経済学・経済政策 ~H24-8-2 貨幣理論と金融政策(7)マネーストック統計~

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今回は、「経済学・経済政策 ~H24-8-2 貨幣理論と金融政策(7)マネーストック統計~」について説明します。

 

目次

経済学・経済政策 ~平成24年度一次試験問題一覧~

平成24年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

貨幣理論と金融政策 -リンク-

本ブログにて「貨幣理論と金融政策」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

マネーストック統計

日本銀行は、一般法人、個人、地方公共団体などの通貨保有主体(金融機関や中央政府を除く)が保有する「現金通貨」や「預金通貨」などの通貨量の残高を「マネーストック統計」として公表しています。

通貨に含まれる金融商品の定義は、国や時代によっても異なりますが、日本では、対象とする「通貨」と「通貨発行主体」の範囲に応じて「M1」「M2」「M3」「広義流動性」の4つの指標に分類しています。

 

M1

「M1」は、最も容易に決済手段として用いることができる「現金通貨」と「預金通貨」で構成されています。

「現金通貨」は「銀行券発行高」と「貨幣流通高」の合計から「金融機関」が保有する「現金」を控除した残高を表しており、「預金通貨」は、全預金取扱機関における「要求払預金」の残高を表しています。

なお、「要求払預金」とは預金者の要求でいつでも払い戻しができる預金のことをいいます。

 

  • M1 = 現金通貨 + 預金通貨
    ( 預金通貨の発行者は、全預金取扱機関 )

 

 

M2

「M2」は、金融商品の範囲が「M3」と同じですが、預金の預け入れ先が国内銀行等に限定されています。

 

  • M2 = 現金通貨 + 預金通貨 + 準通貨 + 譲渡性預金(CD)
    (預金通貨、準通貨、CDの発行者は、国内銀行等

 

 

M3

「M3」は、「M1」に全預金取扱機関の「準通貨」と「譲渡性預金(CD)」を追加した残高を表しています。

「準通貨」の大半を占める「定期性預金」は、解約して「現金通貨」や「預金通貨」に替えれば決済手段になる金融商品であり「預金通貨」に準じた性格を持つという意味で「準通貨」と呼ばれています

 

  • M3 = 現金通貨 + 預金通貨 + 準通貨 + 譲渡性預金(CD)
    (預金通貨、準通貨、譲渡性預金(CD)の発行者は、全預金取扱機関)

 

 

広義流動性

「広義流動性」は、「M3」に何らかの「流動性」を有すると考えられる金融商品を加えた指標です。

「広義流動性」は、相当広範囲の金融商品を含むため、金融商品間の振り替え(例えば、投資信託を解約して預金に振り替える)が生じた場合でも、比較的安定的に推移する特色を有しています。

 

  • 広義流動性 = M3 + 金銭信託 + 投資信託 + 金融債 + 銀行発行普通社債 + 金融機関発行CP + 国債 + 外債

 

 

マネーサプライ統計からマネーストック統計への変更

2008年6月に、統計の名称が「マネーサプライ統計」から「マネーストック統計」に変更され、郵政民営化の開始(2007年10月)や金融商品の多様化といった環境の変化に対応するため、通貨保有主体の変更や指標体系の見直しなどが実施されています。

 

通貨保有主体の範囲

「マネーストック統計」の「通貨保有主体」の範囲として「マネーサプライ統計」に含まれていた「証券会社」「短資会社」「非居住者」が除外されました

 

指標の範囲

M1

「マネーストック統計」の「M1」では、「マネーサプライ統計」において「M1」の対象となっていた「金融機関」に加えて「ゆうちょ銀行」「農業協同組合」「信用組合」などを含む全ての「預金取扱機関」の「預金通貨」が対象になりました

 

M2

「通貨保有主体」の変更に伴い「マネーストック統計」の「M2」から「非居住者」の預金が除外されました。それ以外は「マネーサプライ統計」の「M2+CD」の範囲と同じです。

