財務・会計 ~H30-16 リスクの種類(4)アンシステマティック・リスクとシステマティック・リスク~

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今回は、「財務・会計 ~H30-16 リスクの種類(4)アンシステマティック・リスクとシステマティック・リスク~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~平成30年度一次試験問題一覧~

平成30年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

リスクの種類 -リンク-

一次試験に向けて「リスクの種類」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

リスク

一般的に「リスク」とは「危険」を表す言葉として認知されていますが、正確には「リスク」とは「不確実性さ」を意味しています

例えば、「ハイリスクハイリターン」な金融商品とは、大損をする可能性もあれば大儲けできる可能性もある商品のことをいいますが、これは「危険が大きいので儲けも大きくなる可能性がある」のではなく「不確実性が高いため儲けも損も大きくなる可能性がある」ということを意味しています。

 

投資のリスク

投資家は、利益を得るために投資を行いますが、投資には損失を被るという「投資のリスク」もあります。

「投資のリスク」は、複数の投資先への「分散投資」によって低減することができますが、損失を被るリスクをすべて回避することはできません。

それは、「投資のリスク」に、個別銘柄に起因する「アンシステマティック・リスク」と、市場そのものに起因する「システマティック・リスク」があり、「分散投資」をしても「システマティック・リスク」を回避することはできないためです。

 

アンシステマティック・リスク

「アンシステマティック・リスク」は「個別銘柄リスク」とも呼ばれ、「銘柄固有の理由によるリスク」であり「分散投資によって低減できるリスク」です。

 

  • 銘柄固有の理由によるリスク
    企業の業績動向など銘柄固有の理由により、株式等の価値が下落するリスクです。
  • 分散投資によって低減できるリスク
    「アンシステマティック・リスク」は、複数の銘柄への分散投資によって「投資のリスク」を低減することができます
    例えば、「企業A」「企業B」「企業C」の株式で構成しているポートフォリオでは、「企業A」の業績が著しく悪くて株式の価値が下落しても、「企業B」や「企業C」の株式が価値を維持している場合は、ポートフォリオへの影響は「企業A」の株式だけを保有しているよりも低減することができます。

 

アンシステマティック・リスクを表すグラフ

「アンシステマティック・リスク(分散投資によって低減できるリスク)」のグラフを確認していきます。

 

株式を購入している銘柄数によるポートフォリオの価値の変化

ある投資家が総額100万円を株式に投資している状況で、1つの企業(企業A)が倒産してしまった場合にポートフォリオの価値がどのように変化していくかを考えていきます。なお、「企業A」以外の株式の価値は一切増減していないと仮定します。

 

1つの企業に投資している状況で当該の企業が倒産した場合

 

2つの企業に投資している状況で企業Aが倒産した場合

 

3つの企業に投資している状況で企業Aが倒産した場合

 

4つの企業に投資している状況で企業Aが倒産した場合

 

5つの企業に投資している状況で企業Aが倒産した場合

 

上記の結果から、株式を購入する銘柄数とそのうちの1つの企業が倒産してしまった場合のポートフォリオの価値の関係を表すグラフは以下の通りです。

総額100万円を株式に投資している投資家にとって、株式を購入している銘柄数が少ないほど1つの企業が倒産したときにポートフォリオの価値が低くなることを表しています。

 

株式を購入する銘柄数とポートフォリオの価値の関係

 

株式を購入している銘柄数によるアンシステマティック・リスクの変化

総額100万円を株式に投資している投資家にとって、株式を購入している銘柄数が少ないほど1つの企業が倒産したときにポートフォリオの価値が低くなることを表しているということは、株式を購入している銘柄数が少ないほど1つの企業が倒産したときのリスクが高くなる(株式を購入している銘柄数が多いほど1つの企業が倒産したときのリスクが低くなる)ということを表しています。

したがって、株式を購入する銘柄数とアンシステマティック・リスクの関係を表すグラフは以下の通りです。

 

株式を購入する銘柄数とアンシステマティック・リスクの関係

 

システマティック・リスク

「システマティック・リスク」は「市場リスク」とも呼ばれ、「市場全体が影響を受けるリスク」であり、「分散投資によって低減できないリスク」です。

 

  • 市場全体が影響を受けるリスク
    海外市場の変動、金利の上昇や下落、政府要人の発言、災害・テロの発生などにより、市場全体が影響を受けるリスクです。
  • 分散投資によって低減できないリスク
    複数の銘柄に分散投資をしても、市場全体が受ける影響を回避することはできないため、投資のリスクを低減することはできません

