今回は、「財務・会計 ~H22-7 製造原価の構造(7)原価計算制度~」について説明します。
目次
財務・会計 ~平成22年度一次試験問題一覧~
平成22年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
製造原価の構造 -リンク-
「製造原価の構造」については、過去にも説明していますので、以下のページにもアクセスしてみてください。
- H29-10 製造原価の構造(1)
- H28-6-1 製造原価の構造(2)原価計算基準
- H28-6-2 製造原価の構造(3)原価計算基準
- H27-6 製造原価の構造(4)原価計算基準
- H25-9 製造原価の構造(5)労務費
- H24-6 製造原価の構造(6)原価に算入される項目
- R2-10 製造原価の構造(8)直接労務費
製造原価の構造
「製造原価」の基本的な考え方は「原価計算基準」に定義されています。
「原価計算基準」は、昭和37年(1962年)に大蔵省企業会計審議会から公表された会計基準であり「企業会計原則」の一環をなす原価計算の実践規範とされています。
原価計算基準の構成
原価計算基準は以下の章立てで構成されています。
- 前書き 原価計算基準の設定について
- 第1章 原価計算の目的と原価計算の一般的基準
- 第2章 実際原価の計算
- 第3章 標準原価の計算
- 第4章 原価差異の算定および分析
- 第5章 原価差異の会計処理
第1章については、以下のページで説明していますので、アクセスしてみてください。
第2章以降には、「製造原価要素の分類、製造原価の計算方法、個別原価計算、総合原価計算、標準原価計算、原価の差異分析」など多岐にわたる内容が記載されていますが、原価計算基準の問題としては第1章に記載されている内容が多く出題される傾向にあります。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成22年度 第7問】
原価計算制度において、原価とは、経営における一定の給付にかかわらせて、財貨又は用役(以下「財貨」という。)の消費を把握し、貨幣価値的に表したものである。原価は、[ ]に関して消費された経済価値であり、正常な状態における経営活動を前提として把握された価値の消費である。
[解答群]
ア 財貨の生産
イ 財貨の生産、販売
ウ 財貨の生産、販売及び財務活動
エ 財貨の調達、生産
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
問題に出題されている内容は「原価計算基準」の「第1章」の「3. 原価の本質」に記載されています。
「経営の目的とは、製品を生産して販売することであり、原価は製品を生産して販売するためにかかる費用である。」とあるため、答えは「財貨の生産、販売」となります。
本ブログで紹介するにあたっては、意味が分かりやすいように「原価計算基準」の内容を意訳していますので、是非原文も確認してみてください。
第1章 原価計算の目的と原価計算の一般的基準
3.原価の本質
原価計算制度において、原価とは、企業が経営活動の中で製品を製造したりサービスを提供するために費やした資材や労働の消費を金額で表したものである。
- 原価は、経済価値の消費である。
経営活動とは、製品を製造して販売することを目的としており、必要な資材や労働という経済価値を消費してその製品を製造する。
原価とは、経営活動において消費する経済価値のことである。 - 原価は、製造する製品と関連付けて発生したものである。
製品とは、完成品だけでなく、仕掛品も含んでいる。 - 原価は、経営目的に関連したものである。
経営の目的とは、製品を生産して販売することであり、原価は製品を生産して販売するためにかかる費用である。経営の目的に関連しない費用や、資本の調達、返還、利益処分などの財務活動は原価には含めない。 - 原価は正常な経営活動により発生するものである。異常な状態を原因とするものは含まない。
答えは(イ)です。
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