財務・会計 ~R5-14 株式指標(9)~

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今回は、「財務・会計 ~R5-14 株式指標(9)~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~令和5年度一次試験問題一覧~

令和5年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

株式指標 -リンク-

一次試験に向けて「株式指標」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

ROE(自己資本当期純利益率/Return On Equity)

「ROE(自己資本当期純利益率)」とは、「純資産(株主資本、自己資本)」に対する「当期純利益(税引後当期純利益)」の比率を示す指標であり「自己資本利益率」「株主資本利益率」とも呼ばれます。

「ROE(自己資本当期純利益率)」は、企業の収益力を示す財務指標の一つであり、自己資本によってどれだけ効率的に利益を生み出すことができているかを表す重要な指標であり、数値が高いほど収益性が高いことを示しています。

 

 

企業は、「株主資本(自己資本)」と「負債(他人資本)」で構成される「資本」を投下して事業を行い、その結果として「営業利益」を獲得します。さらに、「営業利益」から「他人資本」の債務者に対して「利息」を支払った後の残額を「経常利益」といい、「経常利益」から法人税等を納付した後の残額を「税引後当期純利益」といいます。

したがって、債務者への支払額や法人税等の納付額を控除した「税引後当期純利益」が「株主資本(自己資本)」を元手にして獲得した純粋な利益であり、株主に対する配当金の源泉となるため、「税引後当期純利益」を「株主資本(自己資本)」で除して求めた「ROE(自己資本利益率)」は、配当金を受け取る株主にとって非常に重要な指標です。

 

「ROE(自己資本当期純利益率)」は、この後説明する「PER(株価収益率)」と「PBR(株価純資産倍率)」を用いて、以下の公式でも算出することができます。

 

 

ROEの分解による理解

上述の通り、「ROE(自己資本当期純利益率)」は「純資産(株主資本、自己資本)」に対する「当期純利益(税引後当期純利益)」の比率として表されますが、「収益性」と「効率性」と「安全性」の指標に分解すると、「ROE(自己資本当期純利益率)」を高めるためには「収益性を高める」「効率性を上げる」「負債の割合を増やす」という3つの方法があることが分かります。

 

 

財務レバレッジ

上図で出てきた「財務レバレッジ」とは安全性を示す財務指標であり、自己資本比率の逆数(総資本÷自己資本)で求められます。総資本に占める自己資本が小さくなるほど高くなるため、銀行からの借入金などの負債を増やすほど、財務レバレッジの数値が高くなります

一般的に資本構成における負債の割合が高くなると倒産リスクが高まり経営上好ましくないと考えがちですが、借入金等により調達した資本で利益を上げることができれば、企業としては良い経営状態にあるということになります。

ここで注意が必要なのは、ROEを高くするためには、ただ単に借入金を増やせばよいのではなく、借入金により調達した資本で売上や当期純利益を高める必要があるということです。

 

「財務レバレッジ」の「レバレッジ」とは、日本語では「てこの原理」のことを示しており、少ない資金で大きな利益を手に入れるという意味で使われます。

つまり、少ない資金(自己資本)でも借入金(他人資本)を活用することで、事業の効率性を高める(大きな利益を手に入れる)ことができるということを示しています。

 

配当性向

配当性向は、当期純利益(税引後利益)に対する配当金の比率を示す指標であり、当期純利益1円当たりいくらの配当金が支払われているかを示しています。
投資家にとって、配当性向は企業がどの程度の利益を還元しているかを確認する重要な指標です。

 

 

発行済み株式全体で考えた場合、配当性向は以下の式で表されることもあります。

 

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和5年度 第14問】

Z社の期首自己資本は3,000万円である。また、ROEは5%、配当性向は40%、発行済株式数は20万株である。Z社の当期の1株当たり配当として、最も適切なものはどれか。ただし、本問において、ROEは当期純利益を期首自己資本で除した値とする。

 

ア 2円
イ 3円
ウ 4円
エ 5円

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

 

当期純利益の算出

「ROE(自己資本当期純利益率)」とは、「純資産(株主資本、自己資本)」に対する「当期純利益(税引後当期純利益)」の比率を示す指標であり「自己資本利益率」「株主資本利益率」とも呼ばれます。

 

 

問題文において「ROE」は「当期純利益」を「期首自己資本」で除した値と与えられています。

 

  • ROE = 当期純利益 ÷ 期首自己資本

 

この「ROE」の公式を変形して、問題文で与えられた「期首自己資本(3,000万円)」と「ROE(5%)」から「当期純利益」を算出します。

 

  • 当期純利益 = 期首自己資本 × ROE = 3,000万円 × 5% = 150万円

 

配当金の算出

配当性向は、当期純利益(税引後利益)に対する配当金の比率を示す指標であり、当期純利益1円当たりいくらの配当金が支払われているかを示しています。

 

 

この「配当性向」の公式を変形して、上記で求めた「当期純利益(150万円)」と問題文で与えられた「配当性向(40%)」から「配当金」を算出します。

 

  • 配当金 = 当期純利益 × 配当性向 = 150万円 × 40% = 60万円

 

1株当たり配当金の算出

上記で求めた「配当金」を「発行済株式数(20万株)」で除して「1株当たり配当金」を算出します。

 

  • 1株当たり配当金 = 配当金 ÷ 発行済株式数 = 60万円 ÷ 20万株 = 3円

 

上記の説明では、「当期純利益」から「配当金」を算出した後「1株当たり配当金」を求めていますが、「当期純利益」から「1株当たり当期純利益」を算出した後「1株当たり配当金」を求めても答えは同じになります。

 

答えは(イ)です。


 

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