今回は、「運営管理 ~R3-6 生産管理方式(9)ジャスト・イン・タイム~」について説明します。
目次
運営管理 ~令和3年度一次試験問題一覧~
令和3年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
トヨタ生産方式(ジャストインタイム・かんばん方式・自働化)のまとめ -リンク-
本ブログにて「ジャストインタイム」「かんばん方式」「自働化」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- トヨタ生産方式(ジャストインタイム・かんばん方式・自働化)のまとめ
- R1-21 生産の合理化・改善(6)動作経済の原則
- H30-11 生産管理方式(6)トヨタ生産方式
- H29-9 生産管理方式(5)かんばん方式
- H29-20 生産の合理化・改善(5)生産現場の改善
- H28-21 ライン生産(2)ライン生産
- H26-8 生産管理方式(1)生産管理方式
トヨタ生産方式
「トヨタ生産方式」は、 トヨタ自動車が改善を積み重ねて確立した生産管理方式であり、「リーン生産方式」「JIT(ジャスト・イン・タイム)方式」とも呼ばれています。
トヨタ生産方式の基本構想
「トヨタ生産方式」は、「ジャスト・イン・タイム」と「自働化」という基本構想に基づき構成されており、トヨタ自動車はこれらの基本構想を実現することによって「確かな品質」で「タイムリー」に自動車を生産して顧客に提供しています。
- ジャスト・イン・タイム
必要なものを必要な時に必要なだけ生産する - 自働化
異常が発生したら機械がただちに停止して、不良品を造らない
ジャスト・イン・タイム
「ジャスト・イン・タイム」とは「必要なものを必要な時に必要なだけ生産する」という考え方に基づく生産管理方式であり、生産現場の「ムダ・ムラ・ムリ」を徹底的になくすことによって、生産性を向上します。
「ジャスト・イン・タイム」を実現するために、トヨタ自動車が実践している内容は以下の通りです。
- 顧客からの注文を、迅速に生産ラインに指示します。
- 組立工程では、すべての種類の部品を最低限必要な数量だけ確保します。
- 組立工程で使用した部品を使用した数量だけを前工程(当該の部品を加工する工程)に引き取りに行きます。
- 前工程(部品加工工程)では、すべての種類の部品を最低限必要な数量だけ確保しておき、後工程(組立工程)に引き渡した分だけ生産します。
トヨタ自動車では、これらの対応を実践するために、「かんばん方式」という生産管理方式を導入しています。
かんばん方式
「かんばん方式」とは、トヨタ自動車が開発した生産管理方式であり、「ジャスト・イン・タイム(必要なものを必要な時に必要なだけ生産する)」の考え方に基づき、不要な在庫をできるだけ持たない仕組みのことをいいます。
「かんばん方式」では「かんばん」と呼ばれる「作業指示票」を使って、後工程が前工程に対して必要な部品の品番や数量を伝え、前工程は後工程から指示を受けた数量だけ部品を生産します。
プルシステム・後工程引取方式・引張方式
「かんばん方式」は、もともと米国のスーパーマーケットをヒントに考えられた方式なので、実際のスーパーマーケットをイメージしてみると分かりやすいと思います。スーパーマーケットでは「お客様(後工程)は、必要な品物を必要なときに必要な量だけ購入」して、「お店(前工程)は、お客様(後工程)から引き取られた数量だけ品物を補充」します。
これを生産現場に導入した生産方式が「かんばん方式」であり、「後工程」から引き取られた量を補充するために「前工程」が生産することから「プルシステム」「後工程引取方式」「引張方式」といいます。
作業指示票(かんばん)
「かんばん」と呼ばれる「作業指示票」には、前工程に対して生産を指示するための「仕掛けかんばん」と、運搬指示をするための「引取りかんばん」の2種類があります。
この2種類の「かんばん」を使って、以下の手順に従い、連続する工程間で生産活動を繰り返します。
- 仕掛けかんばん
前工程の担当者は、取り外された「仕掛けかんばん」に記載された生産指示に基づき、該当の部品を指示された数量だけ生産した後、「仕掛けかんばん」を取り付けて完成品置き場に置きます。 - 引取りかんばん
部品の運搬担当者は、取り外された「引取りかんばん」に記載されている運搬指示に基づき、前工程の完成品置き場に部品を取りに行き、「仕掛けかんばん」を取り外して「引取りかんばん」を取り付けた後、部品の運搬を行います。
後工程の担当者は、「引取りかんばん」を取り外してから部品を使用します。
かんばん方式の概念図(トヨタ自動車ホームページより)
自働化
「自働化」は「ニンベンのついた自動化」と呼ばれ、設備や品質の異常を検知した際に、ラインが自動的に停止することにより、不良品を作り続けることを自動的に防止するための仕組みのことをいいます。
「ジャスト・イン・タイム」を実現するためには、生産されるすべての部品が良品であることが前提となるため、「自働化」が非常に重要な役割を果たしています。
「自働化」において、設備や品質の異常を検知した際に、管理者や他工程の作業者に伝えるための仕組みが「あんどん(異常表示盤)」です。
あんどん(異常表示盤)
「あんどん(異常表示盤)」とは、管理者や他工程の作業者に生産ラインの異常を伝えることを目的とした「ラインストップ表示板(ランプ)」のことをいいます。
「あんどん(異常表示盤)」を導入することによって「目で見る管理」や「自働化」を実現します。
目で見る管理
作業者又は管理者が、進捗状況又は正常か異常かどうかといった生産の状況を一目で見て分かり、管理しやすくした工夫。(JISZ8141-4303)
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【令和3年度 第6問】
ジャストインタイムに関する以下の文章において、空欄A~Cに入る用語の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
ジャストインタイムは、すべての工程が[ A ]工程の要求に合わせて、必要な物を、必要なときに、必要な量だけ生産する方式である。この方式の実現のためには、[ B ]工程の生産量を平準化することが重要である。また、この方式は[ A ]工程から引き取られた量を補充するため、[ C ]方式とも呼ばれている。
[解答群]
ア A:前 B:最終 C:引張
イ A:前 B:第一 C:押出し
ウ A:後 B:最終 C:押出し
エ A:後 B:最終 C:引張
オ A:後 B:第一 C:引張
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
「ジャスト・イン・タイム」に関する知識を問う問題です。
「ジャスト・イン・タイム」とは「必要なものを必要な時に必要なだけ生産する」という考え方に基づく生産管理方式であり、生産現場の「ムダ・ムラ・ムリ」を徹底的になくすことによって、生産性を向上します。
「ジャスト・イン・タイム」を実現するために、トヨタ自動車では、「かんばん方式」という生産管理方式を導入しています。
「かんばん方式」は、もともと米国のスーパーマーケットをヒントに考えられた方式なので、実際のスーパーマーケットをイメージしてみると分かりやすいと思います。スーパーマーケットでは「お客様(後工程)は、必要な品物を必要なときに必要な量だけ購入」して、「お店(前工程)は、お客様(後工程)から引き取られた数量だけ品物を補充」します。
これを生産現場に導入した生産方式が「かんばん方式」であり、「後工程」から引き取られた量を補充するために「前工程」が生産することから「プルシステム」「後工程引取方式」「引張方式」といいます。
穴埋め文章
上述の内容に基づき、問題文を穴埋めすると以下の文章となります。
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ジャストインタイムは、すべての工程が後工程の要求に合わせて、必要な物を、必要なときに、必要な量だけ生産する方式である。この方式の実現のためには、最終工程の生産量を平準化することが重要である。また、この方式は後工程から引き取られた量を補充するため、引張方式とも呼ばれている。
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答えは(エ)です。
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