今回は、「運営管理 ~H27-14 在庫管理(4)在庫量~」について説明します。
目次
運営管理 ~平成27年度一次試験問題一覧~
平成27年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成27年度 第14問】
工場では、ある製品を一定の速度でロット生産している。工場で完成された製品は、ロットの生産途中でも販売店に配送できる。工場から販売店への輸送リードタイムは0とする。販売店には一定速度で需要が到着している。下図は、販売店が一定量を定期的に発注している場合の、工場での累積生産量、工場在庫量、工場から販売店への累積配送量、販売店在庫量の時間推移を示している。
このうち、工場在庫量、累積配送量、販売店在庫量の3つの量の推移を示す線の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
[解答群]
ア 工場在庫量:① 累積配送量:② 販売店在庫量:④
イ 工場在庫量:① 累積配送量:④ 販売店在庫量:②
ウ 工場在庫量:② 累積配送量:③ 販売店在庫量:④
エ 工場在庫量:② 累積配送量:④ 販売店在庫量:③
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
工場と販売店の在庫量に関する時間推移に関する知識を問う問題です。
在庫管理等の知識が無くても、簡単に答えを求めることができるので、是非正解したい問題です。
「工場での累積生産量」「工場から販売店への累積配送量」は「累積」の数量であり、時間が進むにつれて「数量」が増加するグラフとして描画されるため①③のいずれかとなります。
解答群に与えられた選択肢を見ると、「累積配送量」を表すグラフが①③のいずれかとなっているのは「選択肢(ウ)」だけであるため、これだけで正解を選択することができます。
問題文に記述された以下の前提条件に基づき、「工場での累積生産量」「工場在庫量」「工場から販売店への累積配送量」「販売店在庫量」の時間推移を示すグラフを1つずつ確認していきます。
【問題文で与えられた前提条件】
- 工場では、ある製品を一定の速度でロット生産している。
- 工場から販売店への輸送リードタイムは0とする。
- 販売店には一定速度で需要が到着している。
- 販売店が一定量を定期的に発注している。
① 工場での累積生産量
①のグラフは、時間が進むにつれて「数量」が増加しているため「累積数量」を示しています。また、グラフには右肩上がりの比例直線が描画されており、これは問題文に記述されている「工場では、ある製品を一定の速度でロット生産している」という条件に合致しています。
したがって、①のグラフは「工場での累積生産量」を示しています。
② 工場在庫量
②のグラフは、右肩上がりの比例直線が描画されていますが、途中から数量は増加しなくなっています。また、ある一定間隔で一定量が段階的に減少しています。
右肩上がりの比例直線が描画されているのは、問題文に記述されている「工場では、ある製品を一定の速度でロット生産している」という条件に合致しており、ある一定間隔で一定量が減少しているのは、③のグラフで「工場から販売店へ配送している」タイミングと合致しています。
したがって、②のグラフは「工場在庫量」を示しています。
③ 工場から販売店への累積配送量
③のグラフは、時間が進むにつれて「数量」が増加しているため「累積数量」を示しています。また、ある一定間隔で一定量が段階的に増加しており、これは問題文に記述されている「販売店が一定量を定期的に発注している」という条件に合致しています。
問題文において「工場から販売店への輸送リードタイムは0とする」と記載されており、これは「販売店が発注している」タイミングと「工場から販売店へ配送している」タイミングは同一であるということを示しています。
したがって、③のグラフは「工場から販売店への累積配送量」を示しています。
④ 販売店在庫量
④のグラフは、ある一定間隔で一定量が増加しており、右肩下がりの比例直線が描画されています。
ある一定間隔で一定量が増加しているのは、③のグラフで「工場から販売店へ配送している」タイミングと合致しており、また右肩下がりの比例直線が描画されているのは、問題文に記述されている「販売店には一定速度で需要が到着している」という条件に合致しています。
したがって、④のグラフは「販売店在庫量」を示しています。
したがって、「①:累計生産量」「②:工場在庫量」「③:累積配送量」「④:販売店在庫量」となります。
答えは(ウ)です。
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