今回は、「事例Ⅲ ~平成23年度 解答例(4)(第3問-設問1)~」について説明します。
目次
事例Ⅲ ~平成23年度試験問題一覧~
平成23年度のその他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
第3問(設問1)
第3問(配点40点)
C社では自社ブランド規格品「ビルトインシリーズ」に加え、特注品の「フリーデザインシリーズ」事業を計画している。
(設問1)
「フリーデザインシリーズ」事業は、既存事業の営業先からの要望によって計画、検討されている。顧客からの要望に応えこの事業を推進するためには、C社の営業スタイルをどのように変えるべきか80字以内で提案せよ。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
解答の方向性
第3問(設問1)では、OEM生産を中心に事業展開してきたC社にとって、自社ブランド事業を拡大するために必要な営業活動のあり方を提示できるかについて、分析能力と問題解決能力を問われています。
営業スタイルとして理想的なのは「提案型営業/ソリューション営業」です。
顧客が必要としている製品やサービスを聞いて提案する「御用聞き営業」ではなく、「顧客の課題」を把握して、その課題を解決するために、自社の既存製品や既存サービスに限らず、「提案型営業/ソリューション営業」により様々な側面からアプローチを行い、顧客との信頼関係を深め、付加価値を高めることによって、他社と差別化を図った営業活動を実現することができます。
今回の問題でも、営業スタイルを「御用聞き営業」から「提案型営業/ソリューション営業」に変革していくという観点で解答を構成していきます。
与件文で関連しそうな箇所
与件文では、「1ページ目の中盤」から「2ページ目の前半」に記述されています。
10年ほど前に業績が悪化して低迷した時期に開発した「ビルトインシリーズ」と、最近1~2年で再び売上の減少傾向が見られるために開発しようとしている「フリーデザインシリーズ」について記述されている箇所を抜粋して、その販売方法の違いから解答を構成していきます。
問題文の中では、以下の部分が該当します。
詳細に示すと以下の通りとなります。
- しかし約10年前よりオフィス用金属製家具業界は、官公庁での予算の減少、民間企業での業績の悪化などによって低迷し、X社からのOEM製品の受注も頭打ちとなる。C社ではその対応として、X社製品および販売チャネルと競合しない学校、図書館、病院などの建築工事に付帯する金属製収納棚に特化した自社ブランド製品「ビルトインシリーズ」を開発して、規格品としてカタログ化し、X社の承諾を得てC社独自で営業展開を行う自社ブランド規格品事業をはじめた。この事業では、施主および設計事務所へのカタログを用いた製品紹介などの営業によってC社製品「ビルトインシリーズ」の採用を売り込み、建築工事時に工事会社と契約して納品している。
⇒現在は、カタログを用いて規格品を紹介する営業スタイルであると記述されています。
- ところが、最近1~2年、X社からの受注量減少が生じ、再び売上の減少傾向が見られるようになった。そこでC社ではその対応として、カタログ規格品「ビルトインシリーズ」に加え、建築物内部で使われる金属製家具をコーディネートし、トータルで提供する特注品の自社ブランド製品「フリーデザインシリーズ」事業の開発を検討することとなった。この事業は「ビルトインシリーズ」のこれまでの営業先である施主や設計事務所から「オフィス空間をトータルで提案し、供給してほしい」との要望に応えようとする事業への進出であり、C社では大きな期待を持っている。
⇒「フリーデザインシリーズ」事業は、顧客の要望に応えるために、カタログ規格品に限らず、建築物内部で使われる金属製家具をコーディネートし、オフィス空間をトータルで提案する特注品販売の営業スタイルであると記述されています。
営業スタイル
「ビルトインシリーズ」の販売と「フリーデザインシリーズ」の販売で必要とされる営業スタイルを以下に示します。
ビルトインシリーズ
- カタログを用いて規格品を紹介する営業スタイル
フリーデザインシリーズ
- 顧客の要望に応えるために、カタログ規格品に限らず、建築物内部で使われる金属製家具をコーディネートし、オフィス空間をトータルで提案する特注品販売の営業スタイル
解答例
ここまでに整理してきた内容に基づき、80文字以内にまとめます。
カタログによる規格品販売の営業から、建築物内部に使われる金属製家具をコーディネートしてオフィス空間をトータルで提案する特注品販売の営業スタイルに変えるべきである。(80文字) |
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