このブログでは二次試験(事例Ⅲ/事例Ⅳ)についても説明していますので、参考としてください。

財務・会計 ~R1-7 企業会計原則(2)企業会計原則注解~

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今回は、「財務・会計 ~R1-7 企業会計原則(2)企業会計原則注解~」について説明します。

 

結果として「資産除去債務」の会計処理が適切であると解答する問題ではありますが、出題者の意図としては、それ以外の選択肢に記述されている内容が「企業会計原則注解」に則していないことを見極められるか。について確認したかったのではないかと考えられます。

 

財務・会計 ~令和元年度一次試験問題一覧~

令和元年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

企業会計原則 -リンク-

本ブログにて「企業会計原則」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

経過勘定項目 -リンク-

本ブログにて「経過勘定項目」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

引当金 -リンク-

本ブログにて「引当金」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

資産除去債務

「資産除去債務」とは、有形固定資産を売却・廃棄などの方法で処分するときに、現金を支出して除去することが法令または契約によって義務付けられているものおよびそれに準ずるもののことをいいます。

法令または契約によって有形固定資産を除去する義務が発生する場合は、有形固定資産の取得などにより、その義務が発生した時点で負債に「資産除去債務」を計上して、有形固定資産の使用期間に渡って減価償却することで費用を配分する会計処理を行います。

なお、「資産除去債務」には、有形固定資産を除去する際に発生すると想定される支出金額を合理的な方法により算出した後、貨幣の時間価値を反映した「割引現在価値」を計上します。

ただし、「資産除去債務」が発生した時点で、その金額を合理的に算出することができない場合は、合理的に算出することができるようになった時点で負債として計上することができます。

 

仕訳

「資産除去債務」における一連の仕訳を以下に示します。
なお、説明を簡便化するため、割引率は適当なので、ご注意ください

 

有形固定資産の取得(資産除去債務の発生)

有形固定資産を「90,000円」で取得した。(耐用期間:5年/定額法)
なお、当該の有形固定資産は、契約により資産を除去する際に「10,500円」の支出が発生することが見込まれているため、割引現在価値である「10,000円」を「資産除去債務」として計上した。

 

借方 貸方
有形固定資産
有形固定資産
90,000
10,000
現金
資産除去債務
90,000
10,000

 

決算処理(減価償却+利息処理)

毎年の決算処理において、減価償却費を計上した。
また、「資産除去債務」は、貨幣の時間価値を反映した「割引現在価値」で計上されているため、金利に相当する金額を「資産除去債務」に増額した。

 

  • 減価償却費:( 90,000円 + 10,000円 )÷ 5年 = 20,000円

 

借方 貸方
減価償却費
減価償却費(※)
20,000
100
減価償却累計額
資産除去債務
20,000
100

(※)「減価償却費」ではなく「支払利息」とすることもできます。

 

有形固定資産の廃棄(資産除去債務の履行)(5年後)

有形固定資産の取得から5年が経過して、当該の有形固定資産を廃棄した。
「資産除去債務」は「10,500円」を見込んでいたが、実際には「11,000円」であった。

 

借方 貸方
減価償却累計額
資産除去債務
資産除去費用
100,000
10,500
500
有形固定資産
現金
.
100,000
11,000
.

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和元年度 第7問】

負債の会計処理と開示に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

ア 資産除去の義務を伴う有形固定資産を取得した場合、その資産の除去に要する支出額の割引価値を、資産除去債務として負債に計上する。
イ 支払手形や買掛金は、決算日の翌日から1年以内に支払期限が到来するかどうかを基準として、流動負債と固定負債に区分される。
ウ 主たる営業活動以外の取引から生じた未払額は、未払費用として負債に計上される。
エ 将来における大地震等の天災に備えて、災害損失引当金を設定することができる。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

結果として「資産除去債務」の会計処理が適切であると解答する問題ではありますが、出題者の意図としては、それ以外の選択肢に記述されている内容が「企業会計原則注解」に則していないことを見極められるか。について確認したかったのではないかと考えられます。

 

(ア) 適切です。

「資産除去債務」とは、有形固定資産を売却・廃棄などの方法で処分するときに、現金を支出して除去することが法令または契約によって義務付けられているものおよびそれに準ずるもののことをいいます。

