今回は、「運営管理 ~H29-4 生産管理方式(4)モジュール生産方式~」について説明します。
目次
運営管理 ~平成29年度一次試験問題一覧~
平成29年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
整番管理方式・追番管理方式・オーダエントリー方式・生産座席予約方式・モジュール生産方式 -リンク-
本ブログにて「整番管理方式」「追番管理方式」「オーダエントリー方式」「生産座席予約方式」「モジュール生産方式」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- 整番管理方式・追番管理方式・オーダエントリー方式・生産座席予約方式・モジュール生産方式のまとめ
- R4-4 生産管理方式(10)生産管理方式
- R2-8 生産管理方式(8)製番管理方式
- R1-6 生産管理方式(7)生産座席予約方式
- H30-20 生産の合理化・改善(2)生産現場の改善
- H28-7 生産管理方式(3)製番管理方式
- H26-8 生産管理方式(1)生産管理方式
生産座席予約方式
「生産座席予約方式」とは、顧客から注文を受けた時点で、製品を生産するために必要な設備や資材(材料)を予約して割り付けることにより、顧客と調整した納期どおりに製品を納品する生産方式のことをいいます。
「製品を生産するために必要な設備や資材(材料)」を割り付ける方法が、電車や飛行機などの座席予約方法と似ているという理由から「生産座席予約方式」と呼ばれています。
営業担当者が顧客と交渉する際に納期を確認できたり、顧客からの注文をタイムリーに生産計画に反映できるといったメリットがあります。
ただし、設備や資材(材料)の割り付けが先着順となってしまうため、得意先からの急な注文に割り付ける設備や資材(材料)が足りないといった事態にならないよう、得意先向けの優先枠を確保するというような柔軟性を確保する対策が必要です。
生産座席予約方式(JISZ8141:2022-3208)
受注したオーダを顧客が要求する納期どおりに生産するため、製造設備の使用日程・資材の使用予定などに割り付けて生産する方式
モジュール生産方式
「モジュール生産方式」とは、自動車などの生産において、部品メーカーは一定数の部品をモジュール化した状態で納品して、自動車メーカーは部品メーカーから納品されたモジュール化された状態の部品を組み合わせて自動車を生産する生産方式のことをいいます。
「モジュール生産方式」により、自動車メーカーとしては、取り扱う部品数や部品メーカー数が少なくなるため、部品や部品メーカーを管理する負担を軽減することができます。
また、あらかじめ複数種類の部品を組み立てておき、顧客から注文を受けてから、それらの部品を組み合わせることで短期間で多品種の最終製品を完成させることもできます。
「モジュール生産方式」により、管理の負担軽減、リードタイムの短縮、品質の安定などの効果が得られますが、自動車メーカーとしては、部品メーカーからモジュール化された部品が納品されてくるため、当該部品の技術力やノウハウを蓄積することができないといった課題も出てきます。
モジュール生産(JISZ8141:2022-3205)
複数種類の部品又はユニットのモジュールをあらかじめ生産しておき、受注後にモジュールの組合せによって多品種の製品を生産する方式
- 注釈1 部品又は機能の境目をなくして重複のムダを省き、顧客の多様な注文又は納期短縮に対応する生産方式
- 注釈2 部品中心生産方式(part oriented production system)ともいう。
- 注釈3 顧客の注文が確定してから最終製品の組み立てを行って、短期間で製品を納入する受注組立生産(Build to Order)もある。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成29年度 第4問】
モジュール生産方式に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア あらかじめ複数種類の部品を組み立てておき、注文を受けてからそれらの組み合わせによって多品種の最終製品を生産することが可能となる。
イ 外部のサプライヤーに対してモジュール単位で発注を行えば、サプライヤーの数を絞ることが可能となるため、管理の負担を軽減することが期待できる。
ウ 組立工程で扱う部品点数が削減され、組立工程が短くなり注文を受けてから納品するまでのリードタイム短縮が期待できる。
エ 製造設備の使用日程・資材の使用予定などにオーダーを割り付け、顧客が要求する納期通りに生産する方式で、平準化生産など製造効率の良い生産が可能となる。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
「モジュール生産方式」に関する知識を問う問題です。
「モジュール生産方式」とは、自動車などの生産において、部品メーカーは一定数の部品をモジュール化した状態で納品して、自動車メーカーは部品メーカーから納品されたモジュール化された状態の部品を組み合わせて自動車を生産する生産方式のことをいいます。
「モジュール生産方式」により、自動車メーカーとしては、取り扱う部品数や部品メーカー数が少なくなるため、部品や部品メーカーを管理する負担を軽減することができます。
また、あらかじめ複数種類の部品を組み立てておき、顧客から注文を受けてから、それらの部品を組み合わせることで短期間で多品種の最終製品を完成させることもできます。
「モジュール生産方式」により、管理の負担軽減、リードタイムの短縮、品質の安定などの効果が得られますが、自動車メーカーとしては、部品メーカーからモジュール化された部品が納品されてくるため、当該部品の技術力やノウハウを蓄積することができないといった課題も出てきます。
モジュール生産(JISZ8141:2022-3205)
複数種類の部品又はユニットのモジュールをあらかじめ生産しておき、受注後にモジュールの組合せによって多品種の製品を生産する方式
- 注釈1 部品又は機能の境目をなくして重複のムダを省き、顧客の多様な注文又は納期短縮に対応する生産方式
- 注釈2 部品中心生産方式(part oriented production system)ともいう。
- 注釈3 顧客の注文が確定してから最終製品の組み立てを行って、短期間で製品を納入する受注組立生産(Build to Order)もある。
(ア) 適切です。
選択肢の内容は、「モジュール生産方式」によるメリットを記しているため適切な記述です。
あらかじめ複数種類の部品を組み立てておき、注文を受けてからそれらの組み合わせによって多品種の最終製品を生産することが可能となります。
(イ) 適切です。
選択肢の内容は、「モジュール生産方式」によるメリットを記しているため適切な記述です。
外部のサプライヤーに対してモジュール単位で発注を行えば、サプライヤーの数を絞ることが可能となるため、管理の負担を軽減することが期待できます。
(ウ) 適切です。
選択肢の内容は、「モジュール生産方式」によるメリットを記しているため適切な記述です。
組立工程で扱う部品点数が削減され、組立工程が短くなり注文を受けてから納品するまでのリードタイム短縮が期待できます。
(エ) 不適切です。
選択肢の内容は、「生産座席予約方式」によるメリットを記しているため、適切な記述ではありません。
製造設備の使用日程・資材の使用予定などにオーダーを割り付け、顧客が要求する納期通りに生産する方式で、平準化生産など製造効率の良い生産が可能となります。
答えは(エ)です。
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