運営管理 ~R2-21 生産の合理化・改善(9)工程管理の用語~

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今回は、「運営管理 ~R2-21 生産の合理化・改善(9)工程管理の用語~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~令和2年度一次試験問題一覧~

令和2年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

生産管理の基礎用語 -リンク-

本ブログにて「3S」「5S」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

ECRSの原則(改善の4原則)

「ECRSの原則」は、生産活動の作業効率を改善するために検討すべき観点とその順番を示しており、Eliminate(排除)、Combine(結合)、Rearrange(交換)、Simplify(簡素化)という4つの観点の頭文字から構成されています。

「ECRSの原則」を活用して、作業自体をなくしたり(E)、作業をまとめて行ったり(C)、作業の順番を入れ替えたり(R)、作業を単純化する(S)といった方法で、生産活動における作業効率を改善していきます

 

 

3S

「3S」とは、生産の合理化における基本原則であり、「単純化(Simplification)」「標準化(Standardization)」「専門化(Specialization)」の「1文字目(S)」を取って並べたもののことをいいます。

 

「単純化」とは、製品・材料・部品の整理や、作業工程の見直しにより、その種類を減らして簡素化することであり、「作業ミスの撲滅」「作業時間の短縮」「コストの低減」といった効果を期待することができます。

「標準化」とは、一定の基準に従って、物(資材・部品など)や方法(作業・手続きなど)を統一化することであり、「属人化した技術の横展開」「品質の安定」「作業時間の短縮」「作業者の多能工化」「コストの低減」といった効果を期待することができます。

「専門化」とは、製品・品種の限定や、作業の分担化により専業化することをであり、「専門技術力の向上」「専門優位性の確立」「競合他社との差別化」といった効果を期待することができます。

 

3S 内容
単純化 製品・材料・部品の整理や、作業工程の見直しにより、その種類を減らして簡素化すること
→作業ミスの撲滅、作業時間の短縮、コストの低減
標準化 一定の基準に従って、物(資材・部品など)や方法(作業・手続きなど)を統一化すること
→属人化した技術の横展開、品質の安定、作業時間の短縮、作業者の多能工化、コストの低減
専門化 製品・品種の限定や、作業の分担化により専業化すること
→専門技術力の向上、専門優位性の確立、競合他社との差別化

 

生産の4M(3M)

生産管理の目的は、生産管理の基本的要素(QCD)を満たすために、生産の構成要素である「4M」を合理的に運用することです。

「4M」とは、「Material(原材料・部品)」「Man(作業者)」「Machine(機械設備)」「Method(作業方法)」の「1文字目(M)」を取って並べたものです。

なお、「3M」という場合は、「Material(原材料・部品)」「Man(作業者)」「Machine(機械設備)」を対象としています。

 

動作経済の原則

「動作経済の原則」とは、作業者が行う作業から「ムダ・ムラ・ムリ」を排除して、最も合理的に作業を行うための経験則のことをいい、4つの基本原則に基づき「身体の使用に関する原則」「作業場の配置に関する原則」「設備・工具の設計に関する原則」に分類されています。

 

4つの基本原則

「動作経済の原則」は、疲労軽減と時間短縮を実現する「4つの基本原則」の考え方に基づき「身体の使用に関する原則」「作業場の配置に関する原則」「設備・工具の設計に関する原則」が定められています。

 

  • 動作の数を減らす。
  • 両手を同時に使う。
  • 動作の距離を短くする。
  • 動作を楽にする。

 

身体の使用に関する原則
  • 両手は、同時に動作を始め、あるいは同時に終わる。
  • 両手は、休憩時間以外は同時に休めてはならない。
  • 腕の運動は、左右対称的に、また同時に行う。
  • 手に物を保持したままにしてはならない。
  • 身体の運動部分をなるべく指や手などによる小さい動きで行う。
  • 作業は、落とす、転がす、弾むなどの重力、慣性などの自然な力を利用して容易に行う。
  • 動作は自然な姿勢を保ちリズムよく行う。
  • 他の身体部位でできる作業は、手や指や目を使わないようにする。
  • 運動の方向を急に変更せずに、連続した曲線状の運動とする。

 

作業場の配置に関する原則
  • 工具や材料は、作業者の手の届く定位置に配置する。
  • 工具や材料は、作業位置の周辺で、できるだけ作業者の前面に配置する。
  • 工具や材料は、最良の順序で作業がしやすいように配置する。
  • 作業台や椅子は、作業者の体格に合わせて正しい姿勢がとれるような高さと形にする。
  • 物の供給や搬出は、慣性や重力を利用して行う。
  • 作業の性質に適した痛風、温度、湿度、採光および照明を与える。

