今回は、「運営管理 ~R4-33 輸配送管理(15)ユニットロード~」について説明します。
目次
運営管理 ~令和4年度一次試験問題一覧~
令和4年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
ユニットロード・パレチゼーション・複合一貫輸送・モーダルシフト・パレット・箱/容器 -リンク-
本ブログにて「ユニットロード」「パレチゼーション」「複合一貫輸送」「モーダルシフト」「パレット」「箱/容器」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- ユニットロード・パレチゼーション・複合一貫輸送・モーダルシフト・パレット・箱/容器のまとめ
- R4-32 輸配送管理(14)輸送手段の特徴
- R3-33 輸配送管理(11)輸送手段
- R3-36 輸配送管理(13)ユニットロード
- R2-36 輸配送管理(9)輸送手段
- R2-37 輸配送管理(10)ユニットロード
- R1-34 輸配送管理(7)輸送手段の特徴
- H30-33 輸配送管理(2)ユニットロード
- H29-35 輸配送管理(3)輸送手段
- H29-36 輸配送管理(4)ユニットロード
- H28-35 輸配送管理(6)ユニットロード
ユニットロードシステム
「ユニットロードシステム」とは、輸送する物品や包装貨物を「パレット」や「コンテナ」などでユニット化して、輸送や保管を効率化する仕組みのことをいい、「パレット」や「コンテナ」などでユニット化された貨物のことを「ユニットロード」といいます。
「パレット」を用いてユニット化することを「パレチゼーション」といい、「コンテナ」を用いてユニット化することを「コンテナリゼーション」があります。
一貫パレチゼーション
複数の物品や包装貨物を「パレット」に積載してユニット化することを「パレチゼーション」といい、複数の物品や包装貨物を同一の「パレット」に乗せたまま、出発地から到着地まで輸送・保管することを「一貫パレチゼーション」といいます。
「一貫パレチゼーション」によって、輸送や保管に関わる要員の作業費用を削減したり、荷役に関する作業時間を短縮することができます。
また、輸送工程の途中で「ユニットロード」を積み崩す必要がないため、荷物に付くキズなどを防止することもできます。
問題点
- 「一貫パレチゼーション」により「輸送効率」を向上することができますが、「パレット」を積載したときに隙間ができるなど「積載効率」や「保管効率」が悪くなります。
- 「JIS」によって、「パレット」の規格が定められてはいますが、業界ごとに別の標準規格が定められているなど、「パレット」の統一規格が普及していないため、発送元の企業と受取先の企業が異なる規格の「パレット」を利用しているケースにおいては「一貫パレチゼーション」を実現できません。
- 貨物の輸送に使用した「パレット」を到着地から回収する必要があります。また、「パレット」を回収するまでの間にも別の荷物を貨物しなければならず「パレット」を余計に準備する必要があるなど、「パレット」の「回収コスト」や「保有コスト」が高くなってしまいます。
モーダルシフト
「モーダルシフト」とは、トラックによる貨物輸送を「鉄道輸送」や「海上輸送」といった環境負荷の低い大量輸送機関に転換することをいい、「二酸化炭素の排出量を削減すること」を目的とした環境保護の取り組みの1つです。
貨物輸送において環境負荷を低減する取り組みには「モーダルシフト」「輸配送の共同化」「輸送網の集約」などがありますが、その中でも「モーダルシフト」は、特に環境負荷を低減する効果が大きい取り組みです。
トラック輸送による二酸化炭素排出量と比較すると、鉄道輸送では「11分の1」に、船舶輸送では「6分の1」に抑制できるため、二酸化炭素排出量の大幅な削減を期待されています。
「モーダルシフト」を推進するためには、一括輸送するために必要な貨物量を確保することや、輸送途中における荷物の積み替えを効率化することが課題とされていますが、複数荷主による混載便により必要な貨物量を確保したり、カーフェリーを利用してトラックそのものを海上輸送することで荷物の積み替えをなくすなどの方法も数多く利用されています。
パレット
「パレット」とは、資材や商品を保管したり輸送する際に積載する台のことをいいます。
「パレット」の上に資材や商品を積載して「フォークリフト」などを使って荷役を行います。
