今回は、「経済学・経済政策 ~R5-8-1 IS-LM曲線(14)IS曲線~」について説明します。
目次
経済学・経済政策 ~令和5年度一次試験問題一覧~
令和5年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
IS-LM曲線 -リンク-
本ブログにて「IS-LM曲線」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- IS-LM曲線のまとめ
- R3-6-1 IS-LM曲線(12)垂直のLM曲線
- R3-6-2 IS-LM曲線(13)財政政策と金融政策の効果
- R2-6-1 IS-LM曲線(1)垂直のIS曲線
- R2-6-2 IS-LM曲線(2)財政政策と金融政策の効果
- R1-8-1 IS-LM曲線(3)水平なLM曲線
- R1-8-2 IS-LM曲線(4)財政政策と金融政策の効果
- H29-9-1 IS-LM曲線(5)超過需要と超過供給
- H29-9-2 IS-LM曲線(6)公債の資産効果
- H28-11-1 IS-LM曲線(7)IS曲線とLM曲線の傾き
- H28-11-2 IS-LM曲線(8)財政政策の効果
- H27-6 IS-LM曲線(9)財政政策の効果
- H26-5 IS-LM曲線(10)財政政策の効果
- H24-9 IS-LM曲線(11)IS曲線とLM曲線の形状とシフト
IS曲線とは
「IS曲線」とは、縦軸に「利子率(r)」を、横軸に「GDP(Y)」を取ったグラフにおいて「財市場」が均衡する点の組み合わせを表す曲線のことをいいます。
「財市場」において「利子率(r)」が低下すると「投資(I)」が増加して「均衡GDP(YE)」が増加するため「IS曲線」は右下がりの曲線として表されます。
なお、「IS曲線」の「I」は「Investment(投資)」を、「S」は「Savings(貯蓄)」を表しています。
IS曲線
IS曲線の描写
「IS曲線」は、縦軸に「利子率(r)」を、横軸に「投資(I)」を取った「投資曲線」と、縦軸に「総供給(YS)、総需要(YD)」を、横軸に「GDP(Y)」を取った「45度線図」を用いて、「利子率(r)」が変化したときに「GDP(Y)」がどのように変化するのかを確認することで描写することができます。
結論として、「利子率(r)」が低下すると「均衡GDP(YE)」が増加するため「IS曲線」は右下がりの曲線として表されます。
「利子率(r)」が低下した場合に「均衡GDP(YE)」が変化していく流れを以下に示します。
- 「利子率(r)」が「ra」から「rb」に低下する
- 「利子率(r)」が低下したため「投資(I)」が「Ia」から「Ib」に増加する
- 「投資(I)」が増加したため「 Y=C+I 」で表される「総需要(YD)」が「Ya」から「Yb」に増加する
- 「総需要(YD)」が増加したため、企業が増産して「総供給(YS)」も「Ya」から「Yb」に増加して「財市場」が均衡する。
IS曲線の描写
投資の利子弾力性の大きさによるIS曲線の傾きの変化
「IS曲線」の傾きは「投資の利子弾力性」の大きさにより変化します。
「投資の利子弾力性」とは「利子率(r)」が変動したときに「投資(I)」がどれだけ反応するかを表しています。
「投資の利子弾力性」が大きい場合は「利子率(r)」が少し低下するだけで「投資(I)」が大きく増加するため「総需要(YD)」が一気に増加して「均衡GDP(YE)」も大きく増加します。
逆に「投資の利子弾力性」が小さい場合は「利子率(r)」が大きく低下しても「投資(I)」は少ししか増加しないため「総需要(YD)」が少ししか増加せず「均衡GDP(YE)」も少ししか増加しません。
そのため、「投資の利子弾力性」が大きい場合は「IS曲線」の傾きは緩やかになり、「投資の利子弾力性」が小さい場合は「IS曲線」の傾きは急になります。
投資の利子弾力性が無限大の場合
極端な例として、「投資の利子弾力性」が無限大の場合は「利子率(r)」が少しでも低下すると「投資(I)」は一気に増加するため「総需要(YD)」が一気に増加して「均衡GDP(YE)」も一気に増加します。その結果、「IS曲線」は、水平の曲線として表されます。
投資の利子弾力性が無限大の場合
