財務・会計 ~H22-3 経過勘定科目(1)受取利息の決算整理仕訳~

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今回は、「財務・会計 ~H22-3 経過勘定科目(1)受取利息の決算整理仕訳~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~平成22年度一次試験問題一覧~

平成22年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

経過勘定科目 -リンク-

本ブログにて「経過勘定科目」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

経過勘定科目

「経過勘定科目」とは、継続的な役務の提供において発生する費用や収益を、発生した期に正しく割り当てるための調整項目であり、「企業会計原則注解(注5)」において「前払費用」「前受収益」「未払費用」「未収収益」といった4種類の勘定科目が定められています。

継続的な役務の提供に対する対価は時間の経過とともに発生すると考え、当期の費用・収益と次期以降の費用・収益を明確に区別して損益計算を行うとともに、貸借対照表に「経過勘定科目」として計上しなければなりません。

 

経過勘定科目の種類

「経過勘定科目」である「前払費用」「前受収益」「未払費用」「未収収益」について以下に示します。

 

前払費用

次期以降も継続して役務の提供を受ける場合において、既に次期以降の費用を支払っている場合、次期以降の費用は「貸借対照表」に「前払費用(資産)」として計上するとともに、「損益計算書」において当期の費用から除去します。

 

前受収益

次期以降も継続して役務の提供を行う場合において、既に次期以降の収益を受け取っている場合、次期以降の収益は「貸借対照表」に「前受収益(負債)」として計上するとともに、「損益計算書」において当期の収益から除去します。

 

未払費用

継続して役務の提供を受けているにもかかわらず、既に提供を受けた当期分の費用を支払っていない場合、当期分の費用を「貸借対照表」に「未払費用(負債)」として計上するとともに、「損益計算書」に当期の費用として計上します。

 

未収収益

継続して役務の提供を行っているにもかかわらず、既に提供を行った当期分の収益を受け取っていない場合、当期分の収益を「貸借対照表」に「未収収益(資産)」として計上するとともに、「損益計算書」に当期の収益として計上します。

 

「前払金」「前受金」「未払金」「未収金」との違い

「経過勘定科目」は、継続的な役務の提供において発生する費用や収益を、発生した期に正しく割り当てるための調整項目ですが、「継続的ではないもの」や「物品の売買など役務の提供には該当しないもの」については、経過勘定科目ではなく「前払金」「前受金」「未払金」「未収金」を使用します。

また、継続的な役務の提供であったとしても、既に契約が終了している場合、支払期限を過ぎて支払っていない費用または受け取っていない費用については「未払金」「未収金」を使用します。

 

企業会計原則注解(注5) ~経過勘定科目について~

  1. 前払費用
    前払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価をいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の費用となるものであるから、これを当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表の資産の部に計上しなければならない。また、前払費用は、かかる役務提供契約以外の契約等による前払金とは区別しなければならない。
  2. 前受収益
    前受収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、いまだ提供していない役務に対し支払を受けた対価をいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の収益となるものであるから、これを当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表の負債の部に計上しなければならない。また、前受収益は、かかる役務提供契約以外の契約等による前受金とは区別しなければならない。
  3. 未払費用
    未払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、すでに提供された役務に対していまだその対価の支払が終らないものをいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過に伴いすでに当期の費用として発生しているものであるから、これを当期の損益計算に計上するとともに貸借対照表の負債の部に計上しなければならない。また、未払費用は、かかる役務提供契約以外の契約等による未払金とは区別しなければならない。
  4. 未収収益
    未収収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、すでに提供した役務に対していまだその対価の支払を受けていないものをいう。従って、このような役務に対する対価は時間の経過に伴いすでに当期の収益として発生しているものであるから、これを当期の損益計算に計上するとともに貸借対照表の資産の部に計上しなければならない。また、未収収益は、かかる役務提供契約以外の契約等による未収金とは区別しなければならない。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成22年度 第3問】

当年度における次の勘定記入の空欄A~Cに入る最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

 

受取利息
1/1 [ A ] 5,000 2/1 現金 6,000
12/31 [ B ] (   ) 8/1 現金 (   )
12/31 [ C ] (   )
17,000 17,000

 

[解答群]

ア A:前期繰越 B:残高 C:次期繰越
イ A:前期繰越 B:未収利息 C:次期繰越
ウ A:前受利息 B:残高 C:未収利息
エ A:前受利息 B:損益 C:前受利息
オ A:未収利息 B:損益 C:未収利息

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

問題文で与えられている「受取利息勘定」と選択肢に記載されている勘定科目から、当該の企業は「12月」を決算月としており、決算整理仕訳にて「受取利息」をどのように処理するかを問われているということを読み取ってください。

 

決算整理仕訳

「受取利息」に関する決算整理仕訳では、「経過勘定科目」である「前受収益(前受利息)」「未収収益(未収利息)」を用いて、時間の経過とともに発生する「受取利息」を発生した期に正しく割り当てた後、当期の収益に該当する金額を「損益」勘定に振り替えます。

 

「前受利息」の計上(収益の繰延)

現金を受け取っているが次期以降の「受取利息」に該当する場合は「前受利息(前受収益)」として貸借対照表の貸方に計上するための決算整理仕訳を行います。
なお、「前受利息(前受収益)」に計上した「受取利息」は、翌期首に再振替仕訳として決算整理仕訳の反対仕訳を行います

 

借方 貸方
受取利息 XX,XXX 前受利息(前受収益) XX,XXX

 

「未収利息」の計上(収益の見越)

当期の「受取利息」に該当するが現金を受け取っていない場合は「未収利息(未収収益)」として貸借対照表の借方に計上するための決算整理仕訳を行います。
なお、「未収利息(未収収益)」に計上した「受取利息」は、翌期首に再振替仕訳として決算整理仕訳の反対仕訳を行います

 

借方 貸方
未収利息(未収収益) XX,XXX 受取利息 XX,XXX

 

「損益」勘定への振り替え

当期の「受取利息」は損益計算書に収益として計上するため「損益」勘定に振り替えます。

 

借方 貸方
受取利息 XX,XXX 損益 XX,XXX

 

受取利息勘定の決算整理仕訳

問題文において与えられている受取利息の「T字勘定」を仕訳に置き換えて、空欄に入る勘定科目を考えていきます。

 

日付 借方 貸方
1/1 受取利息 5,000 [ A ] 5,000
2/1 現金 6,000 受取利息 6,000
8/1 現金 (   ) 受取利息 (   )
12/31 [ C ] (   ) 受取利息 (   )
12/31 受取利息 (   ) [ B ] (   )

 

  1. 期首(1/1)の空欄Aでは、前期の決算整理仕訳に対する再振替仕訳処理が行われますが、「受取利息」が「借方」に設定されていることから、「貸方」に入るのは「未収利息(未収収益)」となります。
  2. 決算日(12/31)には「受取利息」を「損益」勘定に振り替えるため、空欄Bには「損益」が入ります。
  3. 決算日(12/31)の空欄Cは、決算整理仕訳として「受取利息」が「貸方」に設定されていることから、「借方」に入るのは「未収利息(未収収益)」となります。

 

上述の結果、「空欄A:未収利息」「空欄B:損益」「空欄C:未収利息」が入ります。

 

受取利息
1/1 未収利息 5,000 2/1 現金 6,000
12/31 損益 (   ) 8/1 現金 (   )
12/31 未収利息 (   )
17,000 17,000

 

答えは(オ)です。


 

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