このブログでは二次試験(事例Ⅲ/事例Ⅳ)についても説明していますので、参考としてください。

事例Ⅳ ~令和2年度 解答例(2)(経営分析)~

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令和2年度の事例Ⅳの「第1問」に関する解答例(案)を説明していきます。

私なりの思考ロジックに基づく解答例(案)を以下に説明しますので、参考としてもらえればと思います。

 

前回の記事「事例Ⅳ ~令和2年度 解答例(1)(経営分析)~」の続きです。

 

事例Ⅳ ~令和2年度試験問題一覧~

令和2年度のその他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

第1問(設問1) 前回からの続き

Step3.財務諸表の数値分析(財務指標の絞り込み)

効率性
財務指標一覧(効率性)

効率性の財務指標を以下に示します。

財務指標(効率性) D社 同業他社 比較
総資本回転率 1.18回 0.99回
売上債権回転率 126.53回 28.66回
棚卸資産回転率 3.91回 2.99回
固定資産回転率 4.63回 8.87回 ×
有形固定資産回転率 5.30回 13.60回 ×

 

考察
  • 「総資本回転率」は、同業他社より優れている。
    与件文を見ても、その理由は明確に記載されておらず、かつ後述する他の財務指標の方が重要だと考えられるため「総資本回転率」は候補に残さない。
  • 「売上債権回転率」は、同業他社より著しく優れている。
    与件文を見ても、その理由は明確に記載されていないが、「1,165百万円」保有している「棚卸資産(販売用不動産)」を販売した後、その販売代金を効率的に回収して現金化できているため、「現金及び預金」が非常に少ない財政状態にあっても、借入金に対する利息の支払いや返済などに充てながら、なんとか資金繰りができている状況にあると推測することができる
    「売上債権回転率」の数値が高いことは、優れている特徴ではあるが、今回のケースにおいては自転車操業感が否めない。効率的に回収した「現金及び預金」で、事業を拡大するための投資資金を確保できているようなケースであれば、同業他社と比較した場合のD社の特徴として胸を張って挙げられるが、借入金に対する利息の支払いや返済に回しているのであれば、まずは借入金を減らすように改善しなさい。と言われてしまいそうである。
    したがって、同業他社より優れていると思われる財務指標の候補として「売上債権回転率」を残すが、他にも優れていると思われる財務指標の候補がある場合は、そちらを優先することとしたい。
  • 「棚卸資産回転率」は、同業他社より優れている。
    与件文や財務諸表を見る限り、同業他社と同程度の「棚卸資産(販売用不動産)」で同業他社の「売上高」を大きく超過しているのは、顧客を大切にする、地域に根差した企業として評判が高く、これまでに約2,000棟の販売実績を有していることを要因として、戸建住宅事業の業績が好調であり「棚卸資産(販売用不動産)」の回転が速い状況にあると推測することができる
    したがって、同業他社より優れていると思われる財務指標の候補として「棚卸資産回転率」を残す
  • 「固定資産回転率」と「有形固定資産回転率」は、いずれも同業他社より劣っている。
    与件文や貸借対照表を見る限り、業績が不調な飲食事業の不採算店舗や、具体的な出店計画のない土地といった「有形固定資産」を保有していることがその要因であると考えられる。
    したがって、同業他社より劣っていると思われる財務指標の候補として「有形固定資産回転率」を残す
  • 同業他社より優れていると思われる財務指標として「売上債権回転率」「棚卸資産回転率」を、同業他社より劣っていると思われる財務指標として「有形固定資産回転率」を候補に残しているが、前述の通り同業他社より優れていると思われる財務指標として「棚卸資産回転率」が候補に残っているため「売上債権回転率」は候補から外す
    また、この時点においては、「棚卸資産回転率」「有形固定資産回転率」のいずれが重要であるかを判断することができず、「収益性」や「安全性」の財務指標とバランスを取りながら選択する必要があるため、同業他社より優れていると思われる財務指標には「棚卸資産回転率」を、劣っていると思われる財務指標には「有形固定資産回転率」を候補として残す

 

検討結果

同業他社より優れていると思われる財務指標として「棚卸資産回転率」を、劣っていると思われる財務指標として「有形固定資産回転率」を候補として残す。

 

安全性
財務指標一覧(安全性)

安全性の財務指標を以下に示します。

財務指標(安全性) D社 同業他社 比較
流動比率 110.64% 290.36% ×
当座比率 28.74% 127.60% ×
固定比率 161.84% 16.92% ×
固定長期適合率 78.16% 16.12% ×
自己資本比率 15.82% 66.12% ×
負債比率 532.24% 51.23% ×

 

