事例Ⅲ ~平成23年度 解答例(3)(第2問)~

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今回は、「事例Ⅲ ~平成23年度 解答例(3)(第2問)~」について説明します。

 

目次

事例Ⅲ ~平成23年度試験問題一覧~

平成23年度のその他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

生産管理

「生産管理」とは、生産活動に関する「Q:品質」「C:コスト」「D:数量および納期」の最適化を図るため、「需要予測」「生産計画」「生産実施」「生産統制」を行うことをいいます。

 

生産管理のポイント

「生産管理」に関連する主なポイントは以下の通りです。

 

  • 営業部門が入手した需要予測または受注情報を製造部門に迅速に連携して、迅速に生産計画に反映されるべきです。
  • 生産計画は「大日程・中日程・小日程」に分割してできるだけ短い間隔で更新され、できるだけ短い期間を対象として作成されるべきです。
  • 生産計画は、全ての製品および全ての工程を対象にして立案されるべきです。
  • 生産計画に基づき、一元的に生産統制(進捗管理、現品管理、余力管理)されるべきです。

 

生産統制

「生産統制」とは、作成された生産計画にしたがって生産活動を実施できるように、生産活動の状況を把握して、計画に対する差異が発生した場合には、即座に対策を行って差異を解消させていくことをいいます。

 

生産計画と生産統制の関係

「生産統制」では「生産計画」と照らし合わせて「QCD」の観点から問題が発生していないかを管理していきますが、「生産統制」で管理する項目には「進捗管理」「現品管理」「余力管理」があります。

 

生産統制 生産計画 説明
進捗管理 日程計画 日々の作業の進行状況を把握して調整する管理活動
現品管理 材料・部材計画 在庫の品質を確保して、所在と数量を明確に把握して調整する管理活動
余力管理 工数計画 労働者や機械の能力(例えば最大生産量など)に対する負荷状況を把握して、能力と負荷のバランスを調整する管理活動

 

進捗管理(進度管理)

「進捗管理」とは、日々の作業の進行状況を把握して調整する管理活動のことをいいます。

「進捗管理」の一番の目的は納期を遵守することですが、生産計画よりも前倒しして作業を進めても、仕掛品・完成品を倉庫に保管するコストが増加してしまうなどの問題が発生するため、適切ではありません

「進捗管理」では、早過ぎず遅過ぎず計画通りの日程で作業が進行するよう管理する必要があります。

 

現品管理

「現品管理」とは、「資材」「仕掛品」「製品」などの在庫の品質を確保して、所在と数量を明確に把握して調整する管理活動のことをいいます。

 

状況 観点
外部業者からの受け入れ
(原材料・部品)
受け入れ数量の過不足確認
品質の確認(傷・変形・破損など)
運搬
(原材料・部品・仕掛品・完成品)
運搬数量の過不足確認
適正な運搬荷姿
- 現品の傷・変形・破損の防止
適正な運搬方法
- 現品の傷・変形・破損の防止
保管
(原材料・部品・仕掛品・完成品)
保管数量の過不足確認
適正在庫の維持
- 在庫の長期保管による品質劣化の防止
適正な保管方法
- 積み上げによる荷崩れ等の防止
- 温度管理等による品質劣化の防止
外部業者への受け渡し
(完成品)
受け渡し数量の過不足確認
品質の確認(傷・変形・破損など)

 

余力管理

「余力管理」とは、労働者や機械の能力(例えば最大生産量など)に対する負荷状況を把握して、能力と負荷のバランスを調整する管理活動のことをいいます。

 

第2問

第2問(配点20点)

 

C社の生産計画は計画期間中に変更されることが多い。C社社長は、当社製品の納期に対する顧客の満足度を上げるためにも生産計画の精度を向上させたいと考えているが、そのための対応策を200字以内で具体的に述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

解答の方向性

第2問では、生産計画の変更が多く生じているC社の現状を分析し、その原因を把握、改善するために検討すべき具体的対策を提示できるかについて、分析能力と問題解決能力を問われています。

 

事例Ⅲで出題される「生産計画」に関連する主なポイントは以下の通りです。

 

  • 営業部門が入手した受注情報は、迅速に製造部門に連携して、生産計画に反映されるべき
  • 生産計画は、全ての製品および全ての工程を対象にして立案されるべき
  • 生産計画に基づき、一元的に生産統制(進捗管理、現品管理、余力管理)されるべき

 

与件文から「生産計画」に関する問題を抜き出して対応策を考えていくこととなりますが、上記のポイントを意識しながら、解答を構成していきます。

 

与件文で関連しそうな箇所

与件文では、2ページ目に記述されています。

 

「第2問」「第3問(設問2)」「第4問」で解答すべき内容と、与件文に記述されている内容の関連付けが非常に難しくなっています。

「第2問」では「生産計画」の問題に対する対応策を求められているため、「C社の生産概要」に相当する内容が記述されている「2ページ」から、生産計画に関する記述を抜粋していきます。

