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財務・会計 ~H28-18-1 ポートフォリオ理論(9)効率的フロンティア~

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今回は、「財務・会計 ~H28-18-1 ポートフォリオ理論(9)効率的フロンティア~」について説明します。

 

財務・会計 ~平成28年度一次試験問題一覧~

平成28年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

ポートフォリオ理論 -リンク-

「ポートフォリオ理論」については、過去にも説明していますので、以下のページにもアクセスしてみてください。

リスク

一般的に「リスク」とは「危険」を表す言葉として認知されていますが、正確には「リスク」とは「不確実性さ」を意味しています

例えば、「ハイリスクハイリターン」な金融商品とは、大損をする可能性もあれば大儲けできる可能性もある商品のことをいいますが、これは「危険が大きければ儲けも大きくなる可能性がある」のではなく「不確実な度合いが大きければ儲けも大きくなる可能性がある」ということを意味しています。

 

金融資産の分類

投資家が投資する金融資産には「安全資産(無リスク資産)」と「リスク資産」の2種類があります。

 

安全資産(無リスク資産)

安全資産(無リスク資産)は、基本的に債務不履行のリスクがなく、預貯金や国債のようにあらかじめ将来のリターンが確定されている金融資産のことをいいます。

安全資産の収益率は「安全利子率(無リスク利子率・リスクフリーレート)」といいますが、将来のリターンが確定されているということは、安全利子率が「定数」であることを意味しています。

「安全利子率」が定数ということは、リターンのばらつきを示す「分散・標準偏差」がゼロであり、この後に説明するリスク資産との「相関係数」もゼロとなります。

 

リスク資産

「リスク資産」は、株式投資のように、高利回りが期待されるが元本割れの危険もあり将来のリターンが不確実な金融資産のことをいいます。

「リスク資産」は、その名の通りリスクのある金融資産ということになりますが、1つの金融資産に投資するよりも、複数の金融資産に分散投資することによりリスクを低減することができます。

ポートフォリオ理論では「投資家は合理的でリスク回避的である」という前提に基づき、リターンのばらつきを示す「分散・標準偏差」でリスクを数値化して、小さなリスクで大きなリターンを得られる効率的な金融資産への投資比率を決定していきます。

 

リスクリターングラフ

「リスクリターングラフ」とは、「リスク(標準偏差)」を横軸に「リターン(期待収益率)」を縦軸にしたグラフのことをいいます。

「リスクリターングラフ」では、「ハイリスク・ハイリターンな投資A」と「ローリスク・ローリターンな投資B」で構成されるポートフォリオの「リスク(標準偏差)」と「リターン(期待収益率)」が、その構成比率によってどのように推移するかを表しています。

 

投資Aと投資Bのプロット

最初に「リスクリターングラフ」に「投資A」と「投資B」をプロットします。

「ハイリスク・ハイリターンな投資A」と「ローリスク・ローリターンな投資B」であるため、「投資A」はグラフの右上方にプロットして「投資B」はグラフの左下方にプロットします。

 

 

ポートフォリオの構成比率の変動に伴うリスク-リターンの推移

「投資B」に100%投資した場合のリスクとリターンを表す「B点」から「投資A」の比率を徐々に増やしていった場合、一般的にリスクとリターンがどのように推移するかを線で結んでいくと「リスクリターングラフ」が完成します。

一般的に、「リスクリターングラフ」は以下の図のとおり「投資A」の比率を徐々に増やしていくと、一定の投資構成比率までは分散投資の効果が働いてリスクが下がりリターンが高くなっていきますが、一定の投資構成比率を超えるとリスクが徐々に高まっていくというような推移をします。

 

 

効率的フロンティア(有効フロンティア)

「効率的フロンティア」とは「投資家にとって最適な投資資産の組み合わせ」のことをいいます。

「投資家にとって最適な投資資産の組み合わせ」とは、リターンが同じであればリスクが最も小さい投資の組み合わせであり、かつリスクが同じであればリターンが最も大きい投資資産の組み合わせです。

 

複数のリスク資産の組み合わせ

「複数のリスク資産」を組み合わせた場合の「効率的フロンティア」は、投資家が選択可能な「複数のリスク資産」の組み合わせである「投資機会集合」の上方に沿った曲線となります。

 

投資機会集合

 

効率的フロンティア(複数のリスク資産)

 

合理的な投資家が「複数のリスク資産」を組み合わせて最適なポートフォリオを構成しようと試みる際には「効率的フロンティア」のどこかのポイントでポートフォリオを構成しますが、どのポイントを選択するかは、投資家のリスク嗜好度によって異なります

例えば、リスク回避型の投資家は「リスクが低い投資資産の構成割合(左下)」で、リスクを好む投資家は「リスクが高い構成割合の構成割合(右上)」でポートフォリオを構成します。

 

安全資産と複数のリスク資産の組み合わせ(=資本市場線)

「安全資産」と「複数のリスク資産」を組み合わせた場合の「効率的フロンティア」は、縦軸上にある「安全資産の期待収益率である安全利子率」から「複数のリスク資産を組み合わせた場合の効率的フロンティア」の曲線に接する直線であり、「資本市場線」とも呼ばれます。

 

効率的フロンティア(安全資産と複数のリスク資産)
(資本市場線)

 

合理的な投資家が「安全資産」と「複数のリスク資産」を組み合わせて最適なポートフォリオを構成しようと試みる際には「資本市場線」のどこかのポイントでポートフォリオを構成しますが、どのポイントを選択するかは、投資家のリスク嗜好度によって異なります

