事例Ⅲ ~平成25年度 解答例(3)(第1問-設問2)~

にほんブログ村に参加しています。
記事の内容にご満足いただけた場合は、以下のボタンをクリックいただけると、また頑張ることができます。

にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へ

にほんブログ村に参加しています。
記事の内容にご満足いただけた場合は、以下のボタンをクリックいただけると、また頑張ることができます。

にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へ







今回は、「事例Ⅲ ~平成25年度 解答例(3)(第1問-設問2)~」について説明します。

 

目次

事例Ⅲ ~平成25年度試験問題一覧~

平成25年度のその他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

第1問(設問2)

第1問(配点30点)

 

C社では、横ばいで推移している業績を改善するためX社のシェアが高い首都圏市場への参入を目指している。この課題について、以下の設問に答えよ。

 

(設問2)

C社が首都圏市場への参入を実現するためには、関東工場の役割をどのように変えるべきなのか、またそれを実現するためにはどのような具体的対応策が必要となるのか、120字以内で述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

解答の方向性

第1問(設問2)では、C社が首都圏への参入を実現するために必要な関東工場の役割と、その役割を実現するために必要な対応策を分析・提案する能力を問われています。

 

与件文をよく読んでいくと「出荷先が関東である製品も、関東工場で製造された製品は、関西本社工場にある物流センターに運ばれてから出荷されている」という変な業務フローには気付くと考えられますが、実は、この変な業務フローを見直すと、競合X社と比較した場合の「弱み」である「納期や価格面」の改善にもつながります

中小企業診断士の二次試験では、与件文に記載されている「弱み」を放置してはいけません。「第1問(設問2)」以外の問題には、この「弱み」に対する対策を解答に盛り込む箇所が見当たらないため、「第1問(設問2)」の中で解答に対策を取り入れていくこととします

 

 

与件文で関連しそうな箇所

与件文では、【市場の概要】の冒頭と【C社の生産概要】の後半に記載されています。

 

「関東工場の役割」については【C社の生産概要】の後半に記述されていますが、「関東工場の役割」を見直すと、【市場の概要】の冒頭に記述されている競合X社と比較した場合の「弱み」である「納期や価格面」を改善することができます

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

詳細に示すと以下の通りとなります。

 

  • 通信事業者が必要とする通信用部材の市場規模は小さい。この市場でC社は、同業者約10社と競合状態にあり、第2位のシェアを確保している。市場シェア第1位企業X社の販売エリアは首都圏中心である。X社と比較して、新製品開発力・提案力、製品・施工品質についてはC社の評価は高いが、納期や価格面での評価は低い。
    ⇒問題文では「C社が首都圏市場への参入を実現するため」に「関東工場が担うべき役割と具体的な対応策」を解答するよう求められていますが、関東工場が担うべき役割を見直すことによって、首都圏を販売エリアの中心としている競合X社と比較した場合の「弱み」である「納期や価格面」を改善することができます

 

  • 各部材製造については、関西本社工場では多品種少量の受注生産の補助部材を担当し、関東工場では在庫対応が可能でロットサイズを大きくできる標準仕様部材を担当している。関西本社工場は汎用加工機を用いた多品種少量生産に適しているが、関東工場は後述する経緯があってOAフロア工場として建設されたことから専用機による量産体制であるため、このような両工場の分担となっている。
    関西本社工場では補助部材を製造し、関東工場では標準仕様部材を製造していると記述されています。

 

  • 部材の物流については、関西本社工場に物流センターがあり製造部が担当している。関東工場で製造された製品は、関西本社工場にある物流センターに運ばれそこで在庫となり、両工場で製造されたものを物件ごとに組み合わせて出荷する。
    ⇒「関東工場で製造された製品は、関西本社工場にある物流センターに運ばれ、物件ごとに組み合わせて出荷する」というのは、直感的にかなり非効率な状況だと考えられます。
    出荷先が関東である製品も、関西本社工場にある物流センターに運ばれてから出荷されているということは、輸送に関する期間を要しており、輸送コストも発生しているため、首都圏を販売エリアの中心としている競合X社に対抗するために克服しなければならない「納期や価格面の評価が低い」ことの要因になっていると考えられます。
    したがって、関東工場の役割を「東京支店が受注した製品は、関東工場で製造して組み合わせてから直接出荷する拠点」に変更することで、「納期短縮とコスト削減も実現できる。」という趣旨の解答を構成していくこととします。

 

関東工場の役割と具体的対応策

C社が首都圏市場への参入を実現するために、求められる関東工場の役割と必要な具体的対応策は以下の通りです。

なお、問題の趣旨と若干ずれるため違和感がありますが、他の問題で解答する箇所がないため、関東工場の役割を見直すことによって、首都圏を販売エリアの中心としている競合X社と比較した場合の「弱み」である「納期や価格面」の改善にもつながることも解答に盛り込みます

 

関東工場の役割

  • 関東工場の役割を「東京支店が受注した製品は、関東工場で製造して組み合わせてから直接出荷する拠点」に変更する。

 

具体的対応策

  • 現状では、関西本社工場で補助部材を製造し、関東工場で標準仕様部材を製造しているが、関東工場でも補助部材を製造できるよう汎用加工機を設置して、関東工場において標準仕様部材と補助部材の製造、組み合わせ、出荷まで一貫して生産する体制を整備する

 

期待される効果

  • 現状では、出荷先が関東である製品も、関東工場で製造した製品を関西本社工場にある物流センターに輸送してから出荷しているが、関東工場の役割を「東京支店が受注した製品は、関東工場で製造して組み合わせてから直接出荷する拠点」に変更すれば、関東工場で製造した製品を関西本社工場にある物流センターに輸送せずに、関東工場から直接出荷することができるようになるため、首都圏を販売エリアの中心としている競合X社よりも低い評価を受けている「納期」の短縮と「コスト」の削減を実現することができる

 

解答例

ここまでに整理してきた内容に基づき、120文字以内にまとめます。

 

関東工場の役割を東京支店で受注した製品の製造出荷拠点に変更する。具体的には、関東工場に汎用加工機を設置して、標準仕様部材と補助部材の製造、組み合わせ、出荷を一貫して対応することで物流センターへの製品輸送を廃止して納期短縮とコスト削減を行う。(120文字)

 

事例Ⅰ~事例Ⅲは正解のない試験なので、あくまで解答例として参考にしてもらえればと思います。

 


 

コメント

タイトルとURLをコピーしました