今回は、「運営管理 ~H29-22 商業集積(3)商店街実態調査報告書~」について説明します。
目次
運営管理 ~平成29年度一次試験問題一覧~
平成29年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
商店街実態調査報告書 -リンク-
本ブログにて「商店街実態調査報告書」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
商店街実態調査報告書
「商店街実態調査報告書」は、大型商業施設の進出、インターネット販売などによる購買機会の多様化、少子化による人口の減少といった厳しい状況における、商店街の景気の状況、空き店舗の状況、商店街が抱える課題、取り組んでいる事業といった商店街の実態を明らかにして、商店街活性化施策の基礎資料とすることを目的として、「中小企業庁」が、3年毎に全国の商店街を調査して、その結果を公表しています。
商店街実態調査報告書(平成27年度)
現時点(2018年9月)における最新の報告書は、「平成27年度」の調査結果に基づく報告書であり、「平成27年11月」に行われた調査結果が「平成28年3月」に公表されています。
「商店街実態調査報告書」は、中小企業庁Webサイトから参照することができます。
調査項目
「商店街実態調査報告書」における調査項目は以下の通りです。
大項目 | 小項目 |
商店街の概要 | 組織形態 店舗数 空き店舗数 会員数 居住している店舗数 専従事務局員数 業種構成 など |
商店街の立地環境および商業環境 | 事務所所在地 立地環境 中心来街者層 来街者数の変化 各種調査の実施状況 など |
商店街の景況と近年の変化 | 景況 大規模小売店舗の影響 など |
商店街の問題と取り組み | 商店街における問題点 個店の改善策・活性化策 組織の活動 商店街リーダー 各種商店街事業の取り組み など |
1商店街当たりの平均店舗数
「商店街実態調査報告書」では、調査結果のポイントとして、1番最初に「商店街タイプごとの1商店街当たりの平均店舗数」を掲載しています。
1商店街あたりの平均店舗数は「52.9店」から「54.3店」に増加しています。
全体でみると、1商店街あたりの平均店舗数が増加していますが、「地域型商店街」「超広域型商店街」については、減少しています。
引用元:商店街調査結果報告書(平成27年度)(概要版)
商店街のタイプ
「商店街実態調査報告書」では、商店街のタイプを「近隣型商店街」「地域型商店街」「広域型商店街」「超広域型商店街」に分類しています。
商店街のタイプ | 説明 |
近隣型商店街 | 最寄品中心の商店街で地元主婦が日用品を徒歩又は自転車などにより買物を行う商店街 |
地域型商店街 | 最寄品及び買回り品が混在する商店街で、近隣型商店街よりもやや広い範囲であることから、徒歩、自転車、バス等で来街する商店街 |
広域型商店街 | 百貨店、量販店を含む大型店があり、最寄品より買回り品が多い商店街 |
超広域型商店街 | 百貨店、量販店を含む大型店があり、有名専門店、高級専門店を中心に構成され、遠距離から来街する商店街 |
消費財の分類
「消費財」とは、個人または一般家庭で消費(使用)することを目的として、消費者が購入する商品のことをいい、「最寄品」と「買回り品」に分類されます。
消費財の分類 | 説明 |
最寄品 | 消費者が頻繁に手軽にほとんど比較しないで購入する物品。加工食品、家庭雑貨など。 |
買回り品 | 消費者が2つ以上の店を回って比べて購入する商品。ファッション関連、家具、家電など。 |
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成29年度 第22問】
中小企業庁「平成27年度商店街実態調査報告書」から確認できる記述として、最も適切なものはどれか。
ア 最近3年間に商店主が退店(廃業)した理由として最も回答が多いものは「大型店の進出」である。
イ 最近3年間の商店街への来街者数の変化について、「減った」と回答した商店街の割合は平成24年度調査よりも増加している。
ウ 商店街の最近の景況について、「衰退している」と回答した商店街の割合は平成24年度調査よりも増加している。
エ 商店街の全体の平均店舗数は平成24年度調査よりも増加している。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
「商店街実態調査報告書」に関する知識を問う問題です。
「商店街実態調査報告書」は、「中小企業庁」が、3年毎に全国の商店街を調査して、その結果を公表しています。前回の調査が「平成27年度」に行われているため、「平成30年度末」に新たな報告書が公表されます。
(ア) 不適切です。
「退店(廃業)した理由」の中で、「大型店の進出(4.2%)」は「第5位」のため、選択肢の内容は不適切です。
「退店(廃業)した理由」は、「商店主の高齢化・後継者の不在(66.6%)」、「他の地域への移転(23.8%)」、「同業種との競合(12.9%)」、「商店街に活気がない(12.8%)」となっています。
(イ) 不適切です。
「最近3年間の商店街への来街者数の変化」について、「減った」と回答した商店街の割合は平成24年度調査よりも減少しているため、選択肢の内容は不適切です。
最近3年間の来街者数の変化は、「減った(56.6%)」 が「増えた(11.2%)」 を「45.4ポイント」上回っていますが、前回調査の平成24年度調査と比較すると、「増えた」は「4.5ポイント」増加し、「減った」は「16.0ポイント」減少しています。
なお、「変わらない」は「24.1%」であり、前回調査の平成24年度調査から「6.8ポイント」増加しています。
(ウ) 不適切です。
「商店街の最近の景況」について、「衰退している」と回答した商店街の割合は平成24年度調査よりも減少しているため、選択肢の内容は不適切です。
商店街の最近の景況は「繁栄している」が「2.2%」、「繁栄の兆しがある」が「3.1%」、「衰退している」が「35.3%」、「衰退の恐れがある」が「31.6%」、「まあまあである(横ばいである)」が「24.7%」でした。
前回調査の平成24年度調査と比較すると、「繁栄している」が「1.2ポイント」「繁栄の兆しがある」が「0.8ポイント」増加し、「衰退している」は「7.9ポイント」「衰退の恐れがある」は「1.4ポイント」減少しています。
(エ) 適切です。
「商店街の全体の平均店舗数」は平成24年度調査よりも増加しているため、選択肢の内容は適切です。
回調査の全店舗数平均は「54.3店」で、前回調査である平成24年度調査の全店舗数平均「52.9店」と比べると「1.4店」増加しています。
答えは(エ)です。
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