法令または契約によって有形固定資産を除去する義務が発生する場合は、有形固定資産の取得などにより、その義務が発生した時点で負債に「資産除去債務」を計上して、有形固定資産の使用期間に渡って減価償却することで費用を配分する会計処理を行います。

なお、「資産除去債務」には、有形固定資産を除去する際に発生すると想定される支出金額を合理的な方法により算出した後、貨幣の時間価値を反映した「割引現在価値」を計上します。

 

したがって、資産除去の義務を伴う有形固定資産を取得した場合、その資産の除去に要する支出額の割引価値を、資産除去債務として負債に計上するため、選択肢の内容は適切です

 

(イ) 不適切です。

「企業会計原則注解(注16)」の「流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準」に関する内容が記述されています。

資産を「流動資産」と「固定資産」に区分する基準(または、負債を「流動負債」と「固定負債」に区分する基準)には、「正常営業循環基準」と「1年基準」があります。

「正常営業循環基準」に基づき、営業取引により発生した資産や負債を「流動資産」または「流動負債」に区分した後、営業取引以外により発生した資産や負債を「1年基準」に基づき、「流動資産」と「固定資産」(または「流動負債」と「固定負債」)に区分します。

 

「正常営業循環基準」に基づく区分

企業が主目的とした営業取引により発生した資産や負債は、全て「流動資産」または「流動負債」に区分します。

つまり、営業取引により発生する「受取手形、売掛金、前払金、支払手形、買掛金、前受金など」の債権や債務は、現金化されるまでの期間が1年を超えるものであっても「流動資産」または「流動負債」に区分します。

ただし、これらの債権のうち「破産債権、更正債権及びこれに準ずる債権」で明らかに1年以内に回収できないと判明している債権については、「固定資産(投資その他の資産)に区分します。(「正常営業循環基準」と呼ばれる理由です。)

 

「1年基準」に基づく区分

上述した営業取引以外で発生した資産や負債は、現金化されるまでの期間が決算日の翌日から起算して1年以内のものは「流動資産」または「流動負債」に、現金化されるまでの期間が決算日の翌日から起算して1年を超えるものは「固定資産」または「固定負債」に区分します。

 

したがって、「支払手形」や「買掛金」は、決算日の翌日から1年以内に支払期限が到来するかどうかを基準として流動負債と固定負債に区分されるのではなく、「正常営業循環基準」に基づいて「流動負債」に区分されるため、選択肢の内容は不適切です

 

企業会計原則注解(注16)(一部抜粋)

~流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について~

受取手形、売掛金、前払金、支払手形、買掛金、前受金等の当該企業の主目的たる営業取引により発生した債権及び債務は、流動資産又は流動負債に属するものとする。ただし、これらの債権のうち、破産債権、更正債権及びこれに準ずる債権で一年以内に回収されないことが明らかなものは、固定資産たる投資その他の資産に属するものとする。

貸付金、借入金、差入保証金、受入保証金、当該企業の主目的以外の取引によって発生した未収金、未払金等の債権及び債務で、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に入金又は支払の期限が到来するものは、流動資産又は流動負債に属するものとし、入金又は支払の期限が一年をこえて到来するものは、投資その他の資産又は固定負債に属するものとする。

(以下、略)

 

 

(ウ) 不適切です。

「企業会計原則注解(注5)」の「経過勘定項目について」に関する内容が記述されています。

「前払費用」「前受収益」「未払費用」「未収収益」といった勘定科目のことを「経過勘定項目」といい、継続的な役務の提供において発生する費用や収益を、発生した期に正しく割り当てるために用いられます

継続的な役務の提供に対する対価は時間の経過とともに発生すると考え、当期の費用・収益と次期以降の費用・収益を明確に区別して損益計算を行うとともに、貸借対照表に「経過勘定項目」として計上しなければなりません。

「経過勘定項目」は、継続的な役務の提供において発生する費用や収益を、発生した期に正しく割り当てるための調整項目ですが、「継続的ではないもの」や「物品の売買など役務の提供には該当しないもの」については、経過勘定項目ではなく「前払金」「前受金」「未払金」「未収金」を使用します。

また、継続的な役務の提供であったとしても、既に契約が終了している場合、支払期限を過ぎて支払っていない費用または受け取っていない費用については「未払金」「未収金」を使用します。

 

