平成24年度の事例Ⅳに関する解答例(案)を説明していきます。
私なりの思考ロジックに基づく解答例(案)を以下に説明しますので、参考としてもらえればと思います。
昨日の記事「事例Ⅳ ~平成24年度 解答例(1)(経営分析)~」の続きです。
目次
事例Ⅳ ~平成24年度試験問題一覧~
平成24年度の他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
第1問(設問2) 前回からの続き
Step3.財務諸表の数値分析(財務指標の絞り込み)
効率性
財務指標一覧(効率性)
効率性の財務指標を以下に示します。
財務指標(効率性) | 今年度 | 2年後 | 比較 |
総資本回転率 | 0.58回 | 0.59回 | ○ |
売上債権回転率 | 41.25回 | 19.35回 | × |
棚卸資産回転率 | ー | ー | ー |
固定資産回転率 | 0.65回 | 0.69回 | ○ |
有形固定資産回転率 | 0.65回 | 0.69回 | ○ |
考察
- 建物の改修工事により、収益性が改善したか否かを判定することを求められているため、「総資本回転率」「固定資産回転率」「有形固定資産回転率」のいずれかの財務指標を選択することとなるが、いずれも数値が改善されている。
- 「総資本回転率」も改善されてはいるが、「固定資産回転率」「有形固定資産回転率」の方がより改善されているため、「総資本回転率」は選択しない。
- 「固定資産」の増加は改修工事による「有形固定資産(建築他)」の増加によるものであるため、選択すべき財務指標は「固定資産回転率」ではなく理由をより明確に指摘できる「有形固定資産回転率」である。
検討結果
「有形固定資産回転率」で決定
安全性(参考)
財務諸表一覧(安全性)
今回は「安全性」の財務指標は選択しませんが、参考として各指標の数値を以下に示します。
財務指標(安全性) | 今年度 | 2年後 | 比較 |
流動比率 | 367.08% | 489.68% | ○ |
当座比率 | 363.39% | 486.60% | ○ |
固定比率 | 441.37% | 523.46% | × |
固定長期適合率 | 91.19% | 87.51% | ○ |
自己資本比率 | 20.00% | 16.20% | × |
負債比率 | 400.00% | 517.38% | × |
未収金の扱いについて
今回の問題では「安全性」の財務指標は分析対象外でしたが、「貸借対照表」において表記されている「未収金」の扱いについて補足しておきます。
「未収金」とは、営業活動以外の取引により発生する債権のことを示しており、「その他流動資産」に区分されます。「当座資産」には含まれませんので、ご注意ください。
Step4.財務指標の確定
最後に、「収益性」「効率性」のバランスを見て、問題の条件と一致しているか、指摘する内容や原因が重複していないか、論理的な矛盾がないか、などの確認を実施しながら、最終的に解答する財務指標を確定します。
-
収益性
- 「効率性」において「総資本回転率」を選択しないため、「収益性」では「総資本経常利益率」と「売上高営業利益率」を選択する。
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効率性
- 収益性が改善していることを示す指標として「有形固定資産回転率」を選択する。
Step5.解答
確定した財務指標を解答します。
(a) | (b) | |
① | 売上高営業利益率 | 8.08% |
② | 総資本経常利益率 | 1.29% |
③ | 有形固定資産回転率 | 0.69回 |
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