今回は、「運営管理 ~H26-8 生産管理方式(1)生産管理方式~」について説明します。
目次
運営管理 ~平成26年度一次試験問題一覧~
平成26年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
- 運営管理 ~平成26年度一次試験問題一覧~
整番管理方式・追番管理方式・オーダエントリー方式・生産座席予約方式・モジュール生産方式 -リンク-
本ブログにて「整番管理方式」「追番管理方式」「オーダエントリー方式」「生産座席予約方式」「モジュール生産方式」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- 整番管理方式・追番管理方式・オーダエントリー方式・生産座席予約方式・モジュール生産方式のまとめ
- R4-4 生産管理方式(10)生産管理方式
- R2-8 生産管理方式(8)製番管理方式
- R1-6 生産管理方式(7)生産座席予約方式
- H30-20 生産の合理化・改善(2)生産現場の改善
- H29-4 生産管理方式(4)モジュール生産方式
- H28-7 生産管理方式(3)製番管理方式
トヨタ生産方式(ジャストインタイム・かんばん方式・自働化)のまとめ -リンク-
本ブログにて「ジャストインタイム」「かんばん方式」「自働化」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- トヨタ生産方式(ジャストインタイム・かんばん方式・自働化)のまとめ
- R3-6 生産管理方式(9)ジャスト・イン・タイム
- R1-21 生産の合理化・改善(6)動作経済の原則
- H30-11 生産管理方式(6)トヨタ生産方式
- H29-9 生産管理方式(5)かんばん方式
- H29-20 生産の合理化・改善(5)生産現場の改善
- H28-21 ライン生産(2)ライン生産
整番管理方式
「製番管理方式」とは、製品の生産指示に際して、製品ごとに「製造番号(製番)」を付与して、製品ごとの生産状況を管理を行う方式であり、「個別生産」「小ロット生産」「月間生産量が少ない品種のロット生産」において採用される管理方式のことをいいます。
「製番管理方式」では、製品ごとに発行する「製造命令書」に「製造番号(製番)」を付与して生産状況を管理することによって、製品ごとの「進捗管理」「製造原価」を確実に把握することができます。
「製造番号(製番)」は、自社で加工する製品だけでなく、製品を構成する部品や材料にも適用して管理を行うため、品質上の問題が発見された場合に「製造番号(製番)」から該当する製品や部品や材料を特定できるなど、容易に必要な情報のトレースが可能になるというメリットがありますが、部品や材料の調達が遅れた場合、次の工程に進むことができないというデメリットもあります。
製番管理方式に適した生産形態
- 個別生産
- 小ロット生産
- 月間生産量が少ない品種のロット生産
製番管理方式(JISZ8141:2022-3212)
製造命令書において、対象製品に関する全ての加工及び組立の指示書を準備し、同一の製造番号をそれぞれにつけて管理する方式
- 注釈1 個別生産のほか、ロットサイズの小さい、つまり品種ごとの月間生産量が少ない場合のロット生産で用いられることが多い。
追番管理方式
「追番管理方式」とは、製品種類や部品種類といった単位にまとめて、単位ごとの生産状況を「累計製造番号(追番)」で管理する方式であり、仕様が同じ製品を量産する「連続生産」「生産量の多いロット生産」において採用される管理方式のことをいいます。
「連続生産」「生産量の多いロット生産」では仕様が同じ製品を量産するため、製品種類や部品種類といった単位にまとめて生産状況を管理することによって、効率的に「進捗管理」「製造原価」を把握することができます。
追番管理方式に適した生産形態
- 連続生産
- 生産量の多いロット生産
生産座席予約方式
「生産座席予約方式」とは、顧客から注文を受けた時点で、製品を生産するために必要な設備や資材(材料)を予約して割り付けることにより、顧客と調整した納期どおりに製品を納品する生産方式のことをいいます。
「製品を生産するために必要な設備や資材(材料)」を割り付ける方法が、電車や飛行機などの座席予約方法と似ているという理由から「生産座席予約方式」と呼ばれています。
営業担当者が顧客と交渉する際に納期を確認できたり、顧客からの注文をタイムリーに生産計画に反映できるといったメリットがあります。
ただし、設備や資材(材料)の割り付けが先着順となってしまうため、得意先からの急な注文に割り付ける設備や資材(材料)が足りないといった事態にならないよう、得意先向けの優先枠を確保するというような柔軟性を確保する対策が必要です。
生産座席予約方式(JISZ8141:2022-3208)
受注したオーダを顧客が要求する納期どおりに生産するため、製造設備の使用日程・資材の使用予定などに割り付けて生産する方式
かんばん方式
「かんばん方式」とは、トヨタ自動車が開発した生産管理方式であり、「ジャスト・イン・タイム(必要なものを必要な時に必要なだけ生産する)」の考え方に基づき、不要な在庫をできるだけ持たない仕組みのことをいいます。
「かんばん方式」では「かんばん」と呼ばれる「作業指示票」を使って、後工程が前工程に対して必要な部品の品番や数量を伝え、前工程は後工程から指示を受けた数量だけ部品を生産します。
プルシステム・後工程引取方式・引張方式
「かんばん方式」は、もともと米国のスーパーマーケットをヒントに考えられた方式なので、実際のスーパーマーケットをイメージしてみると分かりやすいと思います。スーパーマーケットでは「お客様(後工程)は、必要な品物を必要なときに必要な量だけ購入」して、「お店(前工程)は、お客様(後工程)から引き取られた数量だけ品物を補充」します。