したがって、決算日に支払っていない未払額を「未払費用」で計上するかの区分は、「主たる営業活動以外の取引」といったその発生事由ではなく、「継続的な役務の提供を受けているか」により判断されるため、選択肢の内容は不適切です

 

企業会計原則注解(注5) ~経過勘定項目について~

  1. 前払費用
    前払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価をいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の費用となるものであるから、これを当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表の資産の部に計上しなければならない。また、前払費用は、かかる役務提供契約以外の契約等による前払金とは区別しなければならない。
  2. 前受収益
    前受収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、いまだ提供していない役務に対し支払を受けた対価をいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の収益となるものであるから、これを当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表の負債の部に計上しなければならない。また、前受収益は、かかる役務提供契約以外の契約等による前受金とは区別しなければならない。
  3. 未払費用
    未払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、すでに提供された役務に対していまだその対価の支払が終らないものをいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過に伴いすでに当期の費用として発生しているものであるから、これを当期の損益計算に計上するとともに貸借対照表の負債の部に計上しなければならない。また、未払費用は、かかる役務提供契約以外の契約等による未払金とは区別しなければならない。
  4. 未収収益
    未収収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、すでに提供した役務に対していまだその対価の支払を受けていないものをいう。従って、このような役務に対する対価は時間の経過に伴いすでに当期の収益として発生しているものであるから、これを当期の損益計算に計上するとともに貸借対照表の資産の部に計上しなければならない。また、未収収益は、かかる役務提供契約以外の契約等による未収金とは区別しなければならない。

 

 

(エ) 不適切です。

「企業会計原則注解(注18)」の「引当金」に関する内容が記述されています。

当期の活動に起因して次期以降に支出または損失が発生する可能性が高い場合、「引当金繰入勘定(費用)」を計上して「引当金(評価勘定)」にその支出金額または損失金額を繰り入れることで、当期の費用として会計処理を行います。また、次期以降において実際に支出または損失が発生してしまった場合は「引当金(評価勘定)」を切り崩して、その損失を補填します。

厳密に説明すると、「引当金」とは、債権者や株主等の利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにするために、「適正な期間損益計算」や「保守主義の原則」に則った会計処理を行うことを目的として、貸借対照表の負債の部(または資産の部)に繰り入れられる「評価勘定」です。

 

「適正な期間損益計算」への対応

「貸倒引当金」を例にすると、取引先の破産等により、年度末に販売した商品の売上債権を次期以降に回収できなかった(貸し倒れ)場合、売上債権を回収できなかったという事実は次期以降に発生したとしても、その売上債権が発生した事実は当期の収益に関連するものであると考えられるため、費用収益対応の原則や発生主義の原則に基づき、当期の損益計算として計上しておく必要があります。

 

「保守主義の原則」への対応

「保守主義の原則」では、予測される将来の危険に備えて慎重な判断に基づく会計処理を行うことを要請しています。

「貸倒引当金」を例にすると、次期以降に売上債権を回収できない可能性が高く(予測される将来の危険)、その金額を合理的に見積ることができる場合は、将来の費用または損失を先延ばしせずにあらかじめ計上しておく(慎重な判断に基づく会計処理)必要があります。

 

引当金の計上条件

「引当金」を計上するために満たすべき4つの条件を以下に示します。

  1. 将来の特定の費用または損失であること
  2. その費用又は損失が当期以前の事象に起因していること
  3. その費用又は損失が発生する可能性が高いこと
  4. その金額を合理的に見積ることができること

なお、発生の可能性が低い偶発事象に係る費用または損失に関する「引当金」を計上することはできません

 

したがって、「将来における大地震等の天災」については、その費用又は損失が当期以前の事象に起因してしておらず、その費用又は損失が発生する可能性が低く、その金額を合理t系に見積ることができないため、引当金を計上することができません。選択肢の内容は不適切です

 

企業会計原則注解(注18) ~引当金について~

将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする。

製品保証引当金、売上割戻引当金、返品調整引当金、賞与引当金、工事補償引当金、退職給与引当金、修繕引当金、特別修繕引当金、債務保証損失引当金、損害補償損失引当金、貸倒引当金等がこれに該当する。

発生の可能性の低い偶発事象に係る費用又は損失については、引当金を計上することはできない。

 

 

答えは(ア)です。


 

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