経済学・経済政策 ~H29-10 資源配分機能(11)余剰分析(消費者余剰)~

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今回は、「経済学・経済政策 ~H29-10 資源配分機能(11)余剰分析(消費者余剰)~」について説明します。

 

目次

経済学・経済政策 ~平成29年度一次試験問題一覧~

平成29年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

余剰分析(消費者余剰・生産者余剰・政府余剰) -リンク-

本ブログにて「余剰分析(消費者余剰・生産者余剰・政府余剰)」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

余剰分析

「余剰分析」とは、財市場において資源配分の効率性を分析する手法のことをいいます。

「余剰」とは、財市場の取引により得られる「利益」のことを表しており、「余剰分析」では「消費者余剰」と「生産者余剰」と「政府余剰」を重ね合わせた「社会的総余剰(総余剰)」に基づき、資源配分が効率的になっているかを確認していきます。

 

例:社会的総余剰(消費者余剰+生産者余剰)

 

消費者余剰

「消費者余剰」は、財市場で取引することにより消費者(需要者)が得られる「利益」のことをいいます。

「需要曲線」は、消費者が財を消費するために支払ってもよいと考えている「価格」と「需要量」の組み合わせを表しているため「消費者余剰」は「需要曲線」と「価格」の差額を表す範囲として求めることができます

 

  • 消費者余剰 = 需要曲線(右下がりの曲線)- 価格(水平の曲線)

 

生産者余剰

「生産者余剰」は、財市場で取引することにより生産者(供給者)が得られる「利益」のことをいいます。

「供給曲線」は、生産者が財を生産するための限界費用(生産量を1単位増加すると追加で発生する費用)の曲線を表しているため「生産者余剰」は「価格」と「供給曲線」の差額を表す範囲として求めることができます

 

  • 生産者余剰 = 価格(水平の曲線)- 供給曲線(右上がりの曲線)

 

ただし、生産者が「需要曲線」と「供給曲線」の「交点E」における「生産量(XE)」を超えて生産してしまった場合、生産者が財を生産するための限界費用である「供給曲線」の方が「価格」よりも高くなってしまうため、生産すればするほど損失が多くなってしまいます

 

 

政府余剰

「政府余剰」とは、財市場に「政府が介入する場合」に政府が得られる「利益」のことをいいます。

 

余剰分析(政府が介入する場合)

「政府が介入する場合」の余剰分析についてについて説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

 

社会的総余剰(総余剰)

「社会的総余剰(総余剰)」とは、「消費者余剰」と「生産者余剰」と「政府余剰」を重ね合わせた「余剰」の合計のことをいいます

今回は「政府余剰」について説明していないため、「消費者余剰」と「生産者余剰」を重ね合わせた「社会的総余剰(総余剰)」のイメージ図を以下に示します。

以下の図においては「三角形ABE」が「社会的総余剰(総余剰)」を表しています。

 

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成29年度 第10問】

価格と消費者余剰について考える。下図に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

 

[解答群]

ア 価格がP0のとき、消費者がQ0を選択する場合の消費者余剰は、消費者の支払意思額よりも大きい。

イ 価格がP1のとき、消費者がQ1を選択する場合の消費者余剰は、Q0を選択する場合の消費者余剰よりも大きい。

ウ 価格がP2のとき、消費者がQ1を選択する場合の消費者余剰は、Q2を選択する場合の消費者余剰よりも大きい。

エ 価格が0のとき、実際の支払額は0なので、消費者がQ0やQ1を選択しても、消費者余剰は得られない。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

消費者余剰に関する知識を問う問題です。

 

「消費者余剰」は、財市場で取引することにより消費者(需要者)が得られる「利益」のことをいいます。

「需要曲線」は、消費者が財を消費するために支払ってもよいと考えている「価格」と「需要量」の組み合わせを表しているため「消費者余剰」は「需要曲線」と「価格」の差額を表す範囲として求めることができます

 

  • 消費者余剰 = 需要曲線(右下がりの曲線)- 価格(水平の曲線)

 

(ア) 不適切です。

消費者が財を消費するために支払ってもよいと考えている「価格」と「需要量」の組み合わせを表している「需要曲線」と「実際の支払額(価格)」との差額を表す範囲が「消費者余剰」であるため、「価格(P0)」で「数量(Q0)」を選択する場合の「消費者余剰」は以下の通りとなります。

 

 

消費者の支払意思額よりも低い「価格(P0)」で財を消費できているため「消費者余剰」が得られています。

つまり、選択肢に記述されている「消費者余剰の大きさが消費者の支払意思額よりも大きいか否か」という内容は明らかに間違っています。

 

したがって、価格がP0のとき、消費者がQ0を選択する場合の消費者余剰の大きさは、消費者の支払意思額と比べられるものではないため、選択肢の内容は不適切です

 

(イ) 適切です。

消費者が財を消費するために支払ってもよいと考えている「価格」と「需要量」の組み合わせを表している「需要曲線」と「実際の支払額(価格)」との差額を表す範囲が「消費者余剰」であるため、「価格(P1)」で「数量(Q1)」を選択する場合と「数量(Q0)」を選択する場合の「消費者余剰」は以下の通りとなります。

 

 

「価格(P1)」においては「数量(Q1)」を選択する場合の「消費者余剰」の方が「数量(Q0)」を選択する場合の「消費者余剰」よりも大きくなります。

 

したがって、価格がP1のとき、消費者がQ1を選択する場合の消費者余剰は、Q0を選択する場合の消費者余剰よりも大きいため、選択肢の内容は適切です

 

(ウ) 不適切です。

消費者が財を消費するために支払ってもよいと考えている「価格」と「需要量」の組み合わせを表している「需要曲線」と「実際の支払額(価格)」との差額を表す範囲が「消費者余剰」であるため、「価格(P2)」で「数量(Q1)」を選択する場合と「数量(Q2)」を選択する場合の「消費者余剰」は以下の通りとなります。

 

 

「価格(P2)」においては「数量(Q1)」を選択する場合の「消費者余剰」の方が「数量(Q2)」を選択する場合の「消費者余剰」よりも小さくなります。

 

したがって、価格がP2のとき、消費者がQ1を選択する場合の消費者余剰は、Q2を選択する場合の消費者余剰よりも大きいのではなく小さいため、選択肢の内容は不適切です

 

(エ) 不適切です。

消費者が財を消費するために支払ってもよいと考えている「価格」と「需要量」の組み合わせを表している「需要曲線」と「実際の支払額(価格)」との差額を表す範囲が「消費者余剰」であるため、「価格(0)」で「数量(Q0)」を選択する場合と「数量(Q1)」を選択する場合の消費者余剰は以下の通りとなります。

 

 

「価格(0)」においては「数量(Q0)」を選択する場合でも「数量(Q1)」を選択する場合でも「消費者余剰」は得られます。

 

したがって、価格が0のとき、実際の支払額は0なので、消費者がQ0やQ1を選択すると消費者余剰は得られるため、選択肢の内容は不適切です

 

答えは(イ)です。


 

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