投資の利子弾力性がゼロの場合(投資が利子非弾力性な場合)
逆に、「投資の利子弾力性」がゼロの場合(投資が利子非弾力性な場合)は「利子率(r)」が低下しても「投資(I)」は一切増加しなくなるため「総需要(YD)」が一切増加せず「均衡GDP(YE)」も一切増加しません。その結果、「IS曲線」は、垂直の曲線として表されます。
投資の利子弾力性がゼロの場合
IS曲線の傾きとY軸の切片
具体的な関数を用いて「IS曲線」の「傾き」と「Y軸の切片」を考えていきます。
「IS曲線」は、縦軸に「利子率(r)」を、横軸に「GDP(Y)」を取ったグラフであるため、以下の関数で表すことができます。なお、「IS曲線」は右下がりの曲線であるため「傾き」はマイナスです。
- r = -●Y + ■(傾き:●、Y軸の切片:■)
例として「閉鎖経済/開放経済」と「税金を考慮しない場合/税金(定額税)を考慮した場合」を組み合わせた4パターンについて「IS曲線」を表す関数を求め、その「傾き」と「Y軸の切片」の関係を確認していきます。
なお、以下に示す内容を暗記するのではなく、試験問題において「総需要曲線」「消費(C)」「投資(I)」などの関数が与えられた場合は、試験問題で与えられた関数から「IS曲線」を表す関数を求め、「傾き」と「Y軸の切片」の関係を確認してください。
閉鎖経済(税金を考慮しない場合)
「閉鎖経済」において「総需要曲線(YD)」と「総供給曲線(YS)」を表す関数は以下の通りです。(C:消費、I:投資、G:政府支出、Y:GDP)
- YD = C + I + G
- YS = Y
「IS曲線」は「財市場」が均衡する点の組み合わせを表しているため「YD = YS」の関係が成立します。
- Y = C + I + G
「消費(C)」「投資(I)」「政府支出(G)」が以下の関数で与えられている場合
- C = a + bY(a:基礎消費、b:限界消費性向、Y:GDP)
- I = I0 - I1r(I0:独立投資、I1:投資の利子弾力性、r:利子率)
- G = G0(G0:政府支出)
縦軸に「利子率(r)」を、横軸に「GDP(Y)」を取ったグラフである「IS曲線」を表す関数は以下の通りとなります。
- Y = a + bY + I0 - I1r + G0
- I1r = -( 1 - b )Y +( a + I0 + G0 )
- r = -( 1 - b )÷ I1 × Y +( a + I0 + G0 )÷ I1
「IS曲線」を表す関数から、財市場の変動要素による「傾き」と「Y軸の切片」の変化を整理すると以下の通りとなります。
IS曲線の傾き
- 「限界消費性向(b)」の値が大きくなると傾きが緩やかになる
- 「投資の利子弾力性(I1)」の値が大きくなると傾きが緩やかになる
IS曲線のY軸の切片
- 「基礎消費(a)」の値が大きくなるとY軸の切片が大きくなる
- 「独立投資(I0)」の値が大きくなるとY軸の切片が大きくなる
- 「政府支出(G0)」の値が大きくなるとY軸の切片が大きくなる
- 「投資の利子弾力性(I1)」の値が大きくなるとY軸の切片が小さくなる
閉鎖経済(税金(定額税)を考慮する場合)
「閉鎖経済」において「総需要曲線(YD)」と「総供給曲線(YS)」を表す関数は以下の通りです。(C:消費、I:投資、G:政府支出、Y:GDP)
- YD = C + I + G
- YS = Y
「IS曲線」は「財市場」が均衡する点の組み合わせを表しているため「YD = YS」の関係が成立します。
- Y = C + I + G
「消費(C)」「投資(I)」「政府支出(G)」が以下の関数で与えられている場合
- C = a + b( Y - T0 )(a:基礎消費、b:限界消費性向、Y:GDP、T0:定額税)
- I = I0 - I1r(I0:独立投資、I1:投資の利子弾力性、r:利子率)
- G = G0(G0:政府支出)
縦軸に「利子率(r)」を、横軸に「GDP(Y)」を取ったグラフである「IS曲線」を表す関数は以下の通りとなります。
- Y = a + b( Y - T0 )+ I0 - I1r + G0
- I1r = -( 1 - b )Y +( a - bT0 + I0 + G0 )