例えば、リスク回避型の投資家は「安全資産の構成割合が高いポイント(左下)」で、リスクを好む投資家は「リスク資産の構成割合が高いポイント(右上)」でポートフォリオを構成します。

 

なお、「資本市場線」と「複数のリスク資産を組み合わせた場合の効率的フロンティア」の接点を「マーケットポートフォリオ(市場ポートフォリオ)」といい、「リスク資産」のみで構成されるポートフォリオです。

 

ポートフォリオを構成する資産の内訳

「マーケットポートフォリオ(市場ポートフォリオ)」とは「リスク資産」のみで構成されるポートフォリオですが、「資本市場線」のその他のポイントでポートフォリオを構成した場合に「安全資産」と「リスク資産」の内訳がどのように変化するかを以下の図に示します。

 

ポートフォリオを構成する資産の内訳

 

  • 縦軸上(リスク=0)に位置する場合
    「安全資産」のみでポートフォリオを構成
  • 「マーケットポートフォリオ(市場ポートフォリオ)」より左下に位置する場合
    「安全資産」と「複数のリスク資産」でポートフォリオを構成
  • 「マーケットポートフォリオ(市場ポートフォリオ)」に位置する場合
    「複数のリスク資産」のみでポートフォリオを構成
  • 「マーケットポートフォリオ(市場ポートフォリオ)」より右上に位置する場合
    「安全資産」を借り入れて購入した「複数のリスク資産」でポートフォリオを構成

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成28年度 第18問】

以下のグラフは、ポートフォリオ理論の下での、すべてのリスク資産と無リスク資産の投資機会集合を示している。これに関して、下記の設問に答えよ。

 

 

(設問1)

無リスク資産が存在しない場合の記述として最も適切なものはどれか。

 

ア B-C 間を効率的フロンティアと呼ぶ。
イ 均衡状態においては、すべての投資家が同一のポートフォリオを所有する。
ウ 合理的な投資家は A-B 間から、各人のリスク回避度に応じてポートフォリオを選択する。
エ 投資家のリスク回避度が高くなるほど、点Cに近いポートフォリオを選択する。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答(設問1)

無リスク資産(安全資産)が存在しない場合の「効率的フロンティア(有効フロンティア)」に関する知識を問う問題です。

 

「効率的フロンティア」とは「投資家にとって最適な投資資産の組み合わせ」のことをいいます。

「投資家にとって最適な投資資産の組み合わせ」とは、リターンが同じであればリスクが最も小さい投資の組み合わせであり、かつリスクが同じであればリターンが最も大きい投資資産の組み合わせです。

 

(ア) 適切です。

「複数のリスク資産」を組み合わせた場合の「効率的フロンティア」は、投資家が選択可能な「複数のリスク資産」の組み合わせである「投資機会集合」の上方に沿った曲線となります。

 

効率的フロンティア(複数のリスク資産)

 

したがって、問題文で与えられた図において、B-C 間の曲線を、無リスク資産が存在しない場合の効率的フロンティアというため、選択肢の内容は適切です

 

(イ) 不適切です。

選択肢(ア)のとおり、問題文で与えられた図において、B-C 間の曲線が無リスク資産(安全資産)が存在しない場合の「効率的フロンティア」です。

合理的な投資家が「複数のリスク資産」を組み合わせて最適なポートフォリオを構成しようと試みる際には「効率的フロンティア」のどこかのポイントでポートフォリオを構成しますが、どのポイントを選択するかは、投資家のリスク嗜好度によって異なります

例えば、リスク回避型の投資家は「リスクが低い投資資産の構成割合(左下)」で、リスクを好む投資家は「リスクが高い構成割合の構成割合(右上)」でポートフォリオを構成します。

 

したがって、均衡状態において、すべての投資家が所有するポートフォリオは同一ではないため、選択肢の内容は不適切です

 

(ウ) 不適切です。

選択肢(ア)のとおり、問題文で与えられた図において、B-C 間の曲線が無リスク資産(安全資産)が存在しない場合の「効率的フロンティア」です。

合理的な投資家が「複数のリスク資産」を組み合わせて最適なポートフォリオを構成しようと試みる際には「効率的フロンティア」のどこかのポイントでポートフォリオを構成しますが、どのポイントを選択するかは、投資家のリスク嗜好度によって異なります

例えば、リスク回避型の投資家は「リスクが低い投資資産の構成割合(左下)」で、リスクを好む投資家は「リスクが高い構成割合の構成割合(右上)」でポートフォリオを構成します。

 

したがって、合理的な投資家は、 無リスク資産が存在しない場合の効率的フロンティアである B-C 間から、各人のリスク回避度に応じてポートフォリオを選択するため、選択肢の内容は不適切です

 

(エ) 不適切です。

選択肢(ア)のとおり、問題文で与えられた図において、B-C 間の曲線が無リスク資産(安全資産)が存在しない場合の「効率的フロンティア」です。

合理的な投資家が「複数のリスク資産」を組み合わせて最適なポートフォリオを構成しようと試みる際には「効率的フロンティア」のどこかのポイントでポートフォリオを構成しますが、どのポイントを選択するかは、投資家のリスク嗜好度によって異なります

例えば、リスク回避型の投資家は「リスクが低い投資資産の構成割合(左下)」で、リスクを好む投資家は「リスクが高い構成割合の構成割合(右上)」でポートフォリオを構成します。

 

したがって、投資家のリスク回避度が高くなるほど、リスクが低い点 B に近いポートフォリオを選択するため、選択肢の内容は不適切です

 

答えは(アです。


 

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