考察
  • 「安全性」については、全ての財務指標が同業他社より劣っている
  • 「短期安全性(流動比率/当座比率)」は、いずれも同業他社より劣っている。
    「流動比率」は100%を超えており健全であると評価できるが、「当座比率」の数値は非常に低い状況であるため、同業他社より劣っていると思われる財務指標の候補として「当座比率」を残す
  • 「長期安全性(固定比率/固定長期適合率)」は、いずれも同業他社より劣っている。
    貸借対照表を見る限り、「長期安全性」の財務指標が同業他社より劣っているのは、飲食事業で保有している「有形固定資産」が多いことと「自己資本(純資産)」が少ないことが理由であると考えられる。
    「固定長期適合率」は100%を下回っており健全であると評価できる。
    一方で、「固定比率」の数値が高いのは、貸借対照表を見る限り、「固定資産」が多いというよりも「自己資本(純資産)」が少なすぎるためと考えられる
    「自己資本(純資産)」が少なすぎるということを指摘するのであれば「長期安全性」ではなく「資本構造」で指摘することとなる

    したがって、「長期安全性(固定比率/固定長期適合率)」の財務指標は候補に残さない。
  • 「資本構造(自己資本比率/負債比率)」は、いずれも同業他社より劣っている。
    貸借対照表を見る限り、同業他社と比較すると「自己資本(純資産)」は少なすぎで「負債」は多すぎるため「自己資本比率」と「負債比率」のどちらを選択するか判断が難しい状況であるが、借入金(負債)による利息の支払いなどに関連する「当座比率(短期安全性)」や「売上高営業外費用比率(収益性)」が、同業他社より劣っている状況を踏まえると「負債」が多すぎることを指摘する方が望ましいと考えられる。
    したがって、同業他社より劣っていると思われる財務指標の候補として「負債比率」を残す
  • 「短期安全性」の観点では「当座比率」を「資本構造」の観点では「負債比率」を候補に残している。
    「当座比率」の数値が非常に低くなっている理由は、多額の借入金(負債)による利息の支払いなどに関する負担が大きいことが要因と考えられるが、「売上債権回転率」が非常に高く、不動産を販売した売上債権を効率的に回収して現金化できていると想定されること、および売上債権を含む「流動比率」が100%を超えていることを踏まえると、同業他社より劣っていると思われる財務指標として「当座比率」ではなく「負債比率」を選択する方が望ましいと考えられる。
    したがって、「安全性」の観点においては、同業他社より劣っていると思われる財務指標として「負債比率」を選択する

 

検討結果

同業他社より劣っていると思われる財務指標として「負債比率」を選択する。

 

「第3問 (設問2)」において、リフォーム事業の拡充に向けて、E社を買収するための資金を銀行からの「借入金」により調達しようと検討しています。

「負債比率」が極めて高い状況であるにもかかわらず、さらに「借入金」を増やそうとしていることのリスクを認識させるためにも、同業他社より劣っている財務指標として「負債比率」を選択しておく方が適切であると考えられます

 

Step4.財務指標の確定

最後に、「収益性」「効率性」「安全性」のバランスを見て、問題の条件と一致しているか、指摘する内容や原因が重複していないか、論理的な矛盾がないか、などの確認を実施しながら、最終的に解答する財務指標を確定します。