 

設備・工具の設計に関する原則
  • 機械類の操作は足を有効に使って、手の負担が軽くなるように設計する。
  • 2つ以上の工具はできるだけ1つに組み合わせる。
  • 治具、万力などを活用して、人間による保持を削減する。
  • ハンドルなどの握り部分は、手のひらに当たり握りやすい形状にする。
  • できるだけ専用の工具を使用する。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和2年度 第21問】

生産の合理化に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

ア ECRSの原則とは、作業を改善する際に、より良い案を得るための指針として用いられる問いかけの頭文字をつなげたもので、最後にする問いかけはStandardizationである。
イ 合理化の3Sとは、標準化、単純化、専門化で、これは企業活動を効率的に行うための基礎となる考え方である。
ウ 単純化とは、生産において分業化した各工程の生産速度や稼働時間、材料の供給時刻などを一致させる行為である。
エ 動作経済の原則とは、作業を行う際に最も合理的に作業を行うための経験則で、この原則を適用した結果としてフールプルーフの仕組みが構築できる。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

生産の合理化・改善に関する知識を問う問題です。

 

(ア) 不適切です。

「ECRSの原則」は、生産活動の作業効率を改善するために検討すべき観点とその順番を示しており、Eliminate(排除)、Combine(結合)、Rearrange(交換)、Simplify(簡素化)という4つの観点の頭文字から構成されています。

 

したがって、ECRSの原則とは、作業を改善する際に、より良い案を得るための指針として用いられる問いかけの頭文字をつなげたものですが、最後にする問いかけは「Standardization(標準化)」ではなく「Simplify(簡素化)」であるため、選択肢の内容は不適切です

 

(イ) 適切です。

「3S」とは、生産の合理化における基本原則であり、「単純化(Simplification)」「標準化(Standardization)」「専門化(Specialization)」の「1文字目(S)」を取って並べたもののことをいいます。

 

3S 内容
単純化 製品・材料・部品の整理や、作業工程の見直しにより、その種類を減らして簡素化すること
→作業ミスの撲滅、作業時間の短縮、コストの低減
標準化 一定の基準に従って、物(資材・部品など)や方法(作業・手続きなど)を統一化すること
→属人化した技術の横展開、品質の安定、作業時間の短縮、作業者の多能工化、コストの低減
専門化 製品・品種の限定や、作業の分担化により専業化すること
→専門技術力の向上、専門優位性の確立、競合他社との差別化

 

したがって、合理化の3Sとは、標準化、単純化、専門化で、これは企業活動を効率的に行うための基礎となる考え方であるため、選択肢の内容は適切です

 

(ウ) 不適切です。

「単純化」とは、製品・材料・部品の整理や、作業工程の見直しにより、その種類を減らして簡素化することであり、「作業ミスの撲滅」「作業時間の短縮」「コストの低減」といった効果を期待することができます。

 

したがって、単純化とは、生産において分業化した各工程の生産速度や稼働時間、材料の供給時刻などを一致させる行為ではなく、製品・材料・部品の整理や、作業工程の見直しにより、その種類を減らして簡素化する行為であるため、選択肢の内容は不適切です

 

(エ) 不適切です。

「動作経済の原則」とは、作業者が行う作業から「ムダ・ムラ・ムリ」を排除して、最も合理的に作業を行うための経験則のことをいい、4つの基本原則に基づき「身体の使用に関する原則」「作業場の配置に関する原則」「設備・工具の設計に関する原則」に分類されています。

 

一方、生産過程における設備や品質の問題は、設備や作業者を原因として発生します。
設備を原因として発生する問題は設備の工夫や改良によって防止することができますが、作業者を原因として発生する問題は100%防止することができず「人間は間違える」という前提のもと、問題に対する対策を講じる必要があります

作業者を原因として発生する問題への対策方法には、問題が発生する前に未然に防止するという考え方に基づく「フールプルーフ」と、問題が発生してから被害の拡大を抑制するという考え方に基づく「フェイルセーフ」があります。

 

したがって、動作経済の原則とは、作業を行う際に最も合理的に作業を行うための経験則のことですが、この原則を適用してもフールプルーフの仕組みが構築できるわけではないため、選択肢の内容は不適切です

 

答えは(イ)です。


 

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