経済学・経済政策 ~R1-17 公共財と政府規制(1)共有資源~

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今回は、「経済学・経済政策 ~R1-17 公共財と政府規制(1)共有資源~」について説明します。

 

目次

経済学・経済政策 ~令和元年度一次試験問題一覧~

令和元年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

公共財・私的財・共有資源 -リンク-

本ブログにて「公共財・私的財・共有資源」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

競合性と排他性

財・サービスの消費に関する性質を表す「競合性」と「排他性」について説明します。

 

競合性

「競合性」とは、財・サービスを消費する消費者が増加すると、その財・サービスの質や量を保つことができなくなるという性質のことをいいます。

 

  • 競合性
    財・サービスを消費する消費者が増加すると、他の消費者がその財・サービスを消費できなくなること
  • 非競合性(競合性を有していないこと)
    多数の消費者が財・サービスを同時に消費できること

 

排他性

「排他性」とは、財・サービスの対価を支払わずに消費しようとする行為を排除できるという性質のことをいいます。

 

  • 排他性
    財・サービスの対価を支払った消費者だけが消費できること
    (財・サービスの対価を支払ってない消費者が消費することを排除できること)
  • 非排他性(排他性を有していないこと)
    財・サービスの対価を支払わない消費者も消費できること
    (財・サービスの対価を支払ってない消費者が消費することを排除できないこと)

 

公共財(純粋公共財)

「公共財(純粋公共財)」とは、消費の「非競合性(競合性を有していないこと)」と「非排他性(排他性を有していないこと)」という性質を有する財・サービスのことをいいます。

「公共財(純粋公共財)」は、財・サービスの対価を支払わなくても消費することができ、多数の消費者が同時に消費できる財・サービスであり、「消防、警察、国防、放送、花火大会」などが事例として挙げられます。

 

あり なし
競合性
排他性

 

フリーライダー(ただ乗り)

「フリーライダー」とは、対価を支払わずに「公共財(純粋公共財)」のように「非排他性(排他性を有していないこと)」を有する財・サービスを消費して、その便益を享受する消費者のことをいいます。

「フリーライダー」を排除できない財・サービスについては、その供給が著しく過少になるという問題が発生する恐れがあるため、これらの財・サービスを提供する主体は、租税によって活動する「政府や地方自治体」ということになります。

ただし「公共財(純粋公共財)」の事例には「放送、花火大会」なども挙げられるため、必ずしも「公共財(純粋公共財)」を提供するのが「政府や地方自治体」だけとは限りません。

 

準公共財

「準公共財」とは、厳密には「公共財(純粋公共財)」ではありませんが、消費の「非競合性(競合性を有していないこと)」と「非排他性(排他性を有していないこと)」のいずれかの性質を有する財・サービスのことをいいます。

 

クラブ財

「クラブ財」とは、消費の「非競合性(競合性を有していないこと)」と「排他性」という性質を有する財・サービスのことをいいます。

「クラブ財」は、財・サービスの対価を支払った消費者だけが消費でき、多数の消費者が同時に消費できる財・サービスであり、「有料のケーブルテレビ」などが事例として挙げられます。

 

あり なし
競合性
排他性

 

共有資源(コモンプール財)

「共有資源(コモンプール財)」とは、消費の「競合性」と「非排他性(排他性を有していないこと)」という性質を有する財・サービスのことをいいます。

「共有資源(コモンプール財)」は、財・サービスの対価を支払わなくても消費することができ、財・サービスを消費する消費者が増加すると他の消費者が消費できなくなる財・サービスであり、所有者が決まっていない地球上の資源や一般道路・橋などが事例として挙げられます。

 

あり なし
競合性
排他性

 

「共有資源(コモンプール財)」は、財・サービスの対価を支払わない消費者も消費できてしまうため、資源の消費に関する規制を設けずに放置すると、浪費や乱獲によって資源が枯渇するといった問題が発生する恐れがあります。

 

私的財

「私的財」とは、「競合性」と「排他性」という性質を有する財・サービスのことをいいます。

「私的財」は、財・サービスの対価を支払った消費者だけが消費でき、財・サービスを消費する消費者が増加すると他の消費者が消費できなくなる財・サービスです。

 

あり なし
競合性
排他性

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和元年度 第17問】

海洋資源などの共有資源に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

 

a 共有資源の消費に対する無償の許可は、共有資源の消費の効率化につながる。
b 共有資源の消費に対する有償の許可は、共有資源の消費の効率化につながる。
c 共有資源は、消費に競合性があるが、排他性のない財として定義できる。
d 共有資源は、消費に排他性があるが、競合性のない財として定義できる。

 

[解答群]

ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

共有資源に関する知識を問う問題です。

 

共有資源の定義

「共有資源(コモンプール財)」とは、消費の「競合性」と「非排他性(排他性を有していないこと)」という性質を有する財・サービスのことをいいます。

「共有資源(コモンプール財)」は、財・サービスの対価を支払わなくても消費することができ、財・サービスを消費する消費者が増加すると他の消費者が消費できなくなる財・サービスであり、所有者が決まっていない地球上の資源や一般道路・橋などが事例として挙げられます。

 

あり なし
競合性
排他性

 

したがって、共有資源は、消費に競合性があるが、排他性のない財として定義できるため、(c)に記述されている内容が適切です

 

共有資源の消費に対する許可

「共有資源(コモンプール財)」は、財・サービスの対価を支払わない消費者も消費できてしまうため、資源の消費に関する規制を設けずに放置すると、浪費や乱獲によって資源が枯渇するといった問題が発生する恐れがあります。

共有資源問題を解決する方法の一つとして、資源の消費を許可制などにして有償化する方法があります。

共有資源の消費に対する有償の許可制は、対価を支払わない消費者を排除することができ、浪費や乱獲を防ぐことができるため、共有資源の消費の効率化につながります。

しかし、共有資源の消費に対して無償の許可制を導入しても、対価を必要としないため、結果として浪費や乱獲する消費者を排除することができません

 

したがって、共有資源の消費に対する有償の許可は、共有資源の消費の効率化につながるため、(b)に記述されている内容が適切です

 

(b)と(c)に記述されている内容が適切であるため、答えは(ウ)です。


 

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