  1. 収益性と効率性
    • 「収益性」の観点では、同業他社より優れていると思われる財務指標として「売上高総利益率」を、劣っていると思われる財務指標として「売上高販管費比率」「売上高営業外費用比率」を候補として残しているが、「安全性」の観点において「負債比率」を選択しているため「売上高営業外費用比率」は候補から外す
    • 「効率性」の観点では、同業他社より優れていると思われる財務指標として「棚卸資産回転率」を、劣っていると思われる財務指標として「有形固定資産回転率」を候補として残している。
    • 今回の問題では、同業他社と比較して、優れていると思われる財務指標を1つと、劣っていると思われる財務指標を2つ解答するよう求められているが、「安全性」の観点では劣っていると思われる財務指標を選択している(それしか選択肢がない)ため、以下2つのパターンから同業他社と比較した場合の特徴を適切に示していると思われる方を選択することとなる。
      【パターン1】
      ・優れていると思われる財務指標:売上高総利益率(収益性)
      ・劣っていると思われる財務指標:有形固定資産回転率(効率性)
      【パターン2】
      ・優れていると思われる財務指標:棚卸資産回転率(効率性)
      ・劣っていると思われる財務指標:売上高販管費比率(収益性)
    • 優れていると思われる財務指標の候補としている「売上高総利益率(収益性)」と「棚卸資産回転率(効率性)」は、いずれも、顧客を大切にする、地域に根差した企業として評判が高く、これまでに約2,000棟の販売実績を有していることを要因としていると考えられるため、どちらの財務指標を選んだとしても、それほど違いはない。
    • そのため、劣っていると思われる財務指標の候補としている「売上高販管費比率(収益性)」と「有形固定資産回転率(効率性)」のどちらが、同業他社と比較した場合の特徴を適切に示しているかについて考えてみる
    • 「売上高販管費比率(収益性)」については、与件文において「丁寧な顧客対応のための費用負担が重いことも事実であり、顧客対応の適正水準について模索を続けている」といった記述があるため、重要な要素であると考えられる。
    • 「有形固定資産回転率(効率性)」については、業績が不調な飲食事業の不採算店舗や、具体的な出店計画のない土地といった「有形固定資産」を保有していることがその要因であると考えられるため、こちらも重要な要素であると考えられる。
    • どちらの財務指標も、その理由だけでは優劣をつけられない状況であるため、規模について考えてみる
    • 第4問において示されているD社における事業セグメント別の売上高を見てみると、「戸建住宅事業」の売上高が「4,330 百万円」、「飲食事業」の売上高が「182 百万円」となっており、明らかに事業規模が異なっていることが分かる。
      与件文にも記述されているが、D社にとっての主な事業は「戸建住宅事業」であるため、比較対象となる同業他社も「戸建住宅事業」を主な事業とした企業であると考えられる。
      したがって、極めて事業規模の小さい「飲食事業」の財政状態を反映した財務指標を選定するよりも、「戸建住宅事業」の経営成績を反映した財務指標を選定した方が、同業他社と比較した場合の特徴を適切に示すことができると考えられるため、「戸建住宅事業」の特徴を示す「売上高販管費比率(収益性)」を選択する
    • これらの考察に基づき、「収益性」と「効率性」の観点において、同業他社と比較して優れている財務指標と、劣っていると思われる財務指標は、以下の通りとする。
      【パターン2】
      ・優れていると思われる財務指標:棚卸資産回転率(効率性)
      ・劣っていると思われる財務指標:売上高販管費比率(収益性)
  2. 安全性
    • 考察の結果、同業他社より劣っていると思われる財務指標として「負債比率」を選択している。
    • 「収益性」や「効率性」で選択した財務指標との重複や矛盾は見当たらない。
    • したがって、「安全性」の観点において、同業他社と比較して劣っていると思われる財務指標は「負債比率」で確定とする。

 

「第2問」において、前期から2期連続で営業利益がマイナスとなっているステーキ店の業態転換や即時閉店などの対応策について検討しています。

飲食事業の不採算店舗や、具体的な出店計画のない土地といった「有形固定資産」の保有による効率性の低下が、D社にとって、喫緊で一番重要な問題であるという判断に基づけば、「収益性」と「効率性」の観点において、以下の財務指標を選定するという解答もありだと思います。

【パターン1】
・優れていると思われる財務指標:売上高総利益率(収益性)
・劣っていると思われる財務指標:有形固定資産回転率(効率性)

「第4問」において示されているD社における事業セグメント別の売上高を見るまでは、私もこのパターンを解答としていました。

 

 

Step5.解答

確定した財務指標を解答します。
同業他社と比較して、優れていると思われる財務指標を①の欄に、劣っていると思われる財務指標を②の欄に記載します。

 

(a) (b)
棚卸資産回転率 3.91 (回)
売上高販管費比率 24.24 (%)
負債比率 532.24 (%)

 

飲食事業の不採算店舗や、具体的な出店計画のない土地といった「有形固定資産」の保有による効率性の低下が、D社にとって、喫緊で一番重要な問題であるという判断に基づいた場合の解答は以下の通りです。

 

(a) (b)
売上高総利益率 26.39 (%)
有形固定資産回転率 5.30 (回)
負債比率 532.24 (%)

 

 

第1問(設問2)

「設問2」では、D社の当期の財政状態および経営成績を、同業他社と比較した場合の特徴について考えていきます。

 

解答

「設問2」では「収益性」「効率性」「安全性」の3つの観点を入れるのが鉄則です。
「収益性」「効率性」「安全性」に分けて、同業他社と比較した場合の特徴を「60文字」以内にまとめます。

 

  • 顧客からの高い評判で棚卸資産の回転が速く効率性は高いが、丁寧な顧客対応の費用負担で収益性が低く多額の借入金で安全性が低い。(60文字)

 

飲食事業の不採算店舗や、具体的な出店計画のない土地といった「有形固定資産」の保有による効率性の低下が、D社にとって、喫緊で一番重要な問題であるという判断に基づいた場合の解答は以下の通りです。

 

  • 顧客からの高い評判と豊富な販売実績で収益性は高いが不採算店舗や未活用の土地の保有で効率性が低く多額の借入金で安全性が低い。(60文字)

 

 


 

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