経済学・経済政策 ~R5-21 資源配分機能(20)余剰分析(自由貿易)~

にほんブログ村に参加しています。
記事の内容にご満足いただけた場合は、以下のボタンをクリックいただけると、また頑張ることができます。

にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へ

にほんブログ村に参加しています。
記事の内容にご満足いただけた場合は、以下のボタンをクリックいただけると、また頑張ることができます。

にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へ







今回は、「経済学・経済政策 ~R5-21 資源配分機能(20)余剰分析(自由貿易)~」について説明します。

 

目次

経済学・経済政策 ~令和5年度一次試験問題一覧~

令和5年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

余剰分析(貿易) -リンク-

本ブログにて「余剰分析(貿易)」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

余剰分析

「余剰分析」とは、財市場において資源配分の効率性を分析する手法のことをいいます。

「余剰」とは、財市場の取引により得られる「利益」のことを表しており、「余剰分析」では「消費者余剰」と「生産者余剰」と「政府余剰」を重ね合わせた「社会的総余剰(総余剰)」に基づき、資源配分が効率的になっているかを確認していきます。

 

例:社会的総余剰(消費者余剰+生産者余剰)

 

余剰分析(貿易)

「財市場(完全競争市場)」において、貿易による「余剰(利益)」の変化について考えていきます。

 

輸出

自由貿易の場合(輸出品に対する関税や輸出量の制限がない場合)

「財市場(完全競争市場)」において、輸出品に対する関税や輸出量の制限がない自由貿易が行われ、財の価格が国内の需要曲線と供給曲線の交点で均衡していた国内価格(PE)から国際価格(Pi)に上昇すると、生産者による供給量は「XE(点Eの供給量)」から「XG(点Gの供給量)」に増加して、消費者による需要量は「XE(点Eの需要量)」から「XF(点Fの需要量)」に減少します

また、供給量の増加と需要量の減少により「超過供給」となりますが、供給量の超過分(XG-XF)は輸出先の国の消費者に供給されます

 

「余剰(利益)」という観点で見ると「生産者余剰」は増加して「消費者余剰」は減少します。

 

余剰の変化(自由貿易(輸出))

 

自由貿易(輸出)が行われていなかった場合と比較すると「社会的総余剰(総余剰)」は「三角形FEG」だけ増加します。

 

社会的総余剰の増加分(自由貿易(輸出))

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和5年度 第21問】

閉鎖経済の下で国内でのみ生産販売されていた製品が、貿易の自由化により外国に輸出された場合の効果について考える。下図は、国際価格がPfで与えられる、ある工業製品に対する国内の需要曲線Dと供給曲線Sを示している。当初、閉鎖経済の下で国内の需要量と供給量が点Eで均衡し、国内価格はP0、取引量はQ0であったが、国際価格Pfの輸出財市場に参入したことで、供給量はQ2に増加することになった。

この図から読み取れる記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

 

a 貿易自由化によって、国内の消費量はQ0からQ1に減少する。
b 貿易自由化による消費者余剰の減少分は(2)である。
c 貿易自由化による生産者余剰の増加分は(1)(2)(3)(4)の合計である。
d 貿易自由化による社会的総余剰の増加分は(3)である。

 

[解答群]

ア a:正 b:正 c:正 d:誤
イ a:正 b:正 c:誤 d:誤
ウ a:正 b:誤 c:誤 d:正
エ a:誤 b:正 c:正 d:誤
オ a:誤 b:誤 c:誤 d:正

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

貿易の自由化(輸出)に伴う余剰の変化に関する知識を問う問題です。

 

「財市場(完全競争市場)」において、輸出品に対する関税や輸出量の制限がない自由貿易が行われ、財の価格が国内の需要曲線と供給曲線の交点で均衡していた国内価格(PE)から国際価格(Pi)に上昇すると、生産者による供給量は「XE(点Eの供給量)」から「XG(点Gの供給量)」に増加して、消費者による需要量は「XE(点Eの需要量)」から「XF(点Fの需要量)」に減少します

また、供給量の増加と需要量の減少により「超過供給」となりますが、供給量の超過分(XG-XF)は輸出先の国の消費者に供給されます

 

「余剰(利益)」という観点で見ると「生産者余剰」は増加して「消費者余剰」は減少します。

 

余剰の変化(自由貿易(輸出))

 

自由貿易(輸出)が行われていなかった場合と比較すると「社会的総余剰(総余剰)」は「三角形FEG」だけ増加します。

 

社会的総余剰の増加分(自由貿易(輸出))

 

問題で与えられた図における貿易の自由化による余剰の変化は以下の通りです。

 

 

(a)適切です。

「財市場(完全競争市場)」において、輸出品に対する関税や輸出量の制限がない自由貿易が行われ、財の価格が国内の需要曲線と供給曲線の交点で均衡していた国内価格(PE)から国際価格(Pi)に上昇すると、消費者による需要量は「Q0」から「Q1」に減少します

貿易の自由化(輸出)により減少する「需要量」は以下の通りです。

 

 

したがって、貿易自由化によって、国内の消費量はQ0からQ1に減少するため、選択肢の内容は適切です

 

(b)不適切です。

「財市場(完全競争市場)」において、輸出品に対する関税や輸出量の制限がない自由貿易が行われ、財の価格が国内の需要曲線と供給曲線の交点で均衡していた国内価格(PE)から国際価格(Pi)に上昇すると、「消費者余剰」は減少します。

貿易の自由化(輸出)により減少する「消費者余剰」は以下の通りです。

 

 

したがって、貿易自由化による消費者余剰の減少分は(2)ではなく(1)(2)の合計であるため、選択肢の内容は不適切です

 

(c)不適切です。

「財市場(完全競争市場)」において、輸出品に対する関税や輸出量の制限がない自由貿易が行われ、財の価格が国内の需要曲線と供給曲線の交点で均衡していた国内価格(PE)から国際価格(Pi)に上昇すると、「生産者余剰」は増加します。

貿易の自由化(輸出)により増加する「生産者余剰」は以下の通りです。

 

 

したがって、貿易自由化による生産者余剰の増加分は(1)(2)(3)(4)の合計ではなく(1)(2)(3)の合計であるため、選択肢の内容は不適切です

 

(d)適切です。

貿易の自由化(輸出)により増加する「社会的総余剰(総余剰)」は以下の通りです。

 

 

したがって、貿易自由化による社会的総余剰の増加分は(3)であるため、選択肢の内容は適切です

 

「a:正 b:誤 c:誤 d:正」であるため、答えは(ウ)です。


 

コメント

タイトルとURLをコピーしました