経済学・経済政策 ~H26-9 貨幣理論と金融政策(4)貨幣供給~

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今回は、「経済学・経済政策 ~H26-9 貨幣理論と金融政策(4)貨幣供給~」について説明します。

 

目次

経済学・経済政策 ~平成26年度一次試験問題一覧~

平成26年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

貨幣理論と金融政策 -リンク-

本ブログにて「貨幣理論と金融政策」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

貨幣供給

 

ハイパワードマネー(マネタリーベース)(H)

「ハイパワードマネー(マネタリーベース)」とは、中央銀行である日本銀行が供給する流通貨幣(通貨)の総量のことをいい、「現金(日本銀行券発行高+貨幣流通高)」と「日銀当座預金」の合計として表されます。

 

 

中小企業診断士試験では「ハイパワードマネー」ではなく「マネタリーベース」として出題されていることが多いようですが、公式等で記号に「H」を使って表現するため、本ページでは「ハイパワードマネー(マネタリーベース)」として説明します。

「マネタリーベース」で出題されると、後述する「マネーストック」と混同してしまう恐れがあるため、しっかりと覚える必要があります。

 

日銀当座預金

「日銀当座預金」とは、日本銀行が保有する金融機関等向けの当座預金のことをいい、主に以下の3つの役割を担っています。

 

  • 金融機関が他の金融機関や日本銀行あるいは国と取引を行う場合の決済手段
  • 金融機関が個人や企業に支払う現金通貨の支払準備
  • 準備預金制度の対象となっている金融機関の準備預金

 

準備預金制度

「準備預金制度」とは、金融不安などにより金融機関の資金繰りが悪化した場合に備えることを目的として、金融機関に対して「預かり資産(預金)の一定比率以上の金額を日本銀行に預け入れること」を義務付けた制度のことをいいます。

日本銀行に預け入れなければならない最低比率のことを「法定準備率」といい「預かり資産(預金)× 法定準備率」で求められる日本銀行に預け入れなければならない最低金額のことを「法定準備預金額」といいます。

なお、金融機関は「日銀当座預金」に「法定準備預金額」以上の通貨を預け入れることができ、金融機関が「日銀当座預金」に預け入れている通貨のことを「準備預金(支払準備金)」といいます。

 

金融機関が「法定準備預金額」を超えて「日銀当座預金」に預け入れている金額のことを「超過準備」といい、2016年1月から導入されている「マイナス金利」は、この「超過準備」に対して適用されています

日本銀行としては「日銀当座預金」に通貨を眠らせることなく市場に流通させたいという思惑があることが分かります。

 

ハイパワードマネー(マネタリーベース)(H)

試験においては「日銀当座預金」のことを「準備預金(支払準備金)」として表すことが多いため「ハイパワードマネー(マネタリーベース)」は以下の関係式で表されます。

 

 

なお「預かり資産(預金)」に対する「準備預金(支払準備金)」の比率のことを「預金準備率(支払準備率)」といい、以下の式で表されます。

 

 

マネーストック(マネーサプライ・貨幣供給量)(M)

「マネーストック(マネーサプライ・貨幣供給量)」とは、日本銀行を含む金融部門から経済全体に供給されている流通貨幣(通貨)の総量のことをいい、一般法人、個人、地方公共団体などの通貨保有主体(金融機関や中央政府を除く)が保有する「現金通貨」や「預金通貨」などの通貨量の残高として表されます。

 

 

「マネーストック(マネーサプライ・貨幣供給量)」は、経済における取引により「ハイパワードマネー(マネタリーベース)」の何倍にも膨らんでいくため、「ハイパワードマネー(マネタリーベース)」に「信用乗数(貨幣乗数)」を乗じた以下の関係式で表されます。

 

 

信用乗数(貨幣乗数)(m)

「信用乗数(貨幣乗数)」とは「マネーストック(マネーサプライ・貨幣供給量)」が「ハイパワードマネー(マネタリーベース)」の何倍であるかを示す乗数のことをいい、以下の式で表されます。

 

 

さらに「信用乗数(貨幣乗数)」は上記の式に「M = 現金(C)+預金(D)」と「H = 現金(C)+ 準備預金(支払準備金)(R)」を代入して変形した以下の式として表されます。

 

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成26年度 第9問】

マネーストックあるいはマネタリーベースに含まれるものとして最も適切なものはどれか。

 

ア 日銀当座預金はマネーストックに含まれる。
イ 日銀当座預金はマネタリーベースに含まれる。
ウ 預金取扱機関の保有現金はマネーストックに含まれる。
エ 預金取扱機関への預金はマネタリーベースに含まれる。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

マネーストックとマネタリーベースに関する知識を問う問題です。

 

(ア)不適切です。

「ハイパワードマネー(マネタリーベース)」とは、中央銀行である日本銀行が供給する流通貨幣(通貨)の総量のことをいい、「現金(日本銀行券発行高+貨幣流通高)」と「日銀当座預金」の合計として表されます。

 

したがって、日銀当座預金はマネーストックではなくマネタリーベースに含まれるため、選択肢の内容は不適切です

 

(イ) 適切です。

「ハイパワードマネー(マネタリーベース)」とは、中央銀行である日本銀行が供給する流通貨幣(通貨)の総量のことをいい、「現金(日本銀行券発行高+貨幣流通高)」と「日銀当座預金」の合計として表されます。

 

したがって、日銀当座預金はマネタリーベースに含まれるため、選択肢の内容は適切です

 

(ウ) 不適切です。

「マネーストック(マネーサプライ・貨幣供給量)」とは、日本銀行を含む金融部門から経済全体に供給されている流通貨幣(通貨)の総量のことをいい、一般法人、個人、地方公共団体などの通貨保有主体(金融機関や中央政府を除く)が保有する「現金通貨」や「預金通貨」などの通貨量の残高として表されます。

 

したがって、預金取扱機関の保有現金はマネーストックには含まれないため、選択肢の内容は不適切です

 

(エ) 不適切です。

「マネーストック(マネーサプライ・貨幣供給量)」とは、日本銀行を含む金融部門から経済全体に供給されている流通貨幣(通貨)の総量のことをいい、一般法人、個人、地方公共団体などの通貨保有主体(金融機関や中央政府を除く)が保有する「現金通貨」や「預金通貨」などの通貨量の残高として表されます。

 

したがって、預金取扱機関への預金はマネタリーベースではなくマネーストックに含まれるため、選択肢の内容は不適切です

 

答えは(イ)です。


 

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