 

M3

「通貨保有主体」の変更に伴い「マネーストック統計」の「M3」から「非居住者」の預金が除外されました。それ以外は「マネーサプライ統計」の「M3+CD」から「金銭信託」を除いた範囲と同じです。

 

広義流動性

「マネーストック統計」の「広義流動性」では、「投資信託(私募)」と「銀行発行普通社債」が追加され「債券現先・現金担保付債券貸借」が除外されました

 

その他の変更点

「マネーサプライ統計」に含まれていた「ゆうちょ銀行」の保有現金や未払利子相当額を控除したほか、現金通貨残高、金融機関保有小切手・手形残高(預金からの控除分)などの推計方法が見直されました。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成24年度 第8問】

金融政策およびマネーサプライ(マネーストック)に関する下記の設問に答えよ。

 

(設問2)

日本銀行が公表しているマネーサプライ統計は、2008年に、マネーストック統計へと見直しが行われた。この見直しに関する説明として、最も適切なものはどれか。

 

ア 証券会社が保有する現金通貨が、M1に含まれることになった。
イ ゆうちょ銀行への要求払預金が、M1に含まれることになった。
ウ 預金取扱機関が保有する現金通貨が、M1に含まれることになった。
エ 預金取扱機関への定期性預金が、M1に含まれることになった。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答(設問2)

マネーサプライ統計からマネーストック統計への変更に関する知識を問う問題です。

 

2008年6月に、統計の名称が「マネーサプライ統計」から「マネーストック統計」に変更され、郵政民営化の開始(2007年10月)や金融商品の多様化といった環境の変化に対応するため、通貨保有主体の変更や指標体系の見直しなどが実施されています。

 

(ア) 不適切です。

「マネーストック統計」の「通貨保有主体」の範囲として「マネーサプライ統計」に含まれていた「証券会社」「短資会社」「非居住者」が除外されました

 

したがって、証券会社が保有する現金通貨は、M1から除外されたため、選択肢の内容は不適切です

 

(イ) 適切です。

「マネーストック統計」の「M1」では、「マネーサプライ統計」において「M1」の対象となっていた「金融機関」に加えて「ゆうちょ銀行」「農業協同組合」「信用組合」などを含む全ての「預金取扱機関」の「預金通貨」が対象になりました

「M1」は、最も容易に決済手段として用いることができる「現金通貨」と「預金通貨」で構成されており、「預金通貨」は、全預金取扱機関における「要求払預金」の残高を表しています。

 

したがって、ゆうちょ銀行への要求払預金が、M1に含まれることになったため、選択肢の内容は適切です

 

(ウ) 不適切です。

「マネーストック統計」の「M1」では、「マネーサプライ統計」において「M1」の対象となっていた「金融機関」に加えて「ゆうちょ銀行」「農業協同組合」「信用組合」などを含む全ての「預金取扱機関」の「預金通貨」が対象になりました

「M1」は、最も容易に決済手段として用いることができる「現金通貨」と「預金通貨」で構成されており、「現金通貨」は「銀行券発行高」と「貨幣流通高」の合計から「金融機関」が保有する「現金」を控除した残高を表しています。

 

したがって、預金取扱機関が保有する預金通貨はM1に含まれることになりましたが、預金取扱機関が保有する現金通貨はM1に含まれていないため、選択肢の内容は不適切です

 

(エ) 不適切です。

「定期性預金」は、解約して「現金通貨」や「預金通貨」に替えれば決済手段になる金融商品であり「預金通貨」に準じた性格を持つという意味で「準通貨」と呼ばれています

「M1」は、最も容易に決済手段として用いることができる「現金通貨」と「預金通貨」で構成されており、その範囲に「準通貨」は含まれていません

 

 

したがって、預金取扱機関への定期性預金は、M1に含まれていないため、選択肢の内容は不適切です

 

答えは(イ)です。


 

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