パレットの種類
パレットの「種類」には、「平パレット」「シートパレット」「ロールボックスパレット」などがあります
平パレット
「平パレット」とは、流通現場などで最も一般的に使用されている、立体構造で「フォークリフト」の「ツメ(フォーク)」の差込口がある平らな形状をしたパレットです。
平パレットのイメージ図
シートパレット
「シートパレット」とは、従来の立体構造のパレットとは異なり、紙製(特殊クラフト紙)やプラスチック製(合成樹脂)の薄いシート状のパレットであり、食品、医薬品、工業製品などの分野で米袋、フレキシブルコンテナー、樹脂袋、段ボール箱等の輸送、保管に使用されています。
また、アメリカでは「スリップ・シート(Slip Sheet)」として普及しているため、輸出用としても使用されています。
「シートパレット」の荷役には、シートと同寸法以上の「プラテン」と呼ばれる板状の積載台を持ち、シートパレットの端のタブを掴んで「プラテン」上に引き寄せて載せ、押し出して降ろす必要があるため、油圧で動作するプッシュプルのアタッチメントを持つ「専用のフォークリフト(プッシュプルリフト)」が使用されます。
シートパレットのイメージ図
ロールボックスパレット
「ロールボックスパレット」は、ロールボックス、ロールパレット、カゴ台車、カゴ車、台車とも呼ばれ、金属製のゲージに、キャスターが付いた形状をしたパレットのことをいいます。
「フォークリフト」を使用せずに人力だけで荷役することができるため、コンビニにおいて店舗への商品搬送に利用しているのをよく見かけます。
パレットの材質
パレットの「材質」には、「木製」「プラスチック製」「鋼製・アルミ製」「紙製」などがありますが、「材質」によって、「耐久性」「強度」「耐荷重」「重量」「コスト」といった特性が異なるため、用途によって選択する必要があります。
パレットの材質による比較
木製パレット
「木製パレット」は、充分な強度と耐荷重量を持ち、コストが低いといったバランスの良さから、現在でも広く使われているパレットです。
他の材質と比較して、破損した場合に修理ができ、積み荷がすべりにくいというメリットがありますが、釘の飛び出しやささくれでケガをする恐れがあり、湿気に弱く、害虫防止のために熱処理や臭化メチル燻蒸処理を行わなければならないというデメリットもあります。
プラスチック製パレット
「プラスチック製パレット」は、「木製パレット」と比較して、耐久性、強度、耐荷重が優れています。また、耐水性が高く、洗浄することができ衛生的であるというメリットもありますが、破損した場合に修理ができないというデメリットがあります。
鋼製・アルミ製パレット
「鋼製・アルミ製パレット」は、耐久性、強度、耐荷重に関して、他の材質と比較すると群を抜いて優れていますが、パレット自体の重量が重く、コストも高いという点から、一般にはあまり使用されていません。
紙製パレット
「紙製パレット」とは、特殊なクラフト紙で組み立てられたパレットであり「段ボールパレット」とも呼ばれています。
「紙製パレット(段ボールパレット)」は、使い捨てを前提とした「ワンウェイパレット」として用いられますが、流通業界においても、ゼロ・エミッション(廃棄物ゼロ)の推進、リサイクル関連法への対応から、廃棄物の抑制を求める声が高まっています。
ワンウェイパレット
「ワンウェイパレット」とは、1回使用したらそのまま使い捨てることを前提としたパレットであり「使い捨てパレット」ともいいます。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【令和4年度 第33問】
物流におけるユニットロードおよびその搬送機器に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 一貫パレチゼーションの推進は、荷役作業の効率化につながる。
イ パレチゼーションの目的は、輸送中における貨物の温度管理をすることである。
ウ 平パレット1枚に積載できる貨物量は、積載する貨物のサイズによって決まり、重量は無関係である。
エ ユニットロード化を推進しようとすると、モーダルシフトが困難になる。
オ ロールボックスパレットは、それ自体を上方向に積み重ねて使用することにより、商品の保管効率を高めることができる。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
