財務・会計 ~H22-19 株式指標(4)~

にほんブログ村に参加しています。
記事の内容にご満足いただけた場合は、以下のボタンをクリックいただけると、また頑張ることができます。

にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へ

にほんブログ村に参加しています。
記事の内容にご満足いただけた場合は、以下のボタンをクリックいただけると、また頑張ることができます。

にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へ







今回は、「財務・会計 ~H22-19 株式指標(4)~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~平成22年度一次試験問題一覧~

平成22年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

株式指標 -リンク-

一次試験に向けて「株式指標」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

ROE(自己資本当期純利益率/Return On Equity)

「ROE(自己資本当期純利益率)」とは、「純資産(株主資本、自己資本)」に対する「当期純利益(税引後当期純利益)」の比率を示す指標であり「自己資本利益率」「株主資本利益率」とも呼ばれます。

「ROE(自己資本当期純利益率)」は、企業の収益力を示す財務指標の一つであり、自己資本によってどれだけ効率的に利益を生み出すことができているかを表す重要な指標であり、数値が高いほど収益性が高いことを示しています。

 

 

企業は、「株主資本(自己資本)」と「負債(他人資本)」で構成される「資本」を投下して事業を行い、その結果として「営業利益」を獲得します。さらに、「営業利益」から「他人資本」の債務者に対して「利息」を支払った後の残額を「経常利益」といい、「経常利益」から法人税等を納付した後の残額を「税引後当期純利益」といいます。

したがって、債務者への支払額や法人税等の納付額を控除した「税引後当期純利益」が「株主資本(自己資本)」を元手にして獲得した純粋な利益であり、株主に対する配当金の源泉となるため、「税引後当期純利益」を「株主資本(自己資本)」で除して求めた「ROE(自己資本利益率)」は、配当金を受け取る株主にとって非常に重要な指標です。

 

「ROE(自己資本当期純利益率)」は、この後説明する「PER(株価収益率)」と「PBR(株価純資産倍率)」を用いて、以下の公式でも算出することができます。

 

 

ROEの分解による理解

上述の通り、「ROE(自己資本当期純利益率)」は「純資産(株主資本、自己資本)」に対する「当期純利益(税引後当期純利益)」の比率として表されますが、「収益性」と「効率性」と「安全性」の指標に分解すると、「ROE(自己資本当期純利益率)」を高めるためには「収益性を高める」「効率性を上げる」「負債の割合を増やす」という3つの方法があることが分かります。

 

 

財務レバレッジ

上図で出てきた「財務レバレッジ」とは安全性を示す財務指標であり、自己資本比率の逆数(総資本÷自己資本)で求められます。総資本に占める自己資本が小さくなるほど高くなるため、銀行からの借入金などの負債を増やすほど、財務レバレッジの数値が高くなります

一般的に資本構成における負債の割合が高くなると倒産リスクが高まり経営上好ましくないと考えがちですが、借入金等により調達した資本で利益を上げることができれば、企業としては良い経営状態にあるということになります。

ここで注意が必要なのは、ROEを高くするためには、ただ単に借入金を増やせばよいのではなく、借入金により調達した資本で売上や当期純利益を高める必要があるということです。

 

「財務レバレッジ」の「レバレッジ」とは、日本語では「てこの原理」のことを示しており、少ない資金で大きな利益を手に入れるという意味で使われます。

つまり、少ない資金(自己資本)でも借入金(他人資本)を活用することで、事業の効率性を高める(大きな利益を手に入れる)ことができるということを示しています。

 

配当性向

配当性向は、当期純利益(税引後利益)に対する配当金の比率を示す指標であり、当期純利益1円当たりいくらの配当金が支払われているかを示しています。
投資家にとって、配当性向は企業がどの程度の利益を還元しているかを確認する重要な指標です。

 

 

発行済み株式全体で考えた場合、配当性向は以下の式で表されることもあります。

 

配当利回り

配当利回りは、株価に対する配当金の比率を示す指標であり、1株当たりいくらの配当金が支払われているかを示しています。
投資家にとって、配当利回りは企業がどの程度の利益を還元しているかを確認する重要な指標です。

 

 

発行済み株式全体で考えた場合、配当利回りは以下の式で表されることもあります。

 

DOE(株主資本配当率/Dividend on Equity)

株主資本配当率(DOE)は、純資産(株主資本、自己資本)に対する配当金の比率を示す指標であり、企業が株主に対してどの程度の利益還元を行っているかを示す指標です。

株主への配当水準を示す指標としては、一般的に「配当性向(=配当金÷当期純利益)」という指標が用いられますが、「配当性向」を算出するための「当期純利益」は毎期の数値変動が大きいため、投資家は株主資本という金額変動の少ない数値を基準にした「株主資本配当率」を用いて配当水準を確認することもできます。

 

 

株主資本配当率(DOE)は「株主資本利益率(ROE)」と「配当性向」から以下の公式でも求めることができます。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成22年度 第19問】

次の文章の空欄AとBに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
業績連動型の配当政策をとった場合、毎期の[ A ]は比較的安定するが1株当たり配当額の変動が大きくなる。また、[ B ]はROEと[ A ]を掛け合わせたものであり、資本効率は利益還元政策のバランスを見る1つの指標である。

 

[解答群]

ア A:株主資本配当率 B:内部成長率
イ A:配当性向 B:株主資本配当率
ウ A:配当性向 B:内部成長率
エ A:配当利回り B:株主資本配当率
オ A:配当利回り B:内部成長率

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

空欄[A]について

選択肢として記載されている株式指標「配当性向」「配当利回り」「株主資本配当率」を「分子」と「分母」に分解すると、「分子」はいずれも「配当金」ですが「分母」は各指標ごとに異なることが分かります。

 

株式指標 分子 分母
配当性向 配当金 当期純利益
配当利回り 時価総額
株主資本配当率 純資産

 

空欄[ A ]には「業績連動型の配当政策をとった場合に毎期の数値は比較的安定するが、1株当たり配当額の変動が大きくなる」株式指標を当てはめる必要があります。

「配当性向」は「当期純利益」に対する「配当金」の割合を示しているため、毎期の「当期純利益」の変動により、実際の「配当金」も大幅に増減することになります。

一方で、「配当利回り」と「株主資本配当率」は、「時価総額」や「純資産」といった企業の規模に対する配当水準を確認することができる株式指標です。

したがって、空欄[ A ]に適切な株式指標は「配当性向」です。

 

空欄[B]について

空欄[ A ]に選択した「配当性向」と「ROE」を掛け合わせると「株主資本配当率」となります。

「純資産(株主資本)」という金額変動の少ない数値に対する「配当金」の割合を示す「株主資本配当率」を用いることによって、投資家は純資産(企業規模)に対する配当水準を確認することができます。

 

 

答えは(イ)です。


コメント

タイトルとURLをコピーしました