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成30年度 第16問】

分散投資によるポートフォリオのリスク減少の様子を示した以下の図と、図中の①と②に当てはまる用語の組み合わせのうち、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

 

[解答群]

ア 図A
①:システマティック・リスク
②:非システマティック・リスク

イ 図A
①:非システマティック・リスク
②:システマティック・リスク

ウ 図B
①:システマティック・リスク
②:非システマティック・リスク

エ 図B
①:非システマティック・リスク
②:システマティック・リスク

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

分散投資によるポートフォリオのリスクの減少に関する知識を問う問題です。

 

①と②のリスクの種類

「アンシステマティック・リスク」は「個別銘柄リスク」とも呼ばれ、複数銘柄への分散投資によって投資のリスクを低減することができますが、「システマティック・リスク」は「市場リスク」とも呼ばれ、海外市場の変動、金利の上昇や下落、政府要人の発言、災害・テロの発生などにより市場全体が影響を受けるリスクであり、複数銘柄に分散投資しても、市場全体が受ける影響を回避することはできないため、投資のリスクを低減することはできません

 

問題で与えられた図Aと図Bのグラフにおいて、①は「組込銘柄数を増やすことによって低減することができるリスク」を、②は「組込銘柄数を増やしても取り除くことができないリスク」を表しています

したがって、①はアンシステマティック・リスク(非システマティック・リスク)を、②は「システマティック・リスク」を表していると判断することができます。

 

これで、選択肢は(イ)と(エ)に絞ることができます

 

アンシステマティック・リスクを表すグラフ

「アンシステマティック・リスク(分散投資によって低減できるリスク)」のグラフを確認していきます。

 

株式を購入している銘柄数によるポートフォリオの価値の変化

ある投資家が総額100万円を株式に投資している状況で、1つの企業(企業A)が倒産してしまった場合にポートフォリオの価値がどのように変化していくかを考えていきます。なお、「企業A」以外の株式の価値は一切増減していないと仮定します。

 

1つの企業に投資している状況で当該の企業が倒産した場合

 

2つの企業に投資している状況で企業Aが倒産した場合

 

3つの企業に投資している状況で企業Aが倒産した場合

 

4つの企業に投資している状況で企業Aが倒産した場合

 

5つの企業に投資している状況で企業Aが倒産した場合

 

上記の結果から、株式を購入する銘柄数とそのうちの1つの企業が倒産してしまった場合のポートフォリオの価値の関係を表すグラフは以下の通りです。

総額100万円を株式に投資している投資家にとって、株式を購入している銘柄数が少ないほど1つの企業が倒産したときにポートフォリオの価値が低くなることを表しています。

 

株式を購入する銘柄数とポートフォリオの価値の関係

 

株式を購入している銘柄数によるアンシステマティック・リスクの変化

総額100万円を株式に投資している投資家にとって、株式を購入している銘柄数が少ないほど1つの企業が倒産したときにポートフォリオの価値が低くなることを表しているということは、株式を購入している銘柄数が少ないほど1つの企業が倒産したときのリスクが高くなる(株式を購入している銘柄数が多いほど1つの企業が倒産したときのリスクが低くなる)ということを表しています。

したがって、株式を購入する銘柄数とアンシステマティック・リスクの関係を表すグラフは以下の通りです。

 

株式を購入する銘柄数とアンシステマティック・リスクの関係

 

したがって、「①アンシステマティック・リスク」における「組込銘柄数」と「リスク」の関係を示したグラフは「図B」となるため、選択肢(エ)が解答となります。

 

答えは(エ)です。


 

コメント

  1. こまみ より:

    いつも記事を読ませて頂いています。
    解説が丁寧で本当に感動的です。
    素晴らしいブログを用意していただきありがとうございます。
    ボタンクリックもできる限りさせていただきますね!!

    診断士試験には昨年度からチャレンジしています。
    今年こそは、1次あと4科目+2次試験も合格したいです。
    引き続きお世話になります。

    取り急ぎ日頃のお礼まで。

    • 資格とるなら.tokyo 管理者 より:

      コメントをいただきましてありがとうございます。
      コメントを何カ月も放置しており、大変申し訳ございません。

      少しでもお役に立てたようで、私としても励みになります。ありがとうございます。

      今後とも、引き続きよろしくお願いいたします。
      既に昨年の試験で合格されて、このブログを見てないのがベストですが。。。

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