今回は、「事例Ⅲ ~平成23年度 解答例(6)(第4問)~」について説明します。
目次
事例Ⅲ ~平成23年度試験問題一覧~
平成23年度のその他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
第4問
第4問(配点20点)
「フリーデザインシリーズ」事業に対応するため、CAD/CAMの導入を考えているが、このCAD/CAM化はC社にどのようなメリットをもたらすのか140字以内で述べよ。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
解答の方向性
第4問では、OEM生産を中心に事業展開してきたC社の現状を把握し、計画されているCAD/CAM化のメリットを分析する能力を問われています。
事例Ⅲで出題される「CAD/CAM化」に関連する主なポイントは以下の通りです。
- 過去の設計データを流用することによって設計業務を効率化することができる
- 顧客との仕様調整において発生する設計データの変更を簡易化することができる
- 製造部門に最新の設計データを迅速に共有することができる
- CADデータを活用してNC加工プログラムを自動作成することによって生産リードタイムを短縮することができる
- 部品等を標準化することによって種類の増加を抑制して管理コストを低減することができる
今回の問題では、そのまま活用することができそうです。
与件文で関連しそうな箇所
与件文では、2ページと3ページに記述されています。
「第2問」「第3問(設問2)」「第4問」で解答すべき内容と、与件文に記述されている内容の関連付けが非常に難しくなっています。
「第4問」では「CAD/CAM化」によるメリットを求められているため、「C社の生産概要」に相当する内容が記述されている「2ページ」から、CAD/CAM化に関する記述を抜粋していきます。
また、「3ページ」の最後の段落に記述されている「品種が非常に多くなっていること」についても「CAD/CAM化」により改善を図っていきます。
問題文の中では、以下の部分が該当します。
詳細に示すと以下の通りとなります。
- C社の会社組織は、総務部、営業部、製造部で構成されている。設計開発業務は営業部に所属する2名の設計要員が担っている。この設計要員2名は、X社との新規格品の設計打ち合わせ、「ビルトインシリーズ」の設計開発、さらには顧客の要望で作成する「ビルトインシリーズ」を活用したオフィスレイアウト図の提案も担当するなど当社製品企画の中心である。同時に材料・購入部品などの発注業務、外注加工の手配などの購買業務も担当しており、業務量が大変多く業務が滞ることもしばしば生じている。この状態を改善し、社内で検討している「フリーデザインシリーズ」事業に必要となる特注品の設計業務に対応するため、CAD/CAM化を製造部と計画中である。
⇒設計開発業務において、設計要員「OEM製品の新規格品の設計」「ビルトインシリーズの設計開発」「オフィスレイアウト図」を行っていますが、CAD/CAMを導入することによって過去の設計データを流用することによって設計業務を効率化することができます。
⇒「フリーデザインシリーズ」事業に必要となる特注品の設計業務では、何度も顧客と打ち合わせを行い、顧客の要望を設計図に反映していくという作業が発生しますが、CAD/CAMを導入することによって特注品の設計業務で頻繁に発生する設計データの変更を簡易化することができます。
⇒文章内に直接の記述はありませんが、CAD/CAMを導入することによって製造部に対して最新の設計データを迅速に共有することができます。
- 生産工程は金属パネル加工、組立加工、塗装加工の3工程があり、ロット生産を行っている。金属パネル加工に使用している切断加工機および曲げ加工機はNC化され、各加工機のオペレーターはデータを入力するスキルを持っている。金属パネル加工の一部、金属製加工品、樹脂製加工品などは外注加工で対応している。この外注加工品は営業部の設計要員が事前に発注手配を行っているが、納期の管理が十分に行われていないため納品遅れが発生して組立工程の生産計画の変更が多い。
⇒NC化された切断加工機および曲げ加工機に対してオペレーターはデータを入力して生産していると記述されていますが、CAD/CAMを導入することによって、CADデータを活用してNC加工プログラムを自動作成することによって生産リードタイムを短縮することができます。
- 製品在庫は、「ビルトインシリーズ」については保有し受注に対応しているが、OEM製品については保有せずX社からの発注に基づき受注生産対応している。また材料や、ビス・ナット類などの購入部品については、発注単位や発注単価を考慮して先行手配し、外注加工品については都度発注している。この材料・購入部品・外注加工品については、新製品の開発・規格化に際してデザインを優先にすることから、製品ごとに異なるものが採用される傾向にあり、特に外注加工品についてはその傾向が強く品種が非常に多くなっている。
⇒材料・購入部品・外注加工品については、品種が非常に多くなっていることが問題として記述されています。
CAD/CAMを導入することによって、材料・購入部品・外注加工品の標準化を図り品種の増加を抑制することができます。
CAD/CAM化によるメリット
CAD/CAM化によるメリットを以下に示します。
- 過去の設計データを流用することによって設計業務を効率化する
- 特注品の設計業務で頻繁に発生する設計データの変更を簡易化する
- 製造部に対して最新の設計データを迅速に共有する
- CADデータを活用してNC加工プログラムを自動作成することによって生産リードタイムを短縮する
- 材料・購入部品・外注加工品の標準化を図り品種の増加を抑制する
解答例
ここまでに整理してきた内容に基づき、140文字以内にまとめます。
CAD/CAM化によるメリットは、過去の設計データ流用による設計業務の効率化、特注品の設計業務で頻繁に発生する設計データ変更の簡易化、製造部への設計データの迅速な共有、NC加工プログラムの自動作成による生産リードタイムの短縮、材料・購入部品・外注加工品の標準化による品種増加の抑制である。(140文字) |
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