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

詳細に示すと以下の通りとなります。

 

  • C社の会社組織は、総務部、営業部、製造部で構成されている。設計開発業務は営業部に所属する2名の設計要員が担っている。この設計要員2名は、X社との新規格品の設計打ち合わせ、「ビルトインシリーズ」の設計開発、さらには顧客の要望で作成する「ビルトインシリーズ」を活用したオフィスレイアウト図の提案も担当するなど当社製品企画の中心である。同時に材料・購入部品などの発注業務、外注加工の手配などの購買業務も担当しており、業務量が大変多く業務が滞ることもしばしば生じている。この状態を改善し、社内で検討している「フリーデザインシリーズ」事業に必要となる特注品の設計業務に対応するため、CAD/CAM化を製造部と計画中である。
    ⇒設計要員の業務量が大変多いということも問題ですが、「第2問」のポイントはそこではなく、設計要員が「材料・購入部品などの発注業務や外注加工の手配などの購買業務」を実施しており、誰も納期管理を行っていないことです。その結果、業者からの納品遅れが発生して組立工程の生産計画の変更が発生するという問題が発生しています。(この後の文章で出てきます)
    「材料・購入部品などの発注業務や外注加工の手配などの購買業務」を製造部に移管して、納期管理を徹底することによって業者からの納品遅れを防止することができます

 

  • OEM製品確定受注情報は、製品名と数量を明記した翌月分の「注文書」と翌月各週の「納品指示書」として、毎月中旬にX社から営業部に入る。営業部では、この翌月分のOEM製品受注情報に、各営業担当者から提出される翌月分の「ビルトインシリーズ」の受注情報を加えて、翌月の納品計画を月末に製造部に渡す。製造部では、この納品計画と材料・購入部品および外注加工品の納期に基づいて、翌月の生産計画を月末に立案する。ただし、上旬分の生産計画は営業部との打ち合わせにより前月中旬に仮に作成し、正式な納品計画が届く月末に修正を加え確定の生産計画としている。
    ⇒営業部としては、OEM製品の確定受注情報を毎月中旬に入手しているにもかかわらず、製造部には月末に翌月の納品計画を連携して、製造部で翌月の生産計画を月末に立案していると記述されています。
    一方で、製造部としては、月末に生産計画を立案すると翌月上旬分の生産が間に合わない(と想定される)ため、営業部との打ち合わせにより翌月上旬分の生産計画を毎月中旬に仮で作成していると記述されています。
    営業部が入手した受注情報は、迅速に製造部に連携することが鉄則です。
    毎月中旬に、営業部がX社からOEM製品確定受注情報を入手した時点でビルトインシリーズの受注情報を加えた翌月の正式な納品計画を製造部に迅速に連携することで、製造部は毎月中旬に翌月の確定生産計画を立案することができます。

 

  • 生産工程は金属パネル加工、組立加工、塗装加工の3工程があり、ロット生産を行っている。金属パネル加工に使用している切断加工機および曲げ加工機はNC化され、各加工機のオペレーターはデータを入力するスキルを持っている。金属パネル加工の一部、金属製加工品、樹脂製加工品などは外注加工で対応している。この外注加工品は営業部の設計要員が事前に発注手配を行っているが、納期の管理が十分に行われていないため納品遅れが発生して組立工程の生産計画の変更が多い。
    ⇒外注加工品の納期管理が十分に行われていないため、納品遅れが発生して組立工程の生産計画の変更が発生している。と記述されています。
    外注業者の納期管理を徹底することによって、業者からの納品遅れを防止すれば、生産計画の変更を防止することができます

 

対応策

対応策は、「生産計画の立案手順」と「業者の納期管理」という2つの観点から考えていきます。

 

生産計画の立案手順

  • 毎月中旬に、営業部がX社からOEM製品確定受注情報を入手した時点でビルトインシリーズの受注情報を加えた翌月の正式な納品計画を製造部に迅速に連携することで、製造部は毎月中旬に翌月の確定生産計画を立案することができる。

 

業者の納期管理

  • 「材料・購入部品などの発注業務や外注加工の手配などの購買業務」を製造部に移管して、納期管理を徹底することによって業者からの納品遅れを防止することができる。
  • 外注業者の納期管理を徹底して業者からの納品遅れを防止すれば、生産計画の変更を防止することができる。

 

解答例

ここまでに整理してきた内容に基づき、200文字以内にまとめます。

生産計画の精度を向上させるための対応策は、毎月中旬に営業部がOEM製品の確定受注情報を入手した時点でビルトインシリーズの受注情報を加えた翌月の納品計画を製造部に迅速に渡すことによって製造部が毎月中旬に翌月の確定生産計画を立案できるようにすることと、材料・購入部品などの発注業務や外注加工の手配などの購買業務を製造部に移管するとともに納期管理を徹底することによって業者からの納品遅れを防止することである。(200文字)

 

事例Ⅰ~事例Ⅲは正解のない試験なので、あくまで解答例として参考にしてもらえればと思います。

 


 

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