財務・会計 ~R2-4 剰余金の配当と処分(5)法定準備金の積み立て(利益準備金)~

にほんブログ村に参加しています。
記事の内容にご満足いただけた場合は、以下のボタンをクリックいただけると、また頑張ることができます。

にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へ

にほんブログ村に参加しています。
記事の内容にご満足いただけた場合は、以下のボタンをクリックいただけると、また頑張ることができます。

にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へ







今回は、「財務・会計 ~R2-4 剰余金の配当と処分(5)法定準備金の積み立て(利益準備金)~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~令和2年度一次試験問題一覧~

令和2年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

剰余金の配当と処分 -リンク-

本ブログにて「剰余金の配当と処分」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

剰余金の配当

会社法(第453条)の施行により、平成18年5月1日以降、株式会社は株主に「剰余金の配当」を行うことができるようになりました。

もちろん、会社法(第453条)の施行以前も株式会社は株主に配当を行っていましたが、それは「剰余金の配当」ではなく「利益の配当」として行われていました。

そのため、配当の回数も、定時株主総会の決議による各事業年度の決算で確定した利益を原資とした1事業年度に1度の「期末配当」と、取締役会の決議による1事業年度に1度の「中間配当」の最大2回までに制限されていました。

 

法定準備金の積み立て

株式会社が、株主に剰余金の配当を行う場合、資本金の「4分の1」に達するまで「法定準備金(資本準備金/利益準備金)」を積み立てる必要があります

「法定準備金(資本準備金/利益準備金)」の積立金額が、資本金の「4分の1」に達していない場合は、以下の計算式により求められた金額のうち低い方を「法定準備金(資本準備金/利益準備金)」として積み立てます

 

 

なお、「繰越利益剰余金」を原資として配当を行う場合は「利益準備金」に「その他資本剰余金」を原資として配当を行う場合は「資本準備金」に「法定準備金」を積み立てます。

 

仕訳

株式会社が、株主に配当する場合の「法定準備金」の積み立て額を「配当金の10分の1」とした場合の仕訳を以下に示します。

 

繰越利益剰余金を原資として配当を行う場合

「繰越利益剰余金」を原資として配当を行う場合の仕訳は以下の通りです。

 

借方 貸方
繰越利益剰余金 11,000 現金(配当金)
利益準備金(法定準備金)
10,000
1,000

 

その他資本剰余金を原資として配当を行う場合

「その他資本剰余金」を原資として配当を行う場合の仕訳は以下の通りです。

 

借方 貸方
その他資本剰余金 11,000 現金(配当金)
資本準備金(法定準備金)
10,000
1,000

 

その他資本剰余金による配当を受けた企業の仕訳

「その他資本剰余金」により配当を行う場合は、配当を行う企業よりも、配当を受け取る企業の仕訳が複雑です。

これは、「その他資本剰余金」による配当が、株主から預かった資金を投資して得ることができた利益からの配当ではなく、資本金の払い戻しという意味合いが強いためです。

 

売買目的有価証券以外の有価証券を保有している場合

「その他資本剰余金」による配当を受けた株主が保有する株式が「売買目的有価証券以外」の場合は、当該の有価証券の帳簿価額から減額する仕訳を実施します。

借方 貸方
現金 1,000 その他有価証券 1,000

 

売買目的有価証券の場合

「その他資本剰余金」による配当を受けた株主が保有する株式が「売買目的有価証券」の場合は、通常通り「受取配当金」として仕訳を実施します。

借方 貸方
現金 1,000 受取配当金 1,000

 

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和2年度 第4問】

B社は、定時株主総会において、繰越利益剰余金を原資として6,000千円の配当を行うことを決議した。なお、配当を行う前の資本金は18,000千円、資本準備金は1,000千円、利益準備金は3,000千円であった。

このとき、積み立てるべき法定準備金として、最も適切なものはどれか。

 

ア 資本準備金:100千円 利益準備金:300千円
イ 資本準備金:100千円 利益準備金:600千円
ウ 利益準備金:500千円
エ 利益準備金:600千円

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「繰越利益剰余金を原資とした配当」に関する知識を問う問題です。

 

株式会社が、株主に剰余金の配当を行う場合、資本金の「4分の1」に達するまで「法定準備金(資本準備金/利益準備金)」を積み立てる必要があります

「法定準備金(資本準備金/利益準備金)」の積立金額が、資本金の「4分の1」に達していない場合は、以下の計算式により求められた金額のうち低い方を「法定準備金(資本準備金/利益準備金)」として積み立てます

 

 

なお、「繰越利益剰余金」を原資として配当を行う場合は「利益準備金」に「その他資本剰余金」を原資として配当を行う場合は「資本準備金」に「法定準備金」を積み立てます。

 

問題で与えられた「繰越利益剰余金を原資として6,000千円の配当を行う」という条件により「利益準備金」に「法定準備金」を積み立てることとなるため、「法定準備金」の積み立て先に「資本準備金」が含まれている選択肢(ア)と(イ)は正解から除外することができます。

 

問題で与えられた数値を上述の計算式に当てはめて計算します。

 

  • 資本金 ÷ 4 -( 資本準備金 + 利益準備金 )
    = 18,000千円 ÷ 4 -(1,000千円+3,000千円)= 500千円
  • 配当金 ÷ 10
    = 6,000千円 ÷ 10 = 600千円

 

「法定準備金」として積み立てるべき金額は、金額の低い方であるため、「500千円」ということになります。

 

「繰越利益剰余金」を原資として配当を行う場合は「利益準備金」に「法定準備金」を積み立てるため、積み立てるべき法定準備金は「利益準備金:500千円」です。

 

答えは(ウ)です。


 

コメント

タイトルとURLをコピーしました