今回は、「運営管理 ~H27-17 物の流れの管理-分析手法(1)流動数分析~」について説明します。
目次
運営管理 ~平成27年度一次試験問題一覧~
平成27年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
製品工程分析・運搬分析・流動数分析 -リンク-
本ブログにて「製品工程分析」「運搬分析」「流動数分析」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- 製品工程分析・運搬分析・流動数分析のまとめ
- 製品工程分析
- R4-13 物の流れの管理-分析手法(8)製品工程分析
- R2-7 物の流れの管理-分析手法(6)工程分析
- R1-13 物の流れの管理-分析手法(5)工程分析
- H30-10 物の流れの管理-分析手法(4)工程分析
- H29-6 物の流れの管理-分析手法(2)工程分析
- 運搬分析
- H29-13 物の流れの管理-分析手法(3)運搬活性分析
- 流動数分析
- R4-14 物の流れの管理-分析手法(9)流動数分析
- R3-14 物の流れの管理-分析手法(7)流動数分析
- H29-15 生産の合理化・改善(4)ECRSの原則
- H27-17 物の流れの管理-分析手法(1)流動数分析
流動数分析
「流動数分析」とは、横軸に「時間」を、縦軸に「累計数量」を描いた「流動数曲線」を用いて物の流れの状況などを分析することをいいます。
「流動数曲線」は「累計流入曲線」と「累計流出曲線」の2つの曲線で構成され、「累計流入曲線」の方が「累計流出曲線」と同じか上方に描画されます。
「流動数分析」は、「見込生産における余剰在庫の分析」「受注生産における受注から納品までの期間の分析」「生産工程における仕掛品の在庫量や滞留時間の分析」「製品の販売から代金の回収までの期間の分析」などに用いられます。
流動数分析(見込生産/受注生産)
生産工程における仕掛品の在庫量や滞留時間の分析
「流動数分析」を用いて、生産工程における仕掛品の在庫量や滞留時間を分析する場合、「累計流入曲線」においては縦軸に前工程から受け入れた材料や仕掛品の累計数量を、「累計流出曲線」においては縦軸に次工程に引き渡した仕掛品や製品の累計数量を描画します。
生産工程における仕掛品の在庫量や滞留時間の分析
「累計流入曲線」と「累計流出曲線」の縦軸(累計数量)の差分は、自工程に停滞している仕掛品の在庫量を表しており、横軸(時間)の差分は、前工程から仕掛品を受け入れてから、次工程に引き渡すまでの所要時間を表しています。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成27年度 第17問】
先入先出法で製品の入出庫を行う倉庫において、始業(8時)から終業(17時)までの期間で流動数分析を実施した。下図は、この観測期間内での入出庫の結果を流動数グラフにまとめたものである。この流動数グラフの分析結果として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
[解答群]
ア 最大在庫量は、6個である。
イ 終業直後の倉庫内在庫量は、3個である。
ウ 製品の平均在庫量は、3(個/時間)である。
エ 製品の平均滞留時間は、4(時間/個)である。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
「流動数分析」に関する知識を問う問題です。
「流動数分析」とは、横軸に「時間」を、縦軸に「累計数量」を描いた「流動数曲線」を用いて物の流れの状況などを分析することをいいます。
「流動数曲線」は「累計流入曲線」と「累計流出曲線」の2つの曲線で構成され、「累計流入曲線」の方が「累計流出曲線」と同じか上方に描画されます。
「流動数分析」は、「見込生産における余剰在庫の分析」「受注生産における受注から納品までの期間の分析」「生産工程における仕掛品の在庫量や滞留時間の分析」「製品の販売から代金の回収までの期間の分析」などに用いられます。
今回の問題では、先入先出法で管理されている製品の入出庫の状況を把握するために行った「流動数分析」の結果が与えられていますが、「累計流入曲線(入庫線)」と「累計流出曲線(出庫線)」の横軸(時刻)の差分は、製品が入庫されてから出庫されるまでの滞留時間を表しており、縦軸(数量)の差分は、倉庫内にある製品の在庫量を表しています。
(ア) 不適切です。
問題で与えられた流動数グラフにおいて、倉庫内にある製品の在庫量は「累計流入曲線(入庫線)」と「累計流出曲線(出庫線)」の縦軸(数量)の差分として表されています。
それぞれの時間帯における製品の在庫量は以下の通りであり、13時~14時に在庫量が最大となり、その数量は5個となっています。
時間帯 | 在庫量 |
8時~9時 | 3個 |
9時~10時 | 3個 |
10時~11時 | 2個 |
11時~12時 | 3個 |
12時~13時 | 4個 |
13時~14時 | 5個 |
14時~15時 | 2個 |
15時~16時 | 2個 |
16時~17時 | 3個 |
最大値 | 5個 |
平均値 | 3.0個 |
したがって、最大在庫量は6個ではなく5個であるため、選択肢の内容は不適切です。
(イ) 不適切です。
問題で与えられた流動数グラフにおいて、倉庫内にある製品の在庫量は「累計流入曲線(入庫線)」と「累計流出曲線(出庫線)」の縦軸(数量)の差分として表されています。
それぞれの時刻における製品の在庫量は以下の通りであり、終業直後である17時の在庫量は0個となっています。
時刻 | 在庫量 |
8時 | 3個 |
9時 | 3個 |
10時 | 2個 |
11時 | 3個 |
12時 | 4個 |
13時 | 5個 |
14時 | 2個 |
15時 | 2個 |
16時 | 3個 |
17時 | 0個 |
最大値 | 5個 |
したがって、終業直後の倉庫内在庫量は3個ではなく0個であるため、選択肢の内容は不適切です。
(ウ) 適切です。
問題で与えられた流動数グラフにおいて、倉庫内にある製品の在庫量は「累計流入曲線(入庫線)」と「累計流出曲線(出庫線)」の縦軸(数量)の差分として表されています。
それぞれの時間帯における製品の在庫量は以下の通りであり、在庫量の平均は3.0個/時間となっています。
時間帯 | 在庫量 |
8時~9時 | 3個 |
9時~10時 | 3個 |
10時~11時 | 2個 |
11時~12時 | 3個 |
12時~13時 | 4個 |
13時~14時 | 5個 |
14時~15時 | 2個 |
15時~16時 | 2個 |
16時~17時 | 3個 |
最大値 | 5個 |
平均値 | 3.0個 |
したがって、製品の平均在庫量は3(個/時間)であるため、選択肢の内容は適切です。
(エ) 不適切です。
問題で与えられた流動数グラフにおいて、製品が入庫されてから出庫されるまでの滞留時間は「累計流入曲線(入庫線)」と「累計流出曲線(出庫線)」の横軸(時刻)の差分として表されています。
それぞれの製品の滞留時間は以下の通りであり、在庫量の平均は2.7時間/個となっています。
対象製品 | 滞留時間 |
1個目 | 2時間 |
2個目 | 4時間 |
3個目 | 6時間 |
4個目 | 3時間 |
5個目 | 2時間 |
6個目 | 3時間 |
7個目 | 3時間 |
8個目 | 2時間 |
9個目 | 1時間 |
10個目 | 1時間 |
最大値 | 6時間 |
平均値 | 2.7時間 |
したがって、製品の平均滞留時間は4(時間/個)ではなく2.7(時間/個)であるため、選択肢の内容は不適切です。
答えは(ウ)です。
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