これを生産現場に導入した生産方式が「かんばん方式」であり、「後工程」から引き取られた量を補充するために「前工程」が生産することから「プルシステム」「後工程引取方式」「引張方式」といいます。
作業指示票(かんばん)
「かんばん」と呼ばれる「作業指示票」には、前工程に対して生産を指示するための「仕掛けかんばん」と、運搬指示をするための「引取りかんばん」の2種類があります。
この2種類の「かんばん」を使って、以下の手順に従い、連続する工程間で生産活動を繰り返します。
- 仕掛けかんばん
前工程の担当者は、取り外された「仕掛けかんばん」に記載された生産指示に基づき、該当の部品を指示された数量だけ生産した後、「仕掛けかんばん」を取り付けて完成品置き場に置きます。 - 引取りかんばん
部品の運搬担当者は、取り外された「引取りかんばん」に記載されている運搬指示に基づき、前工程の完成品置き場に部品を取りに行き、「仕掛けかんばん」を取り外して「引取りかんばん」を取り付けた後、部品の運搬を行います。
後工程の担当者は、「引取りかんばん」を取り外してから部品を使用します。
かんばん方式の概念図(トヨタ自動車ホームページより)
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成26年度 第8問】
工程管理方式に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 完成品や仕掛品の現品管理を容易にするために、追番管理方式を採用した。
イ 工程間の仕掛在庫量を管理するために、製番管理方式を採用した。
ウ 受注見積りの時点で信頼できる納期を提示するために、かんばん方式を採用した。
エ 注文品ごとに部品を管理するために、生産座席予約方式を採用した。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
生産管理方式である「製番管理方式」「追番管理方式」「かんばん方式」「生産座席予約方式」に関する知識を問う問題です。
(ア) 適切です。
「追番管理方式」とは、製品種類や部品種類といった単位にまとめて、単位ごとの生産状況を「累計製造番号(追番)」で管理する方式であり、仕様が同じ製品を量産する「連続生産」「生産量の多いロット生産」において採用される管理方式のことをいいます。
「連続生産」「生産量の多いロット生産」では仕様が同じ製品を量産するため、製品種類や部品種類といった単位にまとめて生産状況を管理することによって、効率的に「進捗管理」「製造原価」を把握することができます。
したがって、完成品や仕掛品の現品管理を容易にするために採用するのは「追番管理方式」であるため、選択肢の内容は適切です。
(イ) 不適切です。
「製番管理方式」とは、製品の生産指示に際して、製品ごとに「製造番号(製番)」を付与して、製品ごとの生産状況を管理を行う方式であり、「個別生産」「小ロット生産」「月間生産量が少ない品種のロット生産」において採用される管理方式のことをいいます。
製品ごとに発行する「製造命令書」に「製造番号(製番)」を付与して生産状況を管理することによって、製品ごとの「進捗管理」「製造原価」を確実に把握することができます。
「製造番号(製番)」は、自社で加工する製品だけでなく、製品を構成する部品や材料にも適用して管理を行います。
したがって、工程間の仕掛在庫量を管理するために採用するのは、独自仕様の個々の製品ごとの生産状況を管理する「製番管理方式」ではなく、製品種類や部品種類といった単位にまとめて「累計製造番号(追番)」で生産状況を管理する「追番管理方式」の方が適しているため、選択肢の内容は不適切です。
(ウ) 不適切です。
「かんばん方式」とは、トヨタ自動車が開発した生産管理方式であり、「ジャスト・イン・タイム(必要なものを必要な時に必要なだけ生産する)」の考え方に基づき、不要な在庫をできるだけ持たない仕組みのことをいいます。
「かんばん方式」では「かんばん」と呼ばれる「作業指示票」を使って、後工程が前工程に対して必要な部品の品番や数量を伝え、前工程は後工程から指示を受けた数量だけ部品を生産します。
したがって、受注見積りの時点で信頼できる納期を提示するために採用するのは「かんばん方式」ではなく「生産座席予約方式」であるため、選択肢の内容は不適切です。
「生産座席予約方式」とは、顧客から注文を受けた時点で、製品を生産するために必要な設備や資材(材料)を予約して割り付けることにより、顧客と調整した納期どおりに製品を納品する生産方式のことをいいます。
営業担当者が顧客と交渉する際に納期を確認できたり、顧客からの注文をタイムリーに生産計画に反映できるといったメリットがあります。
(エ) 不適切です。
「生産座席予約方式」とは、顧客から注文を受けた時点で、製品を生産するために必要な設備や資材(材料)を予約して割り付けることにより、顧客と調整した納期どおりに製品を納品する生産方式のことをいいます。
営業担当者が顧客と交渉する際に納期を確認できたり、顧客からの注文をタイムリーに生産計画に反映できるといったメリットがあります。
したがって、注文品ごとに部品を管理するために採用するのは「生産座席予約方式」ではなく「製番管理方式」であるため、選択肢の内容は不適切です。
「製番管理方式」とは、製品の生産指示に際して、製品ごとに「製造番号(製番)」を付与して、生産状況を管理を行う方式であり、「個別生産」「小ロット生産」「月間生産量が少ない品種のロット生産」において採用される管理方式のことをいいます。
製品ごとに発行する「製造命令書」に「製造番号(製番)」を付与して生産状況を管理することによって、製品ごとの「進捗管理」「製造原価」を確実に把握することができます。
「製造番号(製番)」は、自社で加工する製品だけでなく、製品を構成する部品や材料にも適用して管理を行います。
答えは(ア)です。
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