今回は、「事例Ⅲ ~平成25年度 解答例(4)(第2問-設問1)~」について説明します。
目次
事例Ⅲ ~平成25年度試験問題一覧~
平成25年度のその他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
第2問
第2問(配点40点)
C社では、顧客からの問い合わせに迅速に対応するため、また、短納期化に対応するため、技術部内の情報の共有化や業務の効率化を図る計画がある。この計画について、以下の設問に答えよ。
(設問1)
技術部内で共有化が必要と考える具体的情報名を80字以内であげよ。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
解答の方向性
第2問(設問1)では、C社の技術部内での課題を把握し、顧客問い合わせに対する迅速化と短納期化に対応するために、技術部内で共有化が必要な情報を分析する能力を問われています。
「顧客からの問い合わせに迅速に対応するため」「短納期化に対応するため」という2つの目的が記述されていますが、「技術部内で共有化が必要な情報」を洗い出すにあたって、この2つに明確に分類することは難しいです。
文字数についても「80文字」という厳しい制限があるため、2つの目的を意識せずに、与件文から該当するキーワードを漏らさず洗い出して、解答するという方針で解答を構成していきます。
与件文で関連しそうな箇所
与件文では、【C社の概要】の中盤と【C社の生産概要】の前半から中盤にかけて記述されています。
【C社の生産概要】の前半から中盤にかけて記述されている内容から、キーワードを漏らさず洗い出して、解答していきます。
問題文の中では、以下の部分が該当します。
詳細に示すと以下の通りとなります。
- C社が受注する通信用部材は、施工図面で指示されるが、2種類の部材の組み合わせで構成される。1つは通信事業者ごとに寸法、形状が規格化されている標準仕様部材、もう1つは通信施設の大きさ、建物への設置条件、使用する通信機器などにあわせて製造する補助部材である。
⇒共有すべきデータとして「受注時に指示される施工図面」「通信施設の大きさ」「建物への設置条件」が挙げられます。
あと、顧客からの問い合わせに迅速に対応するためという観点で考えると、「規格化されている標準仕様部材の仕様・設計データ」と「使用する通信機器などにあわせて製造する補助部材の仕様・設計データ」も挙げられます。
- 営業活動は、経営者の通信建設会社へのトップセールスによる受注情報の収集が基本である。受注後は、対象通信施設の現地調査、設計、製造、そして現地据付け施工まで行う。
⇒共有すべきデータとして「経営者の通信建設会社へのトップセールスによる受注情報」「対象通信施設の現地調査」が挙げられます。
- 受注、現地調査、設計は技術部内で受注物件ごとに選任された設計担当者が担当し、通信施設での調整事項や設計変更などの内容は担当している設計担当者しか分からない。設計業務にはCADが使われているが、部品のような設計要素のライブラリー化などは行われていない。また、技術部としてCADの使用方法についての標準化やデータの共有化は図られておらず、設計担当者各人がそれぞれ独自に使用している。このような設計担当者の業務状況のため、受注から据付け施工完了までの全期間に占める設計担当業務には大きな時間が割かれている。
⇒現在、共有されていない情報が具体的に「通信施設での調整事項」「設計変更などの内容」「CADデータ」と記述されています。
「CADデータ」には、「規格化されている標準仕様部材のCADデータ」と「使用する通信機器などにあわせて製造する補助部材のCADデータ」があります。
なお、ライブラリー化が行われていない「部品のような設計要素」については、「第2問(設問2)」の業務効率化を図るために必要な具体的改善内容において、解答に盛り込むこととします。
技術部内で共有化が必要と考える具体的情報名
与件文から抜粋した具体的な情報名を整理します。
受注情報
- 経営者の通信建設会社へのトップセールスによる受注情報
設計情報
- 受注時に指示される施工図面
- 設計変更などの内容
- 規格化されている標準仕様部材の仕様・設計データ=CADデータ
- 使用する通信機器などにあわせて製造する補助部材の仕様・設計データ=CADデータ
現地調査結果
- 対象通信施設の現地調査
- 通信施設の大きさ
- 建物への設置条件
- 通信施設での調整事項
解答例
ここまでに整理してきた内容に基づき、80文字以内にまとめます。
共有が必要な情報は、受注情報、施工図面、設計変更内容、標準仕様部材と補助部材のCADデータ、通信施設の大きさ、建物への設置条件、調整事項などの現地調査結果である。(80文字) |
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