今回は、「財務・会計 ~H29-17 MM理論(1)~」について説明します。
目次
財務・会計 ~平成29年度一次試験問題一覧~
平成29年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
MM理論 -リンク-
「MM理論」とは、1958年にフランコ・モディリアーニとマートン・ミラーが提唱した理論であり、完全市場では企業の資本構成および配当政策は企業価値に影響を与えないというものです。
「MM理論」については、過去にも説明していますので、以下のページにもアクセスしてみてください。
- H27-13 MM理論(2)
- H26-15-2 MM理論(3)
- H24-17-2 MM理論(4)
- H23-17 MM理論(5)
- H22-14-2 MM理論(6)
- R1-22 MM理論(7)
- R2-24 MM理論(8)
MM理論のポイント
「MM理論」の問題を解くうえでポイントとなる3点を以下に示します。
以下のポイントを押さえておけば、一次試験に出題される問題の多くは解くことができるはずです。
MM理論の問題を解くためのポイント
- 法人税が存在しない場合、企業の資本構成(負債と株主資本の割合)が変わっても企業価値は変わらない。
- 法人税が存在する場合、負債の割合が大きい企業の方が、節税効果が得られるため、負債の割合が少ない企業より、企業価値が高くなる。
- 負債による節税効果は「負債額×法人税率」で算出される。
試験問題
それでは、実際の問題を解いてみます。
【平成29年度 第17問】
借入金のあるなし以外は同一条件の2つの企業がある。このとき、税金が存在する場合のモジリアーニとミラーの理論(MM理論)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 節税効果による資本コストの上昇により、借入金のある企業の企業価値の方が高くなる。
イ 節税効果による資本コストの上昇により、無借金企業の企業価値の方が高くなる。
ウ 節税効果による資本コストの低下により、借入金のある企業の企業価値の方が高くなる。
エ 節税効果による資本コストの低下により、無借金企業の企業価値の方が高くなる。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
「税金(法人税)が存在する場合、借入金(負債)のある企業の方が企業価値が高くなる」ため、正解は選択肢の(ア)または(ウ)のいずれかということになります。
選択肢を1つに絞るために節税効果により資本コストが上昇するのか低下するのかについて、以前説明した加重平均資本コスト(WACC)で考えてみます。
上記の公式に当てはめてみると、負債による節税効果である「負債額×税率(負債コスト×法人税率)」がマイナスされていますね。
ということは法人税がある場合は「資本コストが低下する」ということなので、選択肢が1つに絞られます。
答えは(ウ)です。
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