今回は、「運営管理 ~R2-8 生産管理方式(8)製番管理方式~」について説明します。
目次
運営管理 ~令和2年度一次試験問題一覧~
令和2年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
整番管理方式・追番管理方式・オーダエントリー方式・生産座席予約方式・モジュール生産方式 -リンク-
本ブログにて「整番管理方式」「追番管理方式」「オーダエントリー方式」「生産座席予約方式」「モジュール生産方式」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- 整番管理方式・追番管理方式・オーダエントリー方式・生産座席予約方式・モジュール生産方式のまとめ
- R4-4 生産管理方式(10)生産管理方式
- R1-6 生産管理方式(7)生産座席予約方式
- H30-20 生産の合理化・改善(2)生産現場の改善
- H29-4 生産管理方式(4)モジュール生産方式
- H28-7 生産管理方式(3)製番管理方式
- H26-8 生産管理方式(1)生産管理方式
整番管理方式
「製番管理方式」とは、製品の生産指示に際して、製品ごとに「製造番号(製番)」を付与して、製品ごとの生産状況を管理を行う方式であり、「個別生産」「小ロット生産」「月間生産量が少ない品種のロット生産」において採用される管理方式のことをいいます。
「製番管理方式」では、製品ごとに発行する「製造命令書」に「製造番号(製番)」を付与して生産状況を管理することによって、製品ごとの「進捗管理」「製造原価」を確実に把握することができます。
「製造番号(製番)」は、自社で加工する製品だけでなく、製品を構成する部品や材料にも適用して管理を行うため、品質上の問題が発見された場合に「製造番号(製番)」から該当する製品や部品や材料を特定できるなど、容易に必要な情報のトレースが可能になるというメリットがありますが、部品や材料の調達が遅れた場合、次の工程に進むことができないというデメリットもあります。
製番管理方式に適した生産形態
- 個別生産
- 小ロット生産
- 月間生産量が少ない品種のロット生産
製番管理方式(JISZ8141:2022-3212)
製造命令書において、対象製品に関する全ての加工及び組立の指示書を準備し、同一の製造番号をそれぞれにつけて管理する方式
- 注釈1 個別生産のほか、ロットサイズの小さい、つまり品種ごとの月間生産量が少ない場合のロット生産で用いられることが多い。
追番管理方式
「追番管理方式」とは、製品種類や部品種類といった単位にまとめて、単位ごとの生産状況を「累計製造番号(追番)」で管理する方式であり、仕様が同じ製品を量産する「連続生産」「生産量の多いロット生産」において採用される管理方式のことをいいます。
「連続生産」「生産量の多いロット生産」では仕様が同じ製品を量産するため、製品種類や部品種類といった単位にまとめて生産状況を管理することによって、効率的に「進捗管理」「製造原価」を把握することができます。
追番管理方式に適した生産形態
- 連続生産
- 生産量の多いロット生産
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【令和2年度 第8問】
製番管理方式の特徴に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 製品の組み立てを開始する時点で、すべての部品に製造番号を割り当てる。
b ロット生産の工場でも利用可能であり、特にロットサイズが大きい場合に適している。
c この方式を用いると、部品が1点でも遅延すると組み立てが開始できない。
d 品質保証を行う上で必要な情報のトレースが容易にできる。
[解答群]
ア aとb
イ aとc
ウ bとc
エ bとd
オ cとd
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
「製番管理方式」の特徴に関する知識を問う問題です
「製番管理方式」とは、製品の生産指示に際して、製品ごとに「製造番号(製番)」を付与して、製品ごとの生産状況を管理を行う方式であり、「個別生産」「小ロット生産」「月間生産量が少ない品種のロット生産」において採用される管理方式のことをいいます。
「製番管理方式」では、製品ごとに発行する「製造命令書」に「製造番号(製番)」を付与して生産状況を管理することによって、製品ごとの「進捗管理」「製造原価」を確実に把握することができます。
「製造番号(製番)」は、自社で加工する製品だけでなく、製品を構成する部品や材料にも適用して管理を行うため、品質上の問題が発見された場合に「製造番号(製番)」から該当する製品や部品や材料を特定できるなど、容易に必要な情報のトレースが可能になるというメリットがありますが、部品や材料の調達が遅れた場合、次の工程に進むことができないというデメリットもあります。
製番管理方式に適した生産形態
- 個別生産
- 小ロット生産
- 月間生産量が少ない品種のロット生産
製番管理方式(JISZ8141:2022-3212)
製造命令書において、対象製品に関する全ての加工及び組立の指示書を準備し、同一の製造番号をそれぞれにつけて管理する方式
- 注釈1 個別生産のほか、ロットサイズの小さい、つまり品種ごとの月間生産量が少ない場合のロット生産で用いられることが多い。
(a) 不適切です。
「製造番号(製番)」は、自社で加工する製品だけでなく、製品を構成する部品や材料にも適用して管理を行います。
したがって、「製番管理方式」では、製品の組み立てを開始する時点ではなく、製品を構成する部品や材料を調達する時点から、すべての部品や材料に製造番号を割り当てるため、選択肢の内容は不適切です。
(b) 不適切です。
「製番管理方式」とは、製品の生産指示に際して、製品ごとに「製造番号(製番)」を付与して、製品ごとの生産状況を管理を行う方式であり、「個別生産」「小ロット生産」「月間生産量が少ない品種のロット生産」において採用される管理方式のことをいいます。
製番管理方式に適した生産形態
- 個別生産
- 小ロット生産
- 月間生産量が少ない品種のロット生産
したがって、「製番管理方式」は、ロット生産の工場でも利用可能ですが、ロットサイズが大きい場合ではなく、ロットサイズが小さい場合に採用される管理方式のため、選択肢の内容は不適切です。
(c) 適切です。
「製造番号(製番)」は、自社で加工する製品だけでなく、製品を構成する部品や材料にも適用して管理を行うため、品質上の問題が発見された場合に「製造番号(製番)」から該当する製品や部品や材料を特定できるなど、容易に必要な情報のトレースが可能になるというメリットがありますが、部品や材料の調達が遅れた場合、次の工程に進むことができないというデメリットもあります。
したがって、「製番管理方式」を用いると、部品が1点でも遅延すると組み立てが開始できないため、選択肢の内容は適切です。
(d) 適切です。
「製造番号(製番)」は、自社で加工する製品だけでなく、製品を構成する部品や材料にも適用して管理を行うため、品質上の問題が発見された場合に「製造番号(製番)」から該当する製品や部品や材料を特定できるなど、容易に必要な情報のトレースが可能になるというメリットがありますが、部品や材料の調達が遅れた場合、次の工程に進むことができないというデメリットもあります。
したがって、「製番管理方式」では、品質保証を行う上で必要な情報のトレースが容易にできるため、選択肢の内容は適切です
(c)と(d)に記述されている内容が適切であるため、答えは(オ)です。
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