- r = -( 1 - b )÷ I1 × Y +( a - bT0 + I0 + G0 )÷ I1
「IS曲線」を表す関数から、財市場の変動要素による「傾き」と「Y軸の切片」の変化を整理すると以下の通りとなります。
IS曲線の傾き
- 「限界消費性向(b)」の値が大きくなると傾きが緩やかになる
- 「投資の利子弾力性(I1)」の値が大きくなると傾きが緩やかになる
IS曲線のY軸の切片
- 「基礎消費(a)」の値が大きくなるとY軸の切片が大きくなる
- 「限界消費性向(b)」の値が大きくなるとY軸の切片が小さくなる
- 「定額税(T0)」の値が大きくなるとY軸の切片が小さくなる
- 「独立投資(I0)」の値が大きくなるとY軸の切片が大きくなる
- 「政府支出(G0)」の値が大きくなるとY軸の切片が大きくなる
- 「投資の利子弾力性(I1)」の値が大きくなるとY軸の切片が小さくなる
開放経済(税金を考慮しない場合)
「開放経済」において「総需要曲線(YD)」と「総供給曲線(YS)」を表す関数は以下の通りです。(C:消費、I:投資、G:政府支出、EX:輸出、IM:輸入、Y:GDP)
- YD = C + I + G + EX - IM
- YS = Y
「IS曲線」は「財市場」が均衡する点の組み合わせを表しているため「YD = YS」の関係が成立します。
- Y = C + I + G + EX - IM
「消費(C)」「投資(I)」「政府支出(G)」「輸出(EX)」「輸入(IM)」が以下の関数で与えられている場合
- C = a + bY(a:基礎消費、b:限界消費性向、Y:GDP)
- I = I0 - I1r(I0:独立投資、I1:投資の利子弾力性、r:利子率)
- G = G0(G0:政府支出)
- EX = EX0(EX0:輸出)
- IM = mY(m:限界輸入性向、Y:GDP)
縦軸に「利子率(r)」を、横軸に「GDP(Y)」を取ったグラフである「IS曲線」を表す関数は以下の通りとなります。
- Y = a + bY + I0 - I1r + G0 + EX0 - mY
- I1r = -( 1 - b + m )Y +( a + I0 + G0 + EX0 )
- r = -( 1 - b + m )÷ I1 × Y +( a + I0 + G0 + EX0 )÷ I1
「IS曲線」を表す関数から、財市場の変動要素による「傾き」と「Y軸の切片」の変化を整理すると以下の通りとなります。
IS曲線の傾き
- 「限界消費性向(b)」の値が大きくなると傾きが緩やかになる
- 「投資の利子弾力性(I1)」の値が大きくなると傾きが緩やかになる
- 「限界輸入性向(m)」の値が大きくなると傾きが急になる
IS曲線のY軸の切片
- 「基礎消費(a)」の値が大きくなるとY軸の切片が大きくなる
- 「独立投資(I0)」の値が大きくなるとY軸の切片が大きくなる
- 「政府支出(G0)」の値が大きくなるとY軸の切片が大きくなる
- 「輸出(EX0)」の値が大きくなるとY軸の切片が大きくなる
- 「投資の利子弾力性(I1)」の値が大きくなるとY軸の切片が小さくなる
開放経済(税金(定額税)を考慮する場合)
「開放経済」において「総需要曲線(YD)」と「総供給曲線(YS)」を表す関数は以下の通りです。(C:消費、I:投資、G:政府支出、EX:輸出、IM:輸入、Y:GDP)
- YD = C + I + G + EX - IM
- YS = Y
「IS曲線」は「財市場」が均衡する点の組み合わせを表しているため「YD = YS」の関係が成立します。
- Y = C + I + G + EX - IM
「消費(C)」「投資(I)」「政府支出(G)」「輸出(EX)」「輸入(IM)」が以下の関数で与えられている場合
- C = a + b( Y - T0 )(a:基礎消費、b:限界消費性向、Y:GDP、T0:定額税)
- I = I0 - I1r(I0:独立投資、I1:投資の利子弾力性、r:利子率)
- G = G0(G0:政府支出)
- EX = EX0(EX0:輸出)
- IM = mY(m:限界輸入性向、Y:GDP)
縦軸に「利子率(r)」を、横軸に「GDP(Y)」を取ったグラフである「IS曲線」を表す関数は以下の通りとなります。
