今回は、「財務・会計 ~H24-12 資金管理(1)資金繰り表~」について説明します。
目次
財務・会計 ~平成24年度一次試験問題一覧~
平成24年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
資金管理 -リンク-
本ブログにて「資金管理」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
資金管理
企業が経営活動を継続するにあたって、支払遅延や支払不能といった最悪の事態を回避することは最重要の課題であり、そのためにも「資金管理」は非常に重要です。
仕入債務の支払期間と売上債権の回収期間のサイクルがずれていたり、季節により収入の変動が大きい場合は、損益計算書では売上も利益も適切に計上されているにもかかわらず、一時的に運転資金が不足することがあります。
運転資金が不足すると、仕入債務や従業員の給料を支払うために、銀行から借り入れを行い、何とか資金を調達してピンチを乗り越えます。しかし、このような対処を繰り返していくと、悪循環に陥り徐々に借入金額が膨らんでいくことになりかねません。
資金繰り表
「資金繰り」は「資金管理」の基本であり、「資金繰り表」において資金(現金)の収支計画と実績を管理していきます。
資金計画において、期首の現金残高、期中の現金収入及び支出、期末の現金残高を精度高く見積もることによって、将来的な資金不足をできるだけ早く察知することができ、資金不足を回避するために事前の対策を講じることができます。
資金繰り表のフォーマット
資金繰り表では、現金の収入および支出を「経常収支」と「経常外収支」に分割して管理します。
ただし、経常収支と経常外収支に分割せずに、単に「収入」と「支出」で管理する方法もあります。
4月 | 5月 | 6月 | ~ | 3月 | ||
前月繰越 | ||||||
経常収支 | 収入 | |||||
支出 | ||||||
経常外収支 | 収入 | |||||
支出 | ||||||
翌月繰越 |
資金繰り表における現金収支の分類
資金繰りにおける「現金収支」は「経常収支」と「経常外収支」に分類されます。
経常収支項目
経常収入 | 売上収入 | 現金売上 |
売掛金の現金回収 | ||
受取手形の期日入金 | ||
営業外収入 | 受取利息 | |
受取配当金 | ||
経常支出 | 仕入・外注費 | 現金仕入 |
買入金の現金支払 | ||
支払手形の期日決済 | ||
賃金給与 | ||
その他経費 | ||
営業外支出 | 支払利息 |
経常外収支項目
経常外収入 | 設備収入 | 固定資産等売却収入 |
有価証券売却収入 | ||
貸付金返済 | ||
財務収入 | 借入金収入 | |
受取手形の割引 | ||
経常外支出 | 設備支出 | 固定資産購入支出 |
有価証券購入支出 | ||
貸付金支出 | ||
財務支出 | 借入金返済 | |
配当金支出 |
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成24年度 第12問】
当期の資金繰り表の記載項目a〜fのうち、経常外収支の項目として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 受取手形の期日入金
b 現金売上
c 支払手形の期日決済
d 設備投資
e 手形割引
f 未払金の支払
[解答群]
ア aとb
イ bとc
ウ dとe
エ eとf
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
資金繰り表に関する知識を問う問題です。
資金繰り表では、現金の収入および支出を「経常収支」と「経常外収支」に分割して管理します。
経常収支項目
経常収入 | 売上収入 | 現金売上 |
売掛金の現金回収 | ||
受取手形の期日入金 | ||
営業外収入 | 受取利息 | |
受取配当金 | ||
経常支出 | 仕入・外注費 | 現金仕入 |
買入金の現金支払 | ||
支払手形の期日決済 | ||
賃金給与 | ||
その他経費 | ||
営業外支出 | 支払利息 |
経常外収支項目
経常外収入 | 設備収入 | 固定資産等売却収入 |
有価証券売却収入 | ||
貸付金返済 | ||
財務収入 | 借入金収入 | |
受取手形の割引 | ||
経常外支出 | 設備支出 | 固定資産購入支出 |
有価証券購入支出 | ||
貸付金支出 | ||
財務支出 | 借入金返済 | |
配当金支出 |
選択肢の項目を「経常収支」と「経常外収支」に分類すると以下の通りとなります。
a 受取手形の期日入金(経常収入)
b 現金売上(経常収入)
c 支払手形の期日決済(経常支出)
d 設備投資(経常外支出)
e 手形割引(経常外収入)
f 未払金の支払(経常支出)
選択肢(d)と(e)が適切なため、答えは(ウ)です。
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