融商品とは、大損をする可能性もあれば大儲けできる可能性もある商品のことをいいますが、これは「危険が大きければ儲けも大きくなる可能性がある」のではなく「不確実な度合いが大きければ儲けも大きくなる可能性がある」ということを意味しています。

リスクリターングラフ

「リスクリターングラフ」とは、「リスク(標準偏差)」を横軸に「リターン(期待収益率)」を縦軸にしたグラフのことをいいます。

「リスクリターングラフ」では、「ハイリスク・ハイリターンな投資A」と「ローリスク・ローリターンな投資B」で構成されるポートフォリオの「リスク(標準偏差)」と「リターン(期待収益率)」が、その構成比率によってどのように推移するかを表しています。

投資Aと投資Bのプロット

最初に「リスクリターングラフ」に「投資A」と「投資B」をプロットします。

「ハイリスク・ハイリターンな投資A」と「ローリスク・ローリターンな投資B」であるため、「投資A」はグラフの右上方にプロットして「投資B」はグラフの左下方にプロットします。

ポートフォリオの構成比率の変動に伴うリスク-リターンの推移

「投資B」に100%投資した場合のリスクとリターンを表す「B点」から「投資A」の比率を徐々に増やしていった場合、一般的にリスクとリターンがどのように推移するかを線で結んでいくと「リスクリターングラフ」が完成します。

一般的に、「リスクリターングラフ」は以下の図のとおり「投資A」の比率を徐々に増やしていくと、一定の投資構成比率までは分散投資の効果が働いてリスクが下がりリターンが高くなっていきますが、一定の投資構成比率を超えるとリスクが徐々に高まっていくというような推移をします。

効率的フロンティア(有効フロンティア)

「効率的フロンティア」とは、投資家が選択可能なリスク資産の組み合わせ(投資機会集合)の中で、投資家にとって「最も有利となる選択肢」を表現した曲線のことをいいます。

「最も有利となる選択肢」とは、リターンが同じであれば最もリスクが小さい投資の組み合わせ、リスクが同じであれば最もリターンが大きい投資の組み合わせを意味しています。

投資機会集合

効率的フロンティア

資本市場線

「資本市場線」とは、Y軸上にある「安全資産(無リスク資産)」の期待収益率である「安全利子率(無リスク利子率・リスクフリーレート)」から「効率的フロンティア」の曲線に接する直線のことをいいます。

「効率的フロンティア」はリスク資産の組み合わせにおける「最も有利となる選択肢」を表現した曲線でしたが、投資家は「リスク資産」だけではなく「無リスク資産」と組み合わせることにより、最適なポートフォリオを構成するよう試みます。

「資本市場線」は、「リスク資産」と「無リスク資産」を組み合わせて、最大の期待収益を得られるポートフォリオを構成するために活用されます。

投資家は「資本市場線」のどこかのポイントを選択して投資を行いますが、どのポイントを選択するかは、投資家のリスク嗜好度によって異なります

例えば、リスク回避型の投資家は国債などの「無リスク資産」の構成割合が高いポイントで、リスクを好む投資家は株式などの「リスク資産」の構成割合が高いポイントでポートフォリオを構成します。

なお、資本市場線と効率的フロンティアの接点のことを「マーケットポートフォリオ」といい、市場にあるすべての銘柄を、各銘柄の時価総額の構成比率に応じて購入して構成されたポートフォリオであり、市場とポートフォリオが連動してほぼ同じ値動きをします。

資本市場線

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和元年度 第15問】

ポートフォリオに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 安全資産とはリスクのない資産であると定義される。
イ 安全資産と有効フロンティア上の任意の点で新しいポートフォリオを作ることにした。このとき、新たなポートフォリオのリスクとリターンの組み合わせは曲線となる。
ウ 安全資産と有効フロンティア上の任意の点で作られる最も望ましいリスク・リターンの組み合わせを証券市場線という。
エ 危険資産のみから構成されるポートフォリオの集合のうち、リスク・リターンの面から望ましい組み合わせのみを選んだ曲線を投資機会集合という。

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

考え方と解答

「効率的フロンティア(有効フロンティア)」に関する知識を問う問題です。

(ア) 適切です。

「安全資産(無リスク資産)」は、基本的に債務不履行のリスクがなく、預貯金や国債のようにあらかじめ将来のリターンが確定されている金融資産のことをいいます。

したがって、安全資産とはリスクのない資産と定義されるため、選択肢の内容は適切です

(イ) 不適切です。

Y軸上にある「安全資産(無リスク資産)」の期待収益率である「安全利子率(無リスク利子率・リスクフリーレート)」から「効率的フロンティア(有効フロンティア)」の曲線に接する直線のことを「資本市場線」といいます

資本市場線

したがって、「安全資産(無リスク資産)」と「効率的フロンティア(有効フロンティア)」上の任意の点で新しいポートフォリオを作ることにしたとき、新たなポートフォリオのリスクとリターンの組み合わせは「曲線」ではなく「直線」となるため、選択肢の内容は不適切です

(ウ) 不適切です。

Y軸上にある「安全資産(無リスク資産)」の期待収益率である「安全利子率(無リスク利子率・リスクフリーレート)」から「効率的フロンティア(有効フロンティア)」の曲線に接する直線のことを「資本市場線」といいます

「資本市場線」は、「リスク資産」と「無リスク資産」を組み合わせて、最大の期待収益を得られるポートフォリオを構成するために活用されます。

資本市場線

したがって、「安全資産(無リスク資産)」と「効率的フロンティア(有効フロンティア)」上の任意の点で作られる最も望ましいリスク・リターンの組み合わせは「証券市場線」ではなく「資本市場線」というため、選択肢の内容は不適切です

(エ) 不適切です。

「効率的フロンティア(有効フロンティア)」とは、投資家が選択可能なリスク資産の組み合わせ(投資機会集合)の中で、投資家にとって「最も有利となる選択肢」を表現した曲線のことをいいます。

「最も有利となる選択肢」とは、リターンが同じであれば最もリスクが小さい投資の組み合わせ、リスクが同じであれば最もリターンが大きい投資の組み合わせを意味しています。

投資機会集合

効率的フロンティア

したがって、危険資産のみから構成されるポートフォリオの集合を「投資機会集合」といい、そのうち、リスク・リターンの面から望ましい組み合わせのみを選んだ曲線のことを「効率的フロンティア(有効フロンティア)」というため、選択肢の内容は不適切です

答えは(ア)です。


シェアしてもらえたらうれしいです!