- Y = a + b( Y - T0 )+ I0 - I1r + G0 + EX0 - mY
- I1r = -( 1 - b + m )Y +( a - bT0 + I0 + G0 + EX0 )
- r = -( 1 - b + m )÷ I1 × Y +( a - bT0 + I0 + G0 + EX0 )÷ I1
「IS曲線」を表す関数から、財市場の変動要素による「傾き」と「Y軸の切片」の変化を整理すると以下の通りとなります。
IS曲線の傾き
- 「限界消費性向(b)」の値が大きくなると傾きが緩やかになる
- 「投資の利子弾力性(I1)」の値が大きくなると傾きが緩やかになる
- 「限界輸入性向(m)」の値が大きくなると傾きが急になる
IS曲線のY軸の切片
- 「基礎消費(a)」の値が大きくなるとY軸の切片が大きくなる
- 「限界消費性向(b)」の値が大きくなるとY軸の切片が小さくなる
- 「定額税(T0)」の値が大きくなるとY軸の切片が小さくなる
- 「独立投資(I0)」の値が大きくなるとY軸の切片が大きくなる
- 「政府支出(G0)」の値が大きくなるとY軸の切片が大きくなる
- 「輸出(EX0)」の値が大きくなるとY軸の切片が大きくなる
- 「投資の利子弾力性(I1)」の値が大きくなるとY軸の切片が小さくなる
IS曲線の描写(簡便法)
「投資曲線」と「45度線図」を用いて「IS曲線」を描写していく方法ではなく、縦軸に「利子率(r)」を、横軸に「GDP(Y)」を取ったグラフにおいて「IS曲線」を簡易に描写する方法について説明します。
「IS曲線」を簡易に描写する方法と言いながらも、「財政政策」などにより「IS曲線」がどのように変化するかを考える場合は、こちらの考え方を理解しておかないと付いていけなくなるため、非常に重要です。
利子率が低下する場合
縦軸に「利子率(r)」を、横軸に「GDP(Y)」を取ったグラフにおいて「利子率(r)」が低下すると「均衡GDP(YE)」がどのように変化していくかを考えていきます。
- 「利子率(r)」が「ra」から「rb」に低下するため「ポイント(●)」はグラフの下側に移動する
- 「利子率(r)」の低下により「投資(I)」が増加するため「総需要(YD)」が増加して「財市場」が超過需要の状態(YD > YS)となる
- 「財市場」が超過需要の状態(YD > YS)になると企業が増産して「総供給(YS)」を増やすため「GDP(Y)」が高くなり「ポイント(●)」はグラフの右側に移動する
- 需要と供給が一致するところ(YD=YS)まで「GDP(Y)」が増加して「財市場」が均衡する
したがって、「利子率(r)」の低下により「ポイント(●)」はグラフの右下に移動するため「IS曲線」は右下がりの曲線として表されます。
利子率が低下する場合
利子率が上昇する場合
縦軸に「利子率(r)」を、横軸に「GDP(Y)」を取ったグラフにおいて「利子率(r)」が上昇すると「均衡GDP(YE)」がどのように変化していくかを考えていきます。
- 「利子率(r)」が「rb」から「ra」に上昇するため「ポイント(●)」はグラフの上側に移動する
- 「利子率(r)」の上昇により「投資(I)」が減少するため「総需要(YD)」が減少して「財市場」が超過供給の状態(YD < YS)となる
- 「財市場」が超過供給の状態(YD < YS)になると企業が減産して「総供給(YS)」を減らすため「GDP(Y)」が低くなり「ポイント(●)」はグラフの左側に移動する
- 需要と供給が一致するところ(YD=YS)まで「GDP(Y)」が減少して「財市場」が均衡する
したがって、「利子率(r)」の上昇により「ポイント(●)」はグラフの左上に移動するため「IS曲線」は左上がり(右下がり)の曲線として表されます。
利子率が上昇する場合
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【令和5年度 第8問】
下図は、IS曲線とLM曲線を描いている。この図に基づいて、下記の設問に答えよ。
(設問1)
IS曲線に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 貨幣需要の利子感応度が大きいほど、IS曲線の傾きはより緩やかになる。