物流におけるユニットロードとその搬送機器に関する知識を問う問題です。
(ア) 適切です。
輸送する商品をパレットに積載してユニット化することを「パレチゼーション」といいますが、特に輸送する商品を出発地から到着地まで、同一のパレットに乗せたまま輸送・保管することを「一貫パレチゼーション」といいます。
「一貫パレチゼーション」によって、輸送や保管に関わる要員の作業費用と荷役作業に関する作業時間を削減することができます。
したがって、一貫パレチゼーションの推進は、荷役作業の効率化につながるため、選択肢の内容は適切です。
(イ) 不適切です。
輸送する商品をパレットに積載してユニット化することを「パレチゼーション」といいますが、特に輸送する商品を出発地から到着地まで、同一のパレットに乗せたまま輸送・保管することを「一貫パレチゼーション」といいます。
「一貫パレチゼーション」によって、輸送や保管に関わる要員の作業費用と荷役作業に関する作業時間を削減することができます。
したがって、パレチゼーションの目的は、輸送中における貨物の温度管理をすることではなく、輸送や保管に関わる要員の作業費用と荷役作業に関する作業時間を削減することであるため、選択肢の内容は不適切です。
(ウ) 不適切です。
「平パレット」とは、流通現場などで最も一般的に使用されている、立体構造で「フォークリフト」の「ツメ(フォーク)」の差込口がある平らな形状をしたパレットです。
平パレットのイメージ図
パレットの「材質」には、「木製」「プラスチック製」「鋼製・アルミ製」「紙製」などがありますが、「材質」によって、「耐久性」「強度」「耐荷重」「重量」「コスト」といった特性が異なるため、用途によって選択する必要があります。
したがって、選択肢には「平パレット1枚に積載できる貨物量は、積載する貨物のサイズによって決まり、重量は無関係である」と記述されていますが、平パレット1枚に積載できる貨物量は、積載する貨物のサイズによって決まり、重量はパレットの材質によって決まるため、選択肢の内容は不適切です。
(エ) 不適切です。
「ユニットロードシステム」とは、輸送する商品をパレットやコンテナなどの単位でユニット化して、輸送や保管を効率化する仕組みのことをいい、パレットやコンテナなどの単位にユニット化された貨物のことを「ユニットロード」といいます。
輸送する商品をパレットに積載してユニット化することを「パレチゼーション」といいますが、特に輸送する商品を出発地から到着地まで、同一のパレットに乗せたまま輸送・保管することを「一貫パレチゼーション」といいます。
「一貫パレチゼーション」によって、輸送や保管に関わる要員の作業費用と荷役作業に関する作業時間を削減することができます。
一方、「モーダルシフト」とは、トラックによる貨物輸送を、鉄道や船舶(内航海運)といった環境負荷の低い大量輸送機関に転換することをいい、「二酸化炭素の排出量を削減すること」を目的とした環境保護の取り組みの1つです。
「モーダルシフト」を推進するためには、一括輸送するために必要な貨物量を確保することや、輸送途中における荷物の積み替えを効率化することが課題とされていますが、複数荷主による混載便により必要な貨物量を確保したり、カーフェリーを利用してトラックそのものを航送することで荷物の積み替えをなくすなどの方法も数多く利用されています。
したがって、選択肢には「ユニットロード化を推進しようとすると、モーダルシフトが困難になる」と記述されていますが、ユニットロード化を推進するとモーダルシフトが容易になるため、選択肢の内容は不適切です。
(オ) 不適切です。
「ロールボックスパレット」は、ロールボックス、ロールパレット、カゴ台車、カゴ車、台車とも呼ばれ、金属製のゲージに、キャスターが付いた形状をしたパレットのことをいいます。
「フォークリフト」を使用せずに人力だけで荷役することができるため、コンビニにおいて店舗への商品搬送に利用しているのをよく見かけます。
したがって、選択肢には「ロールボックスパレットは、それ自体を上方向に積み重ねて使用することにより、商品の保管効率を高めることができる」と記述されていますが、そもそもロールボックスパレットを上方向に積み重ねて使用することはできないため、選択肢の内容は不適切です。
答えは(ア)です。
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