経済学・経済政策 ~H25-15 需要・供給・弾力性の概念(4)需要の価格弾力性~

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今回は、「経済学・経済政策 ~H25-15 需要・供給・弾力性の概念(4)需要の価格弾力性~」について説明します。

 

目次

経済学・経済政策 ~平成25年度一次試験問題一覧~

平成25年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

需要の価格弾力性 -リンク-

本ブログにて「需要の価格弾力性」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

需要の価格弾力性(ε:イプシロン)

「需要の価格弾力性」とは、財の価格が1%増減したときに需要が何%変化するかを表しており「価格の変化率」に対する「需要の変化率」として求められます。

ここで重要なのは「需要の価格弾力性」が「価格の変化量」に対する「需要の変化量」ではなく「価格の変化率」に対する「需要の変化率」として表されるということです。

「商品の価格を20円値下げしたら以前よりも200個多く売れた」と言われても、値下げ前の価格や販売数が分からないと値下げによる効果を判断できませんが、値下げ前の価格や販売数に対する変化率を用いている「需要の価格弾力性」を見れば、その効果を定量的に確認することができます。

 

需要の価格弾力性の公式

「価格の変化率」に対する「需要の変化率」として表される「需要の価格弾力性」の公式を以下に示します。

 

 

「需要の価格弾力性」の公式において「需要の変化率 ÷ 価格の変化率」の前に「-(マイナス)」が付いているということは、価格が低下(上昇)したとき需要が増加(減少)すれば「需要の価格弾力性」が「プラス」になることを表しています。

したがって、価格が低下(上昇)したとき需要が増加(減少)する「右下がりの需要曲線」では「需要の価格弾力性」が「プラス」になります。

また、「需要の価格弾力性」は「価格の変化率」に対する「需要の変化率」として求められるため、「需要の価格弾力性」が高いほど「価格」が低下(上昇)したときに「需要」が大幅に増加(減少)することを表しています。

なお、需要曲線は「垂直」であるとき「需要の価格弾力性」は「ゼロ」になります。

 

価格が低下(上昇)したとき需要が減少(増加)する「ギッフェン財(右上がりの需要曲線)」では「需要の価格弾力性」が「マイナス」となります。

 

「需要の価格弾力性」の公式を変形して導かれるもうひとつの公式を以下に示します。

変形前の公式と比較すると、価格と需要の変化率を求めなくても、グラフの傾き(需要曲線の傾きの逆数)から「需要の価格弾力性」を求めることができるというメリットがあります。

 

 

需要曲線のグラフから価格の需要弾力性の絶対値を求める方法

公式ではなく、需要曲線のグラフから「価格の需要弾力性の絶対値」を求める方法について説明していきます。

なお、ここで説明する内容は、需要曲線が「右下がりの直線」であることを前提とさせてください。(それ以外の需要曲線では確認していないので)

 

「右下がりの需要曲線」における「点E」の「価格の需要弾力性の絶対値」を求めていきます。

 

右下がりの需要曲線上の点E

 

財の価格が「点E」から「点F」まで上昇すると、需要量は「点F」から「点A」まで減少するため、「点E」は同一の需要曲線上の「点A」まで左上にシフトします。

この場合の「価格の上昇量(⊿P)」「価格(値上げ前)(P)」「需要量の減少量(⊿Q)」「需要量(値上げ前)(Q)」を以下に示します。

 

価格の値上げによる点Eのシフト

 

「需要量の減少量(⊿Q)」である「線CE」と「需要量(値上げ前)(Q)」である「線0D」は長さが同じであるため、「価格の需要弾力性の絶対値」は「線0C ÷ 線AC」として求めることができます。

 

 

これを分かりやすく表現すると以下のようになります。

 

価格の需要弾力性の絶対値(縦軸=価格)

 

数学の法則の名称は忘れましたが「右下がりの需要曲線」が比例的に減少する直線であることを前提としているため「縦軸」の「線0C」と「線AC」の比率は「横軸」の「線BD」と「線0D」においても成り立ちます

 

価格の需要弾力性の絶対値(横軸=需要)

 

需要曲線のグラフから「価格の需要弾力性の絶対値」を求める方法を確認すると、「右下がりの需要曲線」において財の価格が「縦軸の切片(A)」の「中点(A/2)」であり、需要量が「横軸の切片(B)」の「中点(B/2)」である「点E」では「需要の価格弾力性」が必ず「1」になることが分かります。

 

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成25年度 第15問】

 

 

 

[解答群]

ア 点Kにおける⊿x/⊿pは、線分ODの長さを線分ACの長さで除した値と等しい。
イ 点Kにおけるp/xは、線分OCの長さを線分ODの長さで除した値と等しい。
ウ 点Kの需要の価格弾力性は、線分BDの長さを線分ODの長さで除すことで求められる。
エ 点Lの需要の価格弾力性は1より大きい。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「価格の需要弾力性」に関する知識を問う問題です。

 

選択肢(ア)(イ)(ウ)では「需要曲線のグラフから価格の需要弾力性の絶対値を求める方法」により、需要曲線ABの「点K」における「価格の需要弾力性の絶対値」を求めています。

 

(ア) 適切です。

需要曲線ABにおいて価格の値上げに伴う需要の減少により「点K」が「点A」までシフトする場合の「価格の上昇量(⊿p)」は「線分AC」で「需要の減少量(⊿x)」は「線分CK」で表されています。

「需要の減少量(⊿x)」である「線分CK」と横軸上の「線分OD」は長さが同じであるため、「点K」における「需要の減少量(⊿x)/価格の上昇料(⊿p)」は「線分CK/線分AC=線分OD/線分AC」となります。

 

 

したがって、点Kにおける⊿x/⊿pは、線分ODの長さを線分ACの長さで除した値と等しいため、選択肢の内容は適切です

 

(イ) 適切です。

需要曲線ABの「点K」における「価格(p)」は「線分OC」で「需要(x)」は「線分OD」で表されているため、「点K」における「価格(p)/需要(x)」は「線分OC/線分OD」となります。

 

 

したがって、点Kにおけるp/xは、線分OCの長さを線分ODの長さで除した値と等しいため、選択肢の内容は適切です

 

(ウ) 適切です。

選択肢(ア)と選択肢(イ)で求めた「需要の減少量(⊿x)/価格の上昇料(⊿p)」と「価格(p)/需要(x)」を乗じて求められる「点K」における「価格の需要弾力性」は「線分OC/線分AC」となります。

 

 

数学の法則の名称は忘れましたが、線形の需要曲線ABにおいては「縦軸」の「線分OC」と「線分AC」の比率は「横軸」の「線分BD」と「線分OD」においても成り立つため、「点K」における「価格の需要弾力性」は「線分BD/線分OD」として表されます。

 

 

したがって、点Kの需要の価格弾力性は、線分BDの長さを線分ODの長さで除すことで求められるため、選択肢の内容は適切です

 

(エ) 不適切です。

「右下がりの需要曲線」において財の価格が「縦軸の切片(A)」の「中点(A/2)」であり、需要量が「横軸の切片(B)」の「中点(B/2)」である「点E」では「需要の価格弾力性」が必ず「1」になります

 

 

問題で与えられた図において、需要曲線ABの「点L」は「線分OM」と「線分MB」の長さが等しくなるような「線分AB」の中点であるため、「点L」における需要の価格弾力性は「1」となります。

 

したがって、選択肢には「点Lの需要の価格弾力性は1より大きい」と記述されていますが、点Lの需要の価格弾力性は1であるため、選択肢の内容は不適切です

 

最も不適切なものを選ぶため、答えは(エ)です。


 

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