イ 限界消費性向が大きいほど、IS曲線の傾きはより緩やかになる。
ウ 政府支出の増加は、IS曲線を左方にシフトさせる。
エ 投資の利子感応度が小さいほど、IS曲線の傾きはより緩やかになる。
オ 独立消費の減少は、IS曲線を右方にシフトさせる。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答(設問1)
IS曲線に関する知識を問う問題です。
「IS曲線」とは、縦軸に「利子率(r)」を、横軸に「GDP(Y)」を取ったグラフにおいて「財市場」が均衡する点の組み合わせを表す曲線のことをいいます。
「財市場」において「利子率(r)」が低下すると「投資(I)」が増加して「均衡GDP(YE)」が増加するため「IS曲線」は右下がりの曲線として表されます。
なお、「IS曲線」の「I」は「Investment(投資)」を、「S」は「Savings(貯蓄)」を表しています。
IS曲線
(ア)不適切です。
「IS曲線」は以下の関数により表すことができます。(閉鎖経済(税金を考慮しない場合))
「IS曲線」を表す関数で確認すると、「貨幣需要の利子感応度」が変動しても「財市場」の均衡を表す「IS曲線」の「傾き」は変化しないことが分かります。
したがって、貨幣需要の利子感応度が大きいほど、IS曲線の傾きはより緩やかになるのではなく、貨幣需要の利子感応度が大きくなっても、IS曲線の傾きは変化しないため、選択肢の内容は不適切です。
(イ)適切です。
「IS曲線」は以下の関数により表すことができます。(閉鎖経済(税金を考慮しない場合))
「IS曲線」を表す関数で確認すると、「限界消費性向(b)」の変動による「傾き」の変化は以下の通りとなります。
IS曲線の傾き
- 「限界消費性向(b)」の値が大きくなると傾きが緩やかになる
したがって、限界消費性向が大きいほど、IS曲線の傾きはより緩やかになるため、選択肢の内容は適切です。
(ウ)不適切です。
「IS曲線」は以下の関数により表すことができます。(閉鎖経済(税金を考慮しない場合))
「IS曲線」を表す関数で確認すると、「政府支出(G0)」の変動による「Y軸の切片」の変化は以下の通りとなります。
IS曲線のY軸の切片
- 「政府支出(G0)」の値が大きくなるとY軸の切片が大きくなる
「政府支出(G0)」が増加するとY軸の切片が大きくなるため、実際には「IS曲線」が上方にシフトしますが、見た目は右方にシフトしたように見えるため、そのように表現します。
政府支出の増加に伴うIS曲線の変化
したがって、政府支出の増加は、IS曲線を左方にシフトさせるのではなく、IS曲線を右方にシフトさせるため、選択肢の内容は不適切です。
(エ)不適切です。
「IS曲線」は以下の関数により表すことができます。(閉鎖経済(税金を考慮しない場合))
「IS曲線」を表す関数で確認すると、「投資の利子感応度(投資の利子弾力性(I1))」の変動による「傾き」の変化は以下の通りとなります。
IS曲線の傾き
- 「投資の利子感応度(投資の利子弾力性(I1))」の値が大きくなると傾きが緩やかになる
投資の利子弾力性とIS曲線の傾き
したがって、投資の利子感応度が小さいほど、IS曲線の傾きはより緩やかになるのではなく、IS曲線の傾きはより急になるため、選択肢の内容は不適切です。
(オ)不適切です。
「IS曲線」は以下の関数により表すことができます。(閉鎖経済(税金を考慮しない場合))
「IS曲線」を表す関数で確認すると、「独立消費(基礎消費(a))」の変動による「Y軸の切片」の変化は以下の通りとなります。
IS曲線のY軸の切片
- 「独立消費(基礎消費(a))」の値が大きくなるとY軸の切片が大きくなる
「独立消費(基礎消費(a))」が減少するとY軸の切片が小さくなるため、実際には「IS曲線」が下方にシフトしますが、見た目は左方にシフトしたように見えるため、そのように表現します。
独立消費の減少に伴うIS曲線の変化
したがって、独立消費の減少は、IS曲線を右方にシフトさせるのではなく、IS曲線を左方にシフトさせるため、選択肢の内容は不適切です。